第三種電気主任技術者の過去問 令和2年度(2020年) 電力 問36
この過去問の解説 (2件)
正解は1です。
1 .→ 誤りです。
誘電正接は、電力の損失を表すパラメータの一つです。
変圧器、電カケーブル、コンデンサのいずれについても、誘電正接は小さい方が有利です。
2 .→ 正しいです。
熱膨張率が小さいと温度による体積変化が小さいので、これを補う装置を小さくできます。
粘度が低いほど絶縁油の対流が促進され、冷却効果が大きくなります。
3 .→ 正しいです。
「鉱油系絶縁油」は、原油を精製したもので、古くから使われています。
最近は、科学的に安定していて難燃性で電気的特性も良い「合成絶縁油」が採用されています。
環境への配慮から、「植物性絶縁油」の採用も進められています。
4 .→ 正しいです。
変圧器内の損失により巻線や鉄心の温度は上昇しますが、この熱は絶縁油の流動性により、対流してラジエタから外部へ放出されます。
5 .→ 正しいです。
絶縁油では、不純物や水分などが含まれることにより絶縁性能が大きく影響を受けます。
部分放電の発生によって分解ガスが生じる場合があります。
そのため定期的に油中水分量を測定し、分解ガスとして放出する水素、メタン、エキレン、アセチレン等の油中ガス量の分析を行います。
[1]誤りです。
誘電正接tanδは、電力の損失を表すもので、
抵抗に流れる損失電流IRと、コンデンサへ流れる充電電流ICにより、
tanδ = IR/IC
で表すことができます。
充電電流ICは電圧よりも90°進んでいます。
よって、抵抗による損失電流が大きいほど、
誘電正接tanδは大きくなります。
つまり、損失を小さくするため、誘電正接は小さいものが適しています。
劣化診断の目安になります。
[2]正しいです。
絶縁油の役割として、絶縁の他に冷却も担っています。
粘度が小さいほど、熱の拡散に有利です。
放熱の為には、比熱、熱伝導率が大きい事が求められます。
また、体積が変化すると装置内圧力の変化により設備へ負担が掛かります。
よって、熱膨張率が低い方が適しています。
[3]正しいです。
問題文の通りです。
[4]正しいです。
問題文の通りです。
[5]正しいです。
問題文の通りです。
文章中の「分解ガス」とは、メタン、水素や、アセチレンのことです。
よって、[1]が正解です。
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