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行政書士の過去問 平成29年度 一般知識等 問41

問題

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次の文章の空欄(ア)〜(エ)に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。

その保障の根拠に照らして考えるならば、表現の自由といつても、そこにやはり一定の限界があることを否定し難い。(ア)が真実に反する場合、そのすべての言論を保護する必要性・有益性のないこともまた認めざるをえないのである。特に、その(ア)が真実に反するものであつて、他人の(イ)としての名誉を侵害・毀損する場合においては、(イ)の保護の観点からも、この点の考慮が要請されるわけである。私は、その限界は以下のところにあると考える。すなわち、表現の事前規制は、事後規制の場合に比して格段の慎重さが求められるのであり、名誉の侵害・毀損の被害者が公務員、公選による公職の候補者等の(ウ)人物であつて、その(ア)が(ウ)問題に関する場合には、表現にかかる事実が真実に反していてもたやすく規制の対象とすべきではない。しかし、その表現行為がいわゆる(エ)をもつてされた場合、換言すれば、表現にかかる事実が真実に反し虚偽であることを知りながらその行為に及んだとき又は虚偽であるか否かを無謀にも無視して表現行為に踏み切つた場合には、表現の自由の優越的保障は後退し、その保護を主張しえないものと考える。けだし、右の場合には、故意に虚偽の情報を流すか、(ア)の真実性に無関心であつたものというべく、表現の自由の優越を保障した憲法二一条の根拠に鑑み、かかる表現行為を保護する必要性・有益性はないと考えられるからである。
(最大判昭和61年6月11日民集40巻4号872頁・裁判官谷口正孝の補足意見)
   1 .
(ア)差別的表現   (イ)自己決定権  (ウ)社会的  (エ)誹謗中傷
   2 .
(ア)不公正な論評  (イ)相当な誤信  (ウ)論争的  (エ)自己実現
   3 .
(ア)表現内容    (イ)人格権    (ウ)公的   (エ)現実の悪意
   4 .
(ア)人物評価    (イ)私的領域   (ウ)公益的  (エ)表現手段
   5 .
(ア)表現内容    (イ)自己決定権  (ウ)公的   (エ)表現手段
( 行政書士試験 平成29年度 一般知識等 問41 )
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この過去問の解説 (4件)

7
この事件(「北方ジャーナル」事件)は、
北海道知事選に立候補を予定していたYを「利権漁り」などとして
知事候補として不適格であると論じていた北方ジャーナルという月刊誌について、
Yが名誉権の侵害を予防するために同誌4月号の執行官保管、印刷、製本及び販売または頒布の禁止を命じる仮処分を札幌地裁に申請し、
即日仮処分申請を認め、執行しました。
これに対して北方ジャーナル社長Xは、
Yに対しては民法第709条により、
国(Y2)に対しては国家賠償法第1条により、
損害賠償事件を提起しました。
1審はXの主張を退け、
2審も1審の主張を支持。
Xは仮処分及びその申請が、憲法第21条の禁止する検閲及び事前抑制に当たり
表現の自由を侵すとして上告しました。

これに対し、最高裁は上告を棄却。
本問は、谷口裁判官の補足意見を題材に出題がされたものです。

前提として、多数説は、
検閲概念に関し、
昭和59年大法廷判決の採る再狭義概念を採り
裁判所の仮処分による事前差止めは
憲法21条2項の禁止する検閲には当たらないと判示します。

例外的に裁判所による仮処分による差止めが
許される基準として、
①公共の利害に関する事項についての表現につき
②(a)表現内容が真実でない
または
②(b)専ら公益を図る目的でないことが明白
かつ、
被害者が重大で著しく回復困難な被害を被る恐れがあること、をあげています。

この多数意見に対する谷口補足意見は、
多数意見の仮処分による出版の事前差止めの要件が広範に過ぎると主張し、
表現する者に、表現する内容が、虚偽であると知ったうえで表現したこと、
あるいは
虚偽であることに無頓着な場合に、出版の事前差止めの仮処分が、許されると主張したのです。

さて、本問自体の回答ですが、
(ア)表現内容
(イ)人格権
(ウ)公的
(エ)現実の悪意
の語が入り、
答えとしては
3 が正答となります。

付箋メモを残すことが出来ます。
2
正解は、ア20表現内容 イ17人格権 ウ9公的 エ19現実の悪意
本問は、北方ジャーナル事件と呼ばれる裁判の最高裁判決(最判S61.6.11)に付された谷口裁判官の「意見」です。「公的問題に関する雑誌記事等の事前の差止めの要件について、私は、多数意見の説くところと些か所見を異にするので、以下この点について述べることとする。」との書き出しで始まる文書の一部が抜粋されています。

ア~ウは読解力で回答できますが、エは少し難しかったかもしれません。同判例に対する伊藤正己裁判官の補足意見を一部引用します。
「つぎに、谷口裁判官の意見に示された「現実の悪意」の基準が考えられる。これは、表現の自由のもつ重要な価値に着目して、その保障を強くする理論であつて、この見解に対して深い敬意を表するものである。そして、同裁判官が本件における多数意見の結論に賛成されることでも明らかなように、この見解をとつても本件において結論は変ることはなく、あえていえば、異なる視角から同じ結論に到達するものといえなくもない。ただ私としては、たとえ公的人物を対象とする名誉毀損の場合に限るとしても、これを事前の規制に対する判断基準として用いることに若干の疑問をもつている。客観的な事実関係から現実の悪意を推認することも可能ではあるが、それが表現行為者の主観に立ち入るものであるだけに、仮処分のような迅速な処理を要する手続において用いる基準として適当でないことも少なくなく、とくに表現行為者の意見を聞くことなしにこの基準を用いることは、妥当性を欠くものと思われる。私は、この基準を、公的な人物に対する名誉毀損に関する事後の制裁を考える場合の判断の指標として、その検討を将来に保留しておきたいと思う。」

2
ア:表現内容
表現内容が真実に反する場合、それは保護に値しません。

イ:人格権
判例は、「人格権としての名誉権に基づき…」とし、人格権としての個人の名誉の保護(憲法13条)と表現の自由(憲法21条)との兼ね合いについて慎重な考慮が必要であるとしています。

ウ:公的
判例は、「対象が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等の表現行為に関するものである場合には、そのこと自体から、一般にそれが公共の利害に関する事項であるということができ、…」とし、公務員、公選による公職の候補者等を公的人物としています。

エ:現実の悪意
「表現にかかる事実が真実に反し虚偽であることを知りながら」とあるため、「現実の悪意」が該当します。

したがって、③が正解です。

1
この問題は「北方ジャーナル事件」という表現の自由に関する判例のものです。

①裁判所による、出版物の「仮処分による差止め」が検閲にあたるか
②検閲にあたらないとしても、表現の自由に違反しないか
が問題となりました。

結論として
①については検閲にあたらないとし、
②について、(1)原則、事前差止めは許されないが、(2)例外として表現内容が真実でなく、それがもっぱら公益を図る目的でないことが明白、かつ被害者が重大にして著しく回復困難な被害を被る恐れがあるときに限り事前差止めが許される、としました。

上記内容が理解できていればあとは前後の文脈から正解を導き出せます。

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