問題
ユーザ(委託者)がベンダ(受託者)に情報システムの構築を委託する場合、フェーズごとに、契約類型として準委任と請負のどちらとするかを選択しなければならない。
( A )ではベンダは仕事(受託業務)の完成の義務を負うのに対し、( B )ではベンダは仕事の完成についての義務は負わない。そうすると、受託業務に着手する前の段階でベンダにとって成果物の内容が具体的に特定できる内部設計やソフトウェア設計などのフェーズは、( A )で行うことが可能である。
これに対し、システム化計画や要件定義のフェーズは、ユーザ自身にとっても業務要件が具体的に確定しておらず、ベンダにとっても成果物の内容を具体的に想定することは通常不可能であるから、( A )にはなじみにくく、( B )が適切ということになる。
( A )では、ユーザに引き渡された成果物に瑕疵があった場合、ベンダは無過失責任としての( C )責任を負い、ユーザは修補や損害賠償を請求することができ、瑕疵により契約の目的を達成できないときは契約を解除できる。これに対して、( B )の場合、( C )責任を負うことはないが、事務処理に関して善管注意義務違反があった場合には、( D )責任を負うこととなる。
実際の契約において、準委任型とするか、請負型とするかは、成果物の特定についての当事者同士の経験や役割分担の遂行能力等に基づき、成果物についての共通理解が事前に十分に成立しているかによるが、( B )型としなかった場合、ユーザ自身のシステム化計画や要件定義におけるステークホルダとの調整を行う責任等が曖昧になり、要件定義上の見落としも生じやすいとの指摘が多い。