問題
( ア )人工知能技術は、人にしかできないと思われてきた高度な思考や推論、行動を補助・代替できるようになりつつある。その一方で、人工知能技術を応用したサービス等によって人の心や行動が操作・誘導されたり、評価・順位づけされたり、感情、愛情、信条に働きかけられるとすれば、そこには不安や懸念が生じる可能性がある。
( イ )人工知能技術の利活用によって、生産性が向上する。人と人工知能技術が協働することは人間能力の拡張とも言え、新しい価値観の基盤となる可能性がある。ただし、人によって人工知能技術や機械に関する価値観や捉え方は違うことを認識し、様々な選択肢や価値の多様性について検討することが大切である。
( ウ )人工知能技術はビッグデータの活用でより有益となる。その利便性と個人情報保護(プライバシー)を両立し、萎縮効果を生まないための制度(法律、契約、ガイドライン)の検討が必要である。
( エ )人工知能技術の便益を最大限に享受するには、人工知能技術に関するリテラシーに加えて、個人情報保護に関するデータの知識、デジタル機器に関するリテラシーなどがあることが望ましい。ただし、全ての人がこれらを有することは現実には難しく、いわゆる人工知能技術デバイドが出現する可能性がある。