中小企業診断士の過去問 平成28年度(2016年) 経営法務 問12
この過去問の解説 (2件)
【正解4】
[1]不適切
周知表示混同惹起行為とは、他人の商品等表示として需要者の間で広く認識されているものと同一又は類似の表示を使用し、商品又は営業の出所について混同を生じさせる行為のことです。本問では、A社の自動車に関する表示を無関係のBがサングラスに付して販売しているため、周知表示混同惹起行為にも該当します。
[2]不適切
著名表示冒用行為とは、自己の商品等表示として、他人の著名な商品等表示と同一、あるいは類似の表示を使用し、もしくはその表示が使用された商品を譲渡引渡する行為ですが、本問のように、C社の「ポテトチップス」が普通名称化して用いられている場合、そもそも当該商品等表示は商標登録を受けることができません。よって、この表示を普通に用いられる方法で使用する行為は著名表示冒用行為には該当しません。
[3]不適切
Dの営業表示乙が周知化する前から、Dと同一地域でピザの宅配業者Eが表示乙と類似の表示である丙を使用しているという事実があっても、Eによる丙の使用に不正の目的がある場合、先使用権は除外されるため、Eによる丙の使用を差し止めることができます。
[4]適切
肢1で記載している通り、周知表示混同惹起行為とは、他人の商品等表示として需要者の間で広く認識されているものと同一又は類似の表示を使用し、商品又は営業の出所について混同を生じさせる行為なので、ヨーロッパの世界的アパレル・ブランドである企業Fの著名な商品表示を、スナックGがわが国の地方都市の郊外において商号として一店舗のみの看板などに用いている場合、FG間に競争関係はないものの、周知表示混同惹起行為となることがあります。
不正競争防止法の「周知表示混同惹起行為」「著名表示冒用行為」の知識を問う問題です。
本選択肢では、A社の著名な自動車に関する商品表示をサングラスに付することにより、あたかもA社の正規品であるかのように消費者に混同させていると考えられます。したがって、周知表示混同惹起行為に該当します。
製菓メーカーC社のポテトチップスの表示甲は普通名称化しており、もはや消費者が製菓メーカーC社の表示であるという識別力を失っていると考えられます。したがって、表示甲がポテトチップスを表示するものとして著名であったとしても、著名表示冒用行為とはなりません。
普通名称化している例はたくさんあり、「魔法瓶」もその1つです。
逆に「ワンカップ大関」を販売している大関株式会社は、商品パッケージや広告等で「ワンカップ大関」が大関株式会社の登録商標であることをアピールすることにより、普通名称化することを防止しています。
Eによる営業表示丙の使用に不正の目的がある場合、ピザ宅配業者DはEによる丙の使用を差し止めることができます。
正解の選択肢となります。
「スナックシャネル事件」という判例がありますので、興味のある方は検索してみて下さい。
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