中小企業診断士の過去問 平成30年度(2018年) 経済学・経済政策 問17
この過去問の解説 (2件)
本問は、労働市場の需要曲線と供給曲線を示しています。
Dは労働需要曲線、つまり労働者が欲しい企業側の行動
Sは労働供給曲線、つまり労働者の行動を表しています。
縦軸の賃金率が高い状態を考えると、Dの横軸つまり労働量は小さい値を示しています。
つまり、高い給料を払うなら労働量は欲しくないという事です。
逆に、Sの直線の労働量は大きい値を示しています。
これは、高い給料がもらえるなら働きたいと思う人が多いという事ですね。
各選択肢については、以下のとおりです。
1 :誤りです。
最低賃金率をW1に設定すると、市場均衡と比較して、企業の余剰は減少します。
市場均衡時の△AW0E から、W1に移動すると三角形の面積が小さくなるためです。
2 :誤りです。
市場均衡において企業が労働者に支払う賃金は□OW0EN0となります。
3 :誤りです。
市場均衡における企業側の余剰が△AW0Eとなります。
4 :正解です。
労働供給が増加すると、Sの労働供給曲線が右にシフトするため、均衡点が右下に移動するため、当初の市場均衡と比較して企業の余剰は増加します。
労働市場についての問題です。
本問で市場均衡しているのはSとDの交点Eで、賃金率はW0と労働量はN0となります。
賃金率W1から伸ばした直線とDの交点をCと設定します。
上記をふまえて各選択肢をみていきます。
- 最低賃金率がW1のときの企業余剰は△ACW1で、市場均衡の企業余剰△AEW0と比較すると□W1CEW0だけ減少しているので、本選択肢は不正解です。
- 市場均衡しているときの賃金は□W0EN0Oであるため、本選択肢は不正解です。
- 市場均衡しているときの労働者の余剰は、△W0EBであるため、本選択肢は不正解です。
- 労働供給が増加するとSが右方シフトします。右方シフトした線をS’とします。
- 当初の市場均衡としている点から右下に移動して企業の余剰も増加するため、本選択肢が正解です。
労働市場における需要曲線は労働者を雇用する企業で、供給曲線は労働力を提供する労働者を表しています。
賃金率が高いときのDの労働量は、Sの労働量より小さいです。企業側として賃金が高いならば雇用を抑制したいと考えて、労働者は賃金が高いならば働きたいと希望していると考えれば労働市場の需要曲線と供給曲線が理解しやすいと思います。
問題を解いたり、学習するときは点や線を描き込むことが有効です。
解説が空白の場合は、広告ブロック機能を無効にしてください。
また、広告右上の×ボタンを押すと広告の設定が変更できます。