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行政書士の過去問 平成30年度 法令等 問26

問題

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ある市立保育所の廃止に関する以下の会話を受けてCが論点を整理した次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

A:「友人が居住している市で、3つある市立保育所を廃止するための条例が制定されるらしいんだ。この場合、どうしたら、条例の制定を阻止できるのだろうか。」
B:「議会への働きかけも含めていろいろ考えられるけれども、その他、何らかの訴訟を提起することも考えられるね。」
C:「行政事件訴訟法と地方自治法を勉強するいい機会だから、すこし考えてみよう。」
   1 .
特定の市立保育所のみを廃止する条例の効力を停止するために、当該条例の効力の停止の申立てのみを、それに対する抗告訴訟の提起の前に行うことができる。
   2 .
特定の市立保育所を廃止する条例の制定行為については、住民訴訟によってその差止めを求めることができる。
   3 .
3条例の制定行為は、普通地方公共団体の議会が行う立法行為に属するが、一般的に抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されている。
   4 .
特定の市立保育所の廃止条例の制定に関する議決を阻止するため、一定数の選挙人の署名により、地方自治法上の直接請求をすることができる。
   5 .
処分の取消判決や執行停止の決定には第三者効が認められているため、市立保育所廃止条例の制定行為の適法性を抗告訴訟によって争うことには合理性がある。
( 行政書士試験 平成30年度 法令等 問26 )
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この過去問の解説 (3件)

8
正解は5

1× 差止めが出来るのは、訴えの提起があった場合です。「処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。」(行政事件訴訟法25条2項本文)

2× 肢2のような、条例制定を住民訴訟によって差止めを求めるというような権利は認められていません。なお、執行機関または職員に対して、違法・不当な行為を差止める請求は可能です(地方自治法242条の2第1項1号)。

3× 判例(最判H21.11.26)は、「公の施設である保育所を廃止するのは,市町村長の担任事務であるが(地方自治法149条7号),これについては条例をもって定めることが必要とされている(同法244条の2)。条例の制定は,普通地方公共団体の議会が行う立法作用に属するから,一般的には,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものでないことはいうまでもない」としていますので、行政処分に当るとする肢3は誤りです。

4× 直接請求の対象は「条例の制定又は改廃」(地方自治法74条1項。ただし、2019年の法改正で削除されています)であって、本設問のような個別の議決を阻止するための請求はできません。

5× 判例(最判H21.11.26)の通りです。「市町村の設置する保育所で保育を受けている児童又はその保護者が,当該保育所を廃止する条例の効力を争って,当該市町村を相手に当事者訴訟ないし民事訴訟を提起し,勝訴判決や保全命令を得たとしても,これらは訴訟の当事者である当該児童又はその保護者と当該市町村との間でのみ効力を生ずるにすぎないから,これらを受けた市町村としては当該保育所を存続させるかどうかについての実際の対応に困難を来すことにもなり,処分の取消判決や執行停止の決定に第三者効(行政事件訴訟法32条)が認められている取消訴訟において当該条例の制定行為の適法性を争い得るとすることには合理性がある。」

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6
①妥当でない
効力(処分)の停止については、「処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができません(行訴法25条2項)。」
すなわち、効力の停止は、他の執行・手続の停止によって目的が達成できないときにのみ、認められることになります。
したがって、当該条例の効力の停止の申立てのみを、それに対する抗告訴訟の提起の前に行うことはできません。

②妥当でない
差止訴訟は、抗告訴訟に属し、住民訴訟(=民衆訴訟)ではありません。
また、条例の制定行為そのものは私人間に対して個別具体的な影響を及ぼすものではないため、処分性はありません(=抗告訴訟対象外)。

③妥当でない
②の解説後半を参照してください。

④妥当でない
条例の制定又は改廃を請求するには、総数の1/50以上の連署が必要であり、その総数の1/50以上の連署を得ることができれば、その首長に対して請求することができます(自治法74条1項)。
しかし、最終的に条例の制定又は改廃を決定するのは議会であり、住民が議決を阻止できるわけではありません。

⑤妥当
判例は、「本件各保育所の廃止のみを内容とするものであって…、施行により保育所廃止の効果を発生させ…、保育を受けることを期待し得る上記の法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから…、行政庁の処分と実質的に同視し得るもの」とし、市立保育所廃止条例の制定行為の適法性を抗告訴訟によって争うことには合理性があるとしました。

したがって、⑤が正解です。

5
1.妥当でない
処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、執行停止をすることができます(行訴法25条2項本文)。取消訴訟の係属が執行停止申立ての要件となります。

2.妥当でない
住民訴訟の対象は、違法な財務会計上の行為又は怠る事実なので、条例の制定行為は住民訴訟の対象となりません。

3.妥当でない
条例制定行為は立法作用だから、抗告訴訟の対象にはなりません。

4.妥当でない
地方自治法の定める直接請求には、条例の制定改廃請求があるが、これはすでに存在するものが対象である。したがって、条例の制定の議決を阻止するのは対象になりません。

5.妥当である
判例は、取消判決や執行停止の決定に第三者効が認められている取消訴訟において当該条例の制定行為の適法性を争いうるとすることは合理性があるとしています。





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