中小企業診断士の過去問 平成28年度(2016年) 財務・会計 問22
この過去問の解説 (2件)
配当割引モデルの公式に当てはめて計算します。
株価=1年後の配当金÷(期待収益率ー配当金成長率)
105千円÷(5%ー3%)=5,250千円
よって、4.が正解です。
正解は「5,250千円」です。
【基礎知識】
1株しかない会社の株価の算定問題ととらえます。
配当割引モデルによる株価の算出問題になります。このモデルでは現在の株価は考えず、今後永続的にもらえる配当金の合計の現在価値を株価と考えます。
このモデルには2つあって、定額で配当が入る場合と一定比率で配当が成長するケースがあります。
・定額配当の場合(配当金Aが永続的に続くとき、資本コストをrとすると)
理論株価はA/r
・一定成長(配当金がg%ずつ成長)の場合
理論株価はA/(r-g)
【計算の証明】
・定額の場合
仮に毎年定額で永久にAの配当金が入るとします。資本コストを10%とすると、
1年後の配当金の現在価値 A/(1+0.1)
2年後の配当金の現在価値 A/(1+0.1)2
3年後の配当金の現在価値 A/(1+0.1)3
・・年後の配当金の現在価値 A/(1+0.1)・・
この合計をKaとすると
Ka = A/(1+0.1)+A/(1+0.1)2+A/(1+0.1)3+・・+A/(1+0.1)・・・・・
両辺に(1+0.1)をかけます。(ここはなぜと考えず、こういったやり方だと理解してください)
(1+0.1)×Ka = A+A/(1+0.1)2+A/(1+0.1)3+・・+A/(1+0.1)・・・・・
2つの式を引くと
-0.1Ka = -A
よってKa = A/0.1 となります。
つまり、配当金Aが永続的に続くとき、資本コストをrとすると、理論株価はA/r となります。
・定率場合の場合
定額の場合のケースで、配当金がg%ずつ成長していくとします。
定額の場合と同じように算出します。
Ka = A/(1+0.1)+A(1+g)/(1+0.1)2+A(1+g)2/(1+0.1)3+・・+A(1+g)・・/(1+0.1)・・・・・
定額の場合と同様、ノーシンキング(考えずに)両辺に(1+0.1)/(1+g)をかけます。
(1+0.1)/(1+g)×Ka = A/(1+g)+A/(1+0.1)+A(1+g)/(1+0.1)2+・・+A(1+g)・・-1/(1+0.1)・・-1 ・・・
両式を引くと
(1-(1+0.1)/(1+g))Ka = ‐A/(1+g)
よって
Ka = A/(0.1-g)となります。
つまり、配当金A、一定成長率(g)、資本コストをrとすると理論株価はA/(r-g)となります。
今回の問題は、成長率(g)は3%、資本コスト(r)は株主資本コスト5%と考えられますので、
株価 = 105千円 / ( 0.05 ‐ 0.03 ) = 5,250千円
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