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行政書士の過去問 平成28年度 法令等 問7

問題

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法の下の平等に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。
   1 .
憲法が条例制定権を認める以上、条例の内容をめぐり地域間で差異が生じることは当然に予期されることであるから、一定の行為の規制につき、ある地域でのみ罰則規定が置かれている場合でも、地域差のゆえに違憲ということはできない。
   2 .
選挙制度を政党本位のものにすることも国会の裁量に含まれるので、衆議院選挙において小選挙区選挙と比例代表選挙に重複立候補できる者を、一定要件を満たした政党等に所属するものに限ることは、憲法に違反しない。
   3 .
法定相続分について嫡出性の有無により差異を設ける規定は、相続時の補充的な規定であることを考慮しても、もはや合理性を有するとはいえず、憲法に違反する。
   4 .
尊属に対する殺人を、高度の社会的非難に当たるものとして一般殺人とは区別して類型化し、法律上刑の加重要件とする規定を設けることは、それ自体が不合理な差別として憲法に違反する。
   5 .
父性の推定の重複を回避し父子関係をめぐる紛争を未然に防止するために、女性にのみ100日を超える再婚禁止期間を設けることは、立法目的との関係で合理性を欠き、憲法に違反する。
( 行政書士試験 平成28年度 法令等 問7 )
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この過去問の解説 (3件)

5
肢4が正解

肢1
最大判昭33・10・15刑集一二・一四・三三〇五の理解を問う肢です。

上記判例では、東京都が制定した売春等取締条例の罰則が、地域によつて取扱に差別を生ずるが故に、憲法14条の掲げる平等の原則に反するかが争われました。

判例では、憲法が94条で地方公共団体の条例制定権を認める以上「地域によつて差別を生ずることは当然に予期されることであるから、かかる差別は憲法みずから容認するところであると解すべきであ」り、「地方公共団体が売春の取締について各別に条例を制定する結果、その取扱に差別を生ずることがあつても、所論のように地域差の故をもつて違憲ということはできない」としました。

よって、肢1は判例に照らし、妥当です。


肢2
最大判平11・11・10民集五三・八・一五七七および最大判平11・11・10民集五三・八・一七〇四の理解を問う肢です。

上記は、従来の衆議院議員の選挙制度について、中選挙区制に替えて、政策本位、政党本位の新たな選挙制度を採用する必要があるとして、平成6年に小選挙区比例代表並立制が公職選挙法の改正によって成立し、これに依拠してなされた平成8年10月20日施行の衆議院議員総選挙のうち東京都選挙区における小選挙区選挙および比例代表選挙がそれぞれ無効であるとして争われた判例です。

上記比例代表選挙の無効が争われた最大判平11・11・10民集五三・八・一五七七において、判例は「政策本位、政党本位の選挙制度というべき比例代表選挙と小選挙区選挙とに重複して立候補することができる者が候補者届出政党の要件と衆議院名簿届出政党
等の要件の両方を充足する政党等に所属する者に限定されていることには、相応の合理性が認められるのであって、不当に立候補の自由や選挙権の行使を制限するとはいえず、これが国会の裁量権の限界を超えるものとは解されない。」としています。

よって、肢2は判例に照らし、妥当です。


肢3
最大決平25・9・4民集六七・六・一三二〇の理解を問う肢です。

上記は、従来民法900条4号ただし書前段が「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一と」する旨規定していたところ、その合憲性について争われた判例です。

判例は従来(最大決平7・7・5民集四九・七・一七八九以来)結論としては本件規定を合憲とする判断を示してきましたが、それを変更し、立法府の裁量を考慮ても、民法900条4号ただし書前段の規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた、としました(これを受けて、民法900条4号ただし書前段の規定は削除(平成25年12月11日施行))。

よって、肢3は、判例に照らし、妥当です。


肢4
最大判昭48・4・4刑集二七・三・二六五の理解を問う肢です。

上記は従来尊属殺につき、刑法200条(現在は削除)法定刑を死刑または無期懲役のみに限っていた点について合憲性が争われた事件で、判例は、被害者が尊属であることを類型化し、法律上、刑の加重要件とする規定を設けても憲法14条1項に違反しないが、法定刑が死刑または無期懲役のみに限られている点について、その立法目的達成のための必要な限度をはるかに超え、憲法14条1項に違反するとしました。

肢4は、「法律上刑の加重要件とする規定を設けることは、それ自体が不合理な差別として憲法に違反する」としていますので、上記趣旨に合致せず、判例に照らし、妥当ではないといえます。

