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行政書士の過去問 令和元年度 法令等 問34

問題

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不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
   1 .
精神障害者と同居する配偶者は法定の監督義務者に該当しないが、責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし、第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行い、その態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には、当該配偶者は法定の監督義務者に準ずべき者として責任無能力者の監督者責任を負う。
   2 .
兄が自己所有の自動車を弟に運転させて迎えに来させた上、弟に自動車の運転を継続させ、これに同乗して自宅に戻る途中に、弟の過失により追突事故が惹起された。その際、兄の同乗後は運転経験の長い兄が助手席に座って、運転経験の浅い弟の運転に気を配り、事故発生の直前にも弟に対して発進の指示をしていたときには、一時的にせよ兄と弟との間に使用関係が肯定され、兄は使用者責任を負う。
   3 .
宅地の崖地部分に設けられたコンクリートの擁壁の設置または保存による瑕疵が前所有者の所有していた際に生じていた場合に、現所有者が当該擁壁には瑕疵がないと過失なく信じて当該宅地を買い受けて占有していたとしても、現所有者は土地の工作物責任を負う。
   4 .
犬の飼主がその雇人に犬の散歩をさせていたところ、当該犬が幼児に噛みついて負傷させた場合には、雇人が占有補助者であるときでも、当該雇人は、現実に犬の散歩を行っていた以上、動物占有者の責任を負う。
   5 .
交通事故によりそのまま放置すれば死亡に至る傷害を負った被害者が、搬入された病院において通常期待されるべき適切な治療が施されていれば、高度の蓋然性をもって救命されていたときには、当該交通事故と当該医療事故とのいずれもが、その者の死亡という不可分の一個の結果を招来し、この結果について相当因果関係がある。したがって、当該交通事故における運転行為と当該医療事故における医療行為とは共同不法行為に当たり、各不法行為者は共同不法行為の責任を負う。
( 行政書士試験 令和元年度 法令等 問34 )
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この過去問の解説 (3件)

9
正解:4

1:妥当です
 判例(最判H28.3.1)は、精神障害による成人の責任無能力者の配偶者は、民法714条1項の法定の監督義務者に該当しないとしたうえで、「法定の監督義務者に該当しない者であっても、責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし、第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には、衡平の見地から法定の監督義務を負う者と同視してその者に対し民法714条にもとづく損害賠償責任を問うことができる」、としています。

2:妥当です
 判例(最判S56.11.27)は、運転歴の浅い弟に迎えに来させ、弟に運転を継続させ、自宅に帰る途中で交通事故が発生した場合において、兄が弟を指揮監督し、自己を自宅に送り届けるという仕事に従事させていたといえるとして、兄と弟の間に民法715条1項にいう使用者・被用者の関係の成立を認め、兄は使用者責任を負う、としています。

3:妥当です
 判例(大判S3.6.7)は、建物・工作物等が本来備えるべき安全性を欠く場合には、設置又は保存に瑕疵があるものとして、民法717条所定の帰責原因となり、その責任は無過失責任であるとし、瑕疵がないと信じ過失なく買い受けた者であっても、その工作物を現に所有するというだけで民法717条の責任を負う、としています。

4:妥当ではありません
 雇人は、「動物占有者の責任を負う」との記載は、妥当ではありません。
 民法718条には、「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。」と規定されていますが、雇人は、占有者にあたりません。したがって、当該雇人は、動物占有者の責任を負う必要はありません。

5:妥当です
 判例(最判H13.3.13)は、「交通事故と医療事故とが順次競合し、そのいずれもが被害者の死亡という不可分の1個の結果を招来しこの結果について相当因果関係を有する関係にあって、運転行為と医療行為とが共同不法行為に当たる場合において、各不法行為者は被害者の被った損害の全額について連帯責任を負うべき」としています。

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4
正解は4

1〇 同様の事例(最判H28.3.1)では、「法定の監督義務者に該当しない者であっても,責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし,第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には,法定の監督義務者に準ずべき者として,民法714条1項が類推適用される」旨、判事されています。そのため、正しい記載です。

2〇 同様の事例(最判S56.11.27)では、「兄が、その出先から自宅に連絡して弟に兄所有の自動車で迎えに来させたうえ、弟に右自動車の運転を継続させ、これに同乗して自宅に帰る途中で交通事故が発生した場合において、兄が右同乗中助手席で運転上の指示をしていた等判示の事情があるときは、兄と弟との間には右事故当時兄を自動車により自宅に送り届けるという仕事につき、民法七一五条一項にいう使用者・被用者の関係が成立していたと解するのが相当である」旨、判事されています。そのため、正しい記載です。

3〇 同様の判例(大判S3.6.7)では、「工作物の所有者は、その設置又は保存による瑕疵が前所有者の所有していた場合であっても、工作物の所有者としての責任を負う」旨、判事されています。そのため、正しい記載です。

4× 動物の占有者は、「その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う」(同法718条1項本文)とされていますが、占有補助者(独立の地位を有しない者)は、代理占有者に当たりません。そのため、当該雇人は動物占有者の責任を負いません。

5〇 同様の判例(最判H13.3.13)では、「交通事故と医療事故とが順次競合し,そのいずれもが被害者の死亡という不可分の一個の結果を招来しこの結果について相当因果関係を有する関係にあって,運転行為と医療行為とが共同不法行為に当たる場合において,各不法行為者は被害者の被った損害の全額について連帯責任を負うべき」旨、判事されています。そのため、正しい記載です。

0
正解:④

①正しい
正しい記述です。
②正しい
正しい記述です。
③正しい
正しい記述です。
④誤り
民法718条では、「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う」とされています。
判例では、「占有補助者たる使用人は、占有者でも保管者でもない」とされているため、雇人は動物占有者の責任を負いません。
⑤正しい
正しい記述です。

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