技術士の過去問 平成27年度（2015年） 基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問24

DNAに関する正誤問題です。

DNAの塩基には、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類があります。
そして二重鎖DNAの塩基配列は、AとT、CとGが対をなしていることから、片方のAともう片方のTは同じ比率をなし、CとGも同様になります（相補鎖）。
これを用いて、各選択肢の正誤を確認します。
下記のような図を描きながら解くと分かりやすくなります。

？ 35 20 ？
Ａ Ｔ Ｃ Ｇ
｜ ｜ ｜ ｜
Ｔ Ａ Ｇ Ｃ
　
１．不適切です
A、T、C、G のうち、TとCしか比率が与えられていないため、Gの比率を求めることはできません。

２．不適切です
A、T、C、G のうち、TとCしか比率が与えられていないため、Aの比率を求めることはできません。

３．適切です
同じ側の鎖では、A + T + C + G = 100% になります。
T + C = 55% なので、A + G = 45% となることから、正しい記述です。

４．不適切です
図より、T、Cと対をなすA、Gは、同じ比率になります。
そのため、A + G = 55% となることから、不適切です。

５．不適切です
選択肢４に記述した通り、相補鎖では A + G = 55% となることから、C + T = 45% となり、不適切です。

よって、３が正解です。

正解は3です。
DNAの構成塩基はアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類です。
DNAは二本鎖の塩基間で水素結合を形成しており、
水素結合はアデニン(A)-チミン(T)、グアニン(G)-シトシン(C)間に形成されます。
各選択肢については以下の通りです。
1.シトシン（ C ）が20％、チミン（ T ）が35％だけでは、グアニンの組成までは分からないので不正解です。
2.1.と同様、アデニンの組成までは分からないので不正解となります。
3.シトシン（ C ）が20％、チミン（ T ）が35％で、55%を占めているため、残りの塩基である、
アデニン(A)とグアニン(G)は45%になるので、正解です。
4.シトシン（ C ）が20％、チミン（ T ）が35％となる鎖の相補鎖は、アデニン(A)とグアニン(G)の和が55%になるので不正解です。
5.シトシン（ C ）が20％、チミン（ T ）が35％となる鎖の相補鎖は、シトシン（ C ）とチミン（ T ）の和が45%になるので不正解です。

DNA、遺伝情報に関する問題は、最近の技術士試験では多く出題されるようになってきました。基本的事項を思い出しながら、落ち着いて解いていきましょう。

DNAを構成する塩基は、C,T,A,Gの4つです。したがって、問題文より、同じ側の鎖においては、CとTを合わせた比率が55%ですから、AとGを合わせた比率は45%ということになります。すなわち、3.が正解選択肢ということになりますが、念の為、他の選択肢についても確認しておきましょう。

1. および2. については、この問題文の条件だけではわかりません。AとGとを合わせて45%ということはわかりますが、その内訳については判断できません。したがって、正誤がわからず「最も適切な選択肢」とはいえません。

また、DNAにおいては、CとGが相補的な塩基、チミンTとアデニンAが相補的な塩基である、ということを思い出し、相補鎖における塩基の比率を考えていきます。

相補鎖においては、Cに対する相補的塩基Gが20％、Tに対する相補的塩基Aが35%含まれていることになります。したがって、相補鎖におけるAとGの和は55％であり、4.は誤った選択肢になります。ここから、相補鎖におけるCとTの和は45％ですので、5.も誤った選択肢になります。

以上より、3.が正解になります。