クレーン・デリック運転士の過去問
令和4年(2022年)4月
クレーンの運転のために必要な力学に関する知識 問40

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問題

クレーン・デリック運転士試験 令和4年(2022年)4月 クレーンの運転のために必要な力学に関する知識 問40 (訂正依頼・報告はこちら)

図のような滑車を用いて、質量Wの荷をつり上げるとき、荷を支えるために必要な力Fを求める式がそれぞれの図の下部に記載してあるが、これらの力Fを求める式として、誤っているものは(1)~(5)のうちどれか。
ただし、gは重力の加速度とし、滑車及びワイヤロープの質量並びに摩擦は考えないものとする。
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この過去問の解説 (1件)

01

問題を解くために、まずは選択肢の図に対する理解を深めて、力 F を求める式が正しいかどうかを確認しましょう。

 

荷物 Wをつり上げるために必要な力 F は、滑車の種類(動滑車、固定滑車、複合滑車など)や配置によって変わります。摩擦や滑車自体の質量は無視するという前提で、力の大きさや関係を式に表すことが求められます。

それでは、選択肢ごとに確認してみましょう。

選択肢1. 解答選択肢の画像

この図は「複合滑車」システムの一例です。荷重 Wを支えるロープの数を正確に確認することで、必要な力 F を求めることができます。

荷重 W に直接作用しているロープの本数を確認します。この場合、荷物に直接つながっているロープの数を数えると 4本 です。複合滑車システムでは、ロープの本数が増えることで必要な力はその本数分の1になります。

ロープが荷重 Wを4本で支えている場合、必要な力 F は次のように計算されます。

 F=W/4

また、重力加速度 gを考慮する場合は、

 F=W/4g

 

以上により、この図に対する正しい式はF=W/4g

したがって、与えられた式 F=W/5gは間違いです。この滑車システムでは、荷重を4本のロープで分散させているため、必要な力は W の4分の1に相当します。

選択肢2. 解答選択肢の画像

この滑車システムでは、1本の「可動滑車」が使用されています。可動滑車の特徴として、荷重が滑車によって分散されるため、支えるロープの張力が荷重の半分になります。この場合、引き上げに必要な力 F は次のように計算されます。

    F=W/2

さらに、重力加速度gを考慮に入れると、最終的な式は次のようになります。

    F=W/2 g

この式 F=W/2 gは正しいものです。

選択肢3. 解答選択肢の画像

この図は、滑車システムを用いて質量 W の荷物を引き上げる仕組みを示しています。この滑車は「複合滑車」と呼ばれる種類で、荷物を支えるための複数のロープと滑車を組み合わせて、必要な力を軽減する構造になっています。


荷物の重さは4本のロープに均等に分散されています。そのため、1本のロープが支える力は W/4になります。

 

この滑車システムでは、4本のロープが荷重 W を支えています。そのため、A点で必要な力 F は以下のように計算されます。

  F=W/ロープの本数×g

ここで、ロープの本数は4本、重力加速度を gとすると

  F=W/4gになります。

この式F=W/4gは正しい式です。

 

選択肢4. 解答選択肢の画像

この図では、「動滑車」を使ったシステム」が描かれており、荷重 Wを持ち上げるために必要な力 F が示されています。このシステムでは、2つの滑車が使われており、力 F は荷重 W よりも小さくなる仕組みです。

 

動滑車を使ったシステムでは、荷重 Wを支えるために必要な力 Fは、荷重 W に対して 滑車の数に応じて軽減されることが特徴です。画像の例では、2つの滑車を使っているため、力 Fは Wの半分となります。すなわち、必要な力 F は W/2です。

このため、 F=W/2 gは正しい式です。

選択肢5. 解答選択肢の画像

この図では、「固定滑車を使ったシステム」が描かれており、荷重 W をつり上げるために必要な力 F が示されています。

 

固定滑車は、力の方向を変えるための道具であり、力の大きさを軽減する効果はありません

荷重 W をそのまま持ち上げるために必要な力 Fは、滑車を使わない場合と同じです。

力 F大きさは、物体の重さ W と等しいため、F=Wgという式が正しくなります

 

固定滑車の特徴

固定滑車は「力の方向を変えるだけ」の機能を持っています。例えば、上方向に持ち上げる力を、下方向に引っ張る力に変えることで作業しやすくします。

力の大きさには影響を与えません。

 

選択肢5に示されている式 F=Wgは正しい式です。固定滑車では、荷重を軽減する効果がないため、この式が適用されます。

まとめ

力 F を求める際の基本的な式は以下です。

F=W/ロープの本数⋅g

W:荷の質量

g:重力加速度(通常 9.8 m/s2)

 

滑車の種類(固定滑車、動滑車、複合滑車)によって、荷重を支えるロープの本数が異なり、それが必要な力 F に影響します。ロープの本数が多いほど、必要な力は軽減される ことを覚えましょう。具体的には、力の軽減率は「ロープの本数の逆数」で表されます。

例: ロープが4本の場合、力は 1/4に軽減されます。

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