なお、肢4の立場は、上記判例に付された田中二郎等六裁判官意見(結論は判例と同じだが、理由が異なるもの)と同趣旨のものです。

よって、肢4が正解です。


肢5
最大判平27・12・16民集六九・八・二四二七の理解を問う肢です。

6箇月の再婚禁止期間を定める民法733条1項の規定が、憲法14条1項及び24条2項に違反するかが争われましたが、判例は、民法733条1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は,平成20年当時において,憲法14条1項,24条2項に違反するに至っていた、としました。

本件では、父性の推定の重複を回避し父子関係をめぐる紛争を未然に防止するという立法目的の合理性は認められるが、100日を超えて再婚禁止期間を六ヶ月とした部分につき、立法目的との関連において合理性を欠く、とされました。

よって、肢5は、判例に照らし、妥当です。

付箋メモを残すことが出来ます。
1
1:最判昭和33年10月15日で判示された内容です。
「憲法が条例制定権を認める以上、条例の内容をめぐり地域間で差異が生じることは当然に予期されることであるから、一定の行為の規制につき、ある地域でのみ罰則規定が置かれている場合でも、地域差のゆえに違憲ということはできない。」

2:最判平成11年11月10日で判示された内容です。
「国会は、その裁量により、衆議院議員及び参議院議員それぞれについて公正かつ効果的な代表を選出するという目標を実現するために適切な選挙制度の仕組みを決定することができるのであるから、国会が新たな選挙制度の仕組みを採用した場合には、その具体的に定めたところが、右の制約や法の下の平等などの憲法上の要請に反するため国会の右のような広い裁量権を考慮してもなおその限界を超えており、これを是認することができない場合に、初めてこれが憲法に違反することになるものと解すべき」

3:最決平成25年9月4日で示された内容です。
「立法府の裁量権を考慮しても,嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていた」

4:最判昭和48年4月4日に判示された内容と異なります。
「刑法二〇〇条は、尊属殺の法定刑を死刑または無期懲役刑のみに限つている点において、その立法目的達成のため必要な限度を遥かに超え、普通殺に関する刑法一九九条の法定刑に比し著しく不合理な差別的取扱いをするものと認められ、憲法一四条一項に違反して無効である」

5:最判平成27年12月16日に判示された内容です。
「本件規定のうち100日超過部分は,婚姻及び家族に関する事項について国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超えるものとして,その立法目的との関連において合理性を欠く」

0
1:正
最高裁S33.10.15判決.「憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、地域によって差別を生ずることは当然に予期されることであるから、かかる差別は憲法みずから容認するところであると解すべきである。それ故、地方公共団体が売春の取締について各別に条例を制定する結果、その取扱に差別を生ずることがあっても、所論のように地域差の故をもって違憲ということはできない。」
2:正
最高裁H11.11.10判決「政党本位の選挙制度というべき比例代表選挙と小選挙区選挙とに重複して立候補することができる者が候補者届出政党の要件と衆議院名簿届出政党等の要件の両方を充足する政党等に所属する者に限定されていることには、相応の合理性が認められるのであって、不当に立候補の自由や選挙権の行使を制限するとはいえず、これが国会の裁量権の限界を超えるものとは解されない。」
3:正
最高裁H25.9.4決定「遅くとも被相続人の相続が開始した当時においては、立法府の裁量権を考慮しても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべきである」として民法904条1号但し書きの規定を違憲とした。
4:誤
最高裁S48.4.4判決
「尊属の殺害は通常の殺人に比して一般に高度の社会的道義的非難を受けて然るべきであるとして、このことをその処罰に反映させても、あながち不合理であるとはいえない。」としており、選択肢の「法律上刑の加重要件とする規定を設けることは、それ自体が不合理な差別として憲法に違反する。」部分は誤り。
5:正
最高裁H27.12.4判決
「本件規定のうち100日超過部分は,遅くとも上告人が前婚を解消した日から100日を経過した時点までには,婚姻及び家族に関する事項について国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超えるものとして,その立法目的との関連において合理性を欠くものになっていたと解される。・・・以上の次第で,本件規定のうち100日超過部分が憲法24条2項にいう両性の本質的平等に立脚したものでなくなっていたことも明らかであり,上記当時において,同部分は,憲法14条1項に違反するとともに,憲法24条2項にも違反するに至っていたというべきである。」



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