問題
「研究活動とは、先人達が行った研究の諸業績を踏まえた上で、観察や実験等によって知り得た事実やデータを素材としつつ、自分自身の省察・発想・アイディア等に基づく新たな知見を創造し、知の体系を構築していく行為である。」
「不正行為とは、・・・(中略)・・・。具体的には、得られたデータや結果の捏造、改ざん、及び他者の研究成果等の盗用が、不正行為に該当する。このほか、他の学術誌等に既発表又は投稿中の論文と本質的に同じ論文を投稿する二重投稿、論文著作者が適正に公表されない不適切なオーサーシップなどが不正行為として認識されるようになってきている。」
捏造、改ざん、盗用(ひょうせつ(剽窃)ともいう)は、それぞれ英語では Fabrication, Falsification, Plagiarism というので、研究活動の不正を FFP と略称する場合がある。FFP は研究の公正さを損なう不正行為の代表的なもので、違法であるか否かとは別次元の問題として、取組が必要である。
次の( ア )~( エ )の記述について、正しいものは ○ 、誤っているものは × として、最も適切な組合せはどれか。
( ア )科学的に適切な方法により正当に得られた研究成果が結果的に誤りであった場合、従来それは不正行為には当たらないと考えるのが一般的であったが、このガイドラインが出た後はそれらも不正行為とされるようになった。
( イ )文部科学省は税金を科学研究費補助金などの公的資金に充てて科学技術の振興を図る立場なので、このような不正行為に関するガイドラインを公表したが、個人が自らの資金と努力で研究活動を行い、その成果を世の中に公表する場合には、このガイドラインの内容を考慮する必要はない。
( ウ )同じ研究成果であっても、日本語と英語で別々の学会に論文を発表する場合には、上記ガイドラインの二重投稿には当たらない。
( エ )研究者 A は研究者 B と共同で研究成果をまとめ、連名で英語の論文を執筆し発表した。その後 A は単独で、日本語で本を執筆することになり、当該論文の一部を翻訳して使いたいと考え、B に相談して了解を得た。