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中小企業診断士の過去問 平成30年度(2018年) 経済学・経済政策 問12

問題

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下図において、IS曲線は生産物市場の均衡、LM曲線は貨幣市場の均衡、BP曲線は国際収支の均衡を表す。この経済は小国経済であり、資本移動は完全に自由であるとする。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

変動相場制の場合における貨幣供給量増加の効果に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記から選べ。

a  為替レートは増価する。
b  GDPは増加する。
c  純輸出の増加が生じる。
d  民間投資支出の増加が生じる。
問題文の画像
   1 .
a と c
   2 .
a と d
   3 .
b と c
   4 .
b と d
( 中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 平成30年度(2018年) 問12 )
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この過去問の解説 (2件)

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IS-LM-BP分析についての問題です。

変動相場制における金融緩和政策の効果を問われています。

効果をまとめると以下のようになります。

1.金融緩和政策によりLM曲線が右方シフトして、利子率が減少します。

2.国内利子率が国際利子率よりも低くなるため、資金が国外に流出(円売りドル買いの発生)します。

3.為替レートは減価、円安となるため純輸出が増価して、純輸入が減少します。

4.財市場において総需要が増加するため、IS曲線は右方シフトします。

5.IS曲線の右方シフトは、国内利子率が国際利子率よりも低い限り発生し続けて、最終的に国内利子率と国際利子率が等しくなった時点で均衡するため、GDPは増加します。

金融緩和政策は景気対策として有効という結論になります。

正しい選択肢の組み合わせは bとc です。

選択肢1. a と c
  • aは誤っているため、本選択肢は不正解です。

選択肢2. a と d
  • 両方とも誤っているため、本選択肢は不正解です。

選択肢3. b と c

本選択肢が正解です。

選択肢4. b と d
  • dは誤っているため、本選択肢は不正解です。

まとめ

BP曲線とは資本移動を表しています。

簡単に言えば、「円買いドル売り」や「円売りドル買い」のことです。形状は本問のように資本移動が完全に自由であれば垂直となり、資本移動が全くなければ垂直、不完全な場合は右上がりとなります。

本問のような資本移動が自由な変動相場制でのIS-LM-BP分析のことを、マンデル=フレミング・モデルと呼びます。

本問もグラフを描きながら学習すると理解がより深まります。

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1

正解は3です。

設問に、小国経済であり、資本移動は完全に自由であると書かれているため、マンデル=フレミング・モデルの小国モデルに関する問題であることがわかります。

マンデル=フレミング・モデルとは、ISーLM分析を基礎として、ISーLM分析では考慮されなかった海外との経済取引がある(資本移動が自由である)という仮定のものに分析されたマクロ経済政策分析のモデルです。外国の経済に影響を与える大国モデルと影響を与えない小国モデルに分けられます。マンデル=フレミング・モデルは、IS曲線、LM曲線に加えて、国際収支の均衡を表すBP曲線の3つの曲線で表されています。BP曲線は政策が外貨の流入をもたらすのか流出をもたらすのかを表す線で、BP曲線の上方は外貨が流入すること、下方は外貨が流出することを表します。

設問では、変動相場制の場合における貨幣供給量増加の効果について問われていますので、金融政策の影響から解答する必要があります。

まず、小国モデルの変動相場制における財政政策、金融政策の影響を見ていきましょう。

【財政政策】

政府支出が増加した場合、IS曲線が右にシフトします。すると、LM曲線との均衡点が図のBP曲線の上方にシフトします。BP曲線の上方にあるということは、外貨が流入するということです。海外通貨>自国通貨となり、外国通貨の割合が多くなるため自国通貨高(日本でいうと円高)を招きます。円高は、輸出の減少と輸入の増加をもたらします。つまり経常(貿易)収支は悪化することとなります。輸出の減少は生産量の減少を引き起こしますので、生産物市場の縮小によりIS曲線は左にシフトします。

その結果均衡点が元の位置に戻るということになります。

これは財政政策が無効になることを示しています。

【金融政策】

金融政策で貨幣供給量を増加させた場合、LM曲線が右にシフトします。するとIS曲線とLM曲線の均衡点がBP曲線の下方にシフトします。BP曲線の下方では外貨が流出するため、海外通貨<自国通貨となり、自国通貨の割合が多くなるため自国通貨安(日本でいうと円安)を招きます。円安では輸出が増加し輸入が減少するため経常収支は改善します。その結果、IS曲線が右にシフトし、均衡点がさらに右に移動するため、GDP(横軸)は拡大します。

財政政策でも金融政策でも、BP曲線とIS曲線、LM曲線が交わるところまでシフトします。BP曲線は上下にシフトしない(利子率が一定)のため、いずれの政策でも利子率は変化しません。

a~dの解説は次の通りです。

a:金融政策によって、貨幣供給量が増加すると、海外通貨の流出がおきるため、円安となり為替レートは減価します。よって誤りです。

b:適切です。金融政策では、LM曲線が右にシフトし、その結果円安による経常収支の改善が引き起こされます。すると、生産物市場が拡大するため、IS曲線は右にシフトし、GDPが拡大します。

c:金融政策により引き起こされる円安は輸出の増加を招きます。よって適切です。

d:金融政策により、LM曲線もIS曲線も右にシフトしますが、BP曲線との交点でそのシフトは止まります。BP曲線との交点では利子率が一定です。利子率が一定のもとでは民間投資支出は変化しません。よって誤りです。

以上により、bとcの組み合わせが適切となり、3が正解です。

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