クレーン・デリック運転士の過去問
令和3年（2021年）4月
関係法令 問20

選択肢１は誤りです。

法令では、デリックは定められた傾斜角を超えて使用してはならないと規定されています。

デリックのブームは、傾斜角が小さくなるほど定格荷重が小さくなるため、過負荷によりデリック倒壊の危険性が高まります。

選択肢文のように、作業を指揮する者の指揮のもとに作業しても法令に違反します。

選択肢２は正しいです。

デリックの巻過防止装置は、つり具の上面または巻上用シーブの上面と、当該上面が接触する恐れのある物（傾斜したジブを除く）の下面との間隔が0.25m以上（直働式の巻過防止装置にあっては0.05m以上）となるように調整しておかなければなりません。

選択肢３は誤りです。

デリックの運転者は、いかなる場合であっても荷をつったままで運転位置から離れてはならず、事業者も運転者を離れさせてはなりません。

選択肢４は誤りです。

デリック検査証を受けたデリックを貸与する場合は、デリック検査証とともに貸与しなければなりません。

選択肢文では、デリック検査証の写しとなっており、法令に違反します。

選択肢５は誤りです。

デリックの安全装置を臨時に取り外す必要が生じたときは、必ず事業者の許可を受けてから取り外しを行わなければなりません。

選択肢文のように、安全装置を取り外してから事業者に報告することは法令に違反します。

答えは(2)です。

解説

1.「ブームを有するデリックを、デリック明細書に記載されているブームの傾斜角の範囲をこえて使用するときは、作業を指揮する者を選任して、その者の直接の指揮のもとに作業を実施しなければならない。」は誤りです。

デリック倒壊の恐れがあるため、定められた傾斜角を超えて使用してはなりません。

2.「デリックの直働式以外の巻過防止装置については、フック等のつり具の上面又は当該つり具の巻上げ用シーブの上面とブームの先端のシーブその他当該上面が接触するおそれのある物（ブームを除く。）の下面との間隔が0.25m 以上となるように調整しておかなければならない。」は正しいです。

デリックの巻過防止装置は、つり具の上面または巻上用シーブの上面と、当該上面が接触する恐れのある物の下面との間隔が0.25m以上になるように調整する必要があります。

3.「デリックの運転者は、荷をつったままで運転位置から離れてはならない。ただし、作業の性質上やむを得ない場合又は安全な作業の遂行上必要な場合に、電源を切り、かつ、ブレーキをかけるときは、この限りでない。」は誤りです。

デリックの運転者は、やむを得ない場合であっても荷をつったままで運転位置から離れてはなりません。

4.「デリック検査証を受けたデリックを用いて作業を行うときは、当該作業を行う場所に、当該デリックのデリック検査証を備え付けておかなければならないが、デリックの貸与を受けた場合にあっては、当該デリック検査証の写しを備え付けておくことで差し支えない。」は誤りです。

デリック検査証を受けたデリックを貸与する際は、デリック検査証も貸与する必要があります。

5.「限定なしのクレーン・デリック運転士免許を有するデリックの運転者は、デリックの安全装置を臨時に取り外す必要が生じたときは、あらかじめ事業者の許可を得ずに取り外すことができるが、当該安全装置を取り外したときは、直ちに事業者にその旨を報告しなければならない。」は誤りです。

デリックの安全装置を取り外す必要が生じたときは、必ず事前に事業者の許可を受けてから取り外しを行う必要があります。