問題
アクセス時間が50[ns]のキャッシュメモリとアクセス時間が450[ns]の主記憶からなる計算機システムがある。呼び出されたデータがキャッシュメモリに存在する確率をヒット率という。ヒット率が90%のとき、このシステムの実効アクセス時間として最も近い値は( ア )となり、主記憶だけの場合に比べて平均( イ )倍の速さで呼び出しができる。
コンピュータの構造とアクセス時間に関する基礎的な問題ですね。技術士試験では頻出です。落ち着いて解いていきましょう。
キャッシュメモリは、中央演算処理装置(CPU)と主記憶装置の間にある記憶装置です。
つまり、CPUにより近いのはキャッシュメモリであり、必然的にアクセス時間が主記憶装置へのアクセス時間よりも速くなります。ただし、呼び出されたデータがキャッシュメモリにない場合は、主記憶装置までアクセスする必要があります。
問題文より、呼び出されたデータがキャッシュメモリに存在する確率をヒット率というのですから、90%の確率で、アクセス時間は50[ns]となり、10%の確率で、主記憶装置までアクセスしなければならず、アクセス時間は450[ns]となります。
したがって、このシステムの実効アクセス時間として最も近いのは、
50 x 0.9 + 450 x 0.1 = 45 + 45 = 90 で、90[ns]となります。
ここから、主記憶だけの場合に比べて、450 / 90 = 5 で、平均5倍の速さで呼び出しができることになります。
これを正しく並べ替えて、5. が正解選択肢となります。
<正解>5
[解説]
実効アクセス時間に関する計算の問題です。
(ア)及び(イ)に入る数値又は語句は、以下のとおりです。
(ア)90[ns]
呼び出されたデータは、キャッシュメモリか主記憶のいずれかにあり、
それぞれのアクセス時間は、50[ns]、450[ns]で、
キャッシュメモリにある確率(ヒット率)が、90%と問題文に与えられています。
これより、主記憶にある確率は1‐90%=10%となり、
実効アクセス時間は、
50 [ns] × 0.9 + 450 [ns] × 0.1
= 45 + 45 = 90 で、
90[ns]
となります。
(イ)5
仮に主記憶だけの場合には、
アクセス時間は、450[ns]となることから、
このシステムにおいては、
450 / 90 = 5
つまり、平均5倍の速さで呼び出しができることになります。
よって、5が正解となります。