PL法に関する問題は技術士試験では非常によく出されます。PL法のわかりやすい解説は、消費者庁の発出しているサイト
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/pl_qa.html
にありますので、こちらも参照しながら考えていきましょう。
特に、
Q1.の答え「この法律は、製造物の欠陥が原因で生命、身体又は財産に損害を被った場合に、被害者が製造業者等に対して損害賠償を求めることができることを規定した法律です。この法律は、不法行為責任(民法第709条)の特則であり、不法行為責任に基づく損害賠償請求の場合には、加害者の過失を立証しなければならないところ、製造物責任については、製造物の欠陥を立証することが求められます。」、
Q3.の答え 「この法律では、製造物を「製造又は加工された動産」と定義しています(本法第2条第1項)。人為的な操作や処理が加えられ、引き渡された動産を対象としており、このため、不動産、電気、ソフトウェア、未加工農林畜水産物などは、この法律の対象にはなりません。」、
およびQ4.の答え「一般に「製造」とは、製品の設計、加工、検査、表示を含む一連の行為として位置付けられ、「原材料に手を加えて新たな物品を作り出すこと」と解されています。また、一般に「加工」とは、「動産を材料としてこれに工作を加え、その本質は保持させつつ新しい属性を付加し、価値を加えること」と解されています。」
が、考えていく上での大きなヒントとなります。
(ア)製造工程で造り込まれたブレーキの欠陥、とありますので、「製造物」であり、その欠陥によって損害を被ったのですから、該当します。
(イ)建物は「不動産」になりますので、PL法の対象にはなりません。建築基準法によって判断されます。
(ウ)電動シャッターは「動産」に区分され、その製造時の欠陥により損害を被ったのですから、該当します。
(エ)鶏卵は「未加工農林畜水産物」に相当しますので、PL法の対象にはなりません。ただし、養鶏場の管理体制などについて、民法上の不法行為による責任が問われる可能性はあります。
(オ)エレベータの保守点検は、「製造」にも「加工」にも相当しませんので、保守点検のミスによる損害は製造者の責任にはなりません。エレベータがある建物の所有者および点検業者が責任を問われることとなります。
(カ)上述Q3. の答えで「ソフトウェアはPL法の対象外」とされていますが、同じくQ5.に対する答えでは、「ソフトウェア自体は無体物であり、この法律の対象とはなりません。ただし、ソフトウェアを組み込んだ製造物についてはこの法律の対象と解される場合があります。ソフトウェアの不具合が原因で、ソフトウェアを組み込んだ製造物による事故が発生した場合、ソフトウェアの不具合がその製造物自体の欠陥と解されることがあり、この場合、その欠陥と損害との間に因果関係が認められるときには、その製造物の製造業者等にこの法律による損害賠償責任が生じます。」とあります。ここでは、ソフトウェアの不具合で、ソフトウェアを組み込んだ製造物(この場合のロボット)の欠陥による損害が生じているので、該当します。
(キ)電気はPL法の対象になりません。
(ク)鯛は「未加工農林畜水産物」に相当しますので、PL法の対象にはなりません。ただし、養殖場の管理体制などについて、民法上の不法行為による責任が問われる可能性はあります。
以上から、「該当しないもの」は、(イ)、(エ)、(オ)、(キ)、(ク)、の5つになりますので、正解選択肢は4.となります。