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行政書士の過去問 令和2年度 法令等 問33

問題

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A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約(以下、「本件賃貸借契約」という。)が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
   1 .
本件賃貸借契約における賃貸人の地位は、別段の合意がない限り、AからCに移転する。
   2 .
乙建物の所有権保存登記がBと同居する妻Dの名義であっても、Bは、Cに対して、甲土地の賃借権をもって対抗することができる。
   3 .
Cは、甲土地について所有権移転登記を備えなければ、Bに対して、本件賃貸借契約に基づく賃料の支払を請求することができない。
   4 .
本件賃貸借契約においてAからCに賃貸人の地位が移転した場合、Bが乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、Bは、Cに対して、直ちにその償還を請求することができる。
   5 .
本件賃貸借契約の締結にあたりBがAに対して敷金を交付していた場合において、本件賃貸借契約が期間満了によって終了したときは、Bは、甲土地を明け渡した後に、Cに対して、上記の敷金の返還を求めることができる。
( 行政書士試験 令和2年度 法令等 問33 )
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この過去問の解説 (3件)

8

正解 2
  
 ①AとBは甲土地の賃貸借契約を締結し、
 ②Bが甲土地に乙建物築した後、所有権保存登記をした。
 ③AはCに甲土地を売却した。
というケースです。

1.妥当
 選択肢のとおりです。

 民法605条の2第1項のとおり、賃借権の対抗要件を備えた場合、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、譲受人に移転します。

 したがって、賃貸人の地位は、Aから譲受人であるCに移転します。

 ※借地借家法10条=借地上に保存登記をした建物を所有している


2.妥当でない
 判例は、賃借人(B)は、借地上(甲土地)にある建物(乙建物)の登記の名義人が本人以外(同居する妻D)の場合、当該土地の買主(甲土地の買主)に対して、当該土地(甲土地)の賃借権をもって主張できない、としています(最判昭47.6.22)。


3.妥当
 選択肢のとおりです。

 民法605条の2第3項のとおり、賃貸人の地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権移転登記をしなければ賃借人に対抗できません。

 したがって、賃貸人の変更は、賃借人に対抗できないので、甲土地の買主(C)が新賃貸人として賃借人(B)に対して、甲土地の賃料支払請求をするには登記を要します。


4.妥当
 選択肢のとおりです。

 民法608条1項のとおり、AからCに賃貸人の地位が移転した場合、B(賃借人)が乙建物につき、賃貸人の負担する必要費を支出した場合、C(賃貸人)に対して直ちにその必要費の償還請求をすることができます。


5.妥当
 選択肢のとおりです。

 民法605条の2第4項のとおり、賃貸借契約の期間満了により終了した場合、Cが新賃貸人の地位を引継ぎますので、敷金の返還も引継ぎます。
 したがって、B(賃借人)は、甲土地を明け渡した後に、Cに対して敷金返還請求をすることができます。

付箋メモを残すことが出来ます。
2

正解は「乙建物の所有権保存登記がBと同居する妻Dの名義であっても、Bは、Cに対して、甲土地の賃借権をもって対抗することができる。」です。

選択肢1. 本件賃貸借契約における賃貸人の地位は、別段の合意がない限り、AからCに移転する。

妥当です。

借地借家法第31条1項より、建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。」とあります。

選択肢2. 乙建物の所有権保存登記がBと同居する妻Dの名義であっても、Bは、Cに対して、甲土地の賃借権をもって対抗することができる。

妥当ではありません。

判例より「土地の賃借人は、借地上に妻名義で保存登記を経由した建物を所有していても、その後その土地の所有権を取得した第三者に対し、建物保護に関する法律1条により、その土地の賃借権をもつて対抗することができない。」とあるためです。(最判昭47.6.22)

選択肢3. Cは、甲土地について所有権移転登記を備えなければ、Bに対して、本件賃貸借契約に基づく賃料の支払を請求することができない。

妥当です。

民法605条の2第3項より、賃貸人の変更は所有権移転登記なくして、賃借人に対抗できません。

選択肢4. 本件賃貸借契約においてAからCに賃貸人の地位が移転した場合、Bが乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、Bは、Cに対して、直ちにその償還を請求することができる。

妥当です。民法608条1項に従います。

選択肢5. 本件賃貸借契約の締結にあたりBがAに対して敷金を交付していた場合において、本件賃貸借契約が期間満了によって終了したときは、Bは、甲土地を明け渡した後に、Cに対して、上記の敷金の返還を求めることができる。

妥当です。

民法605条の2第4項に従います。

賃貸人の地位移転により、敷金返還義務も譲受人に承継されます。

0

この問題でポイントは民法605条の2です。

民法605条の2は不動産の賃貸人の地位の移転についての記載がされており、内容は以下の通りです。

1.借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する

2.不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する

3.1又は2の規定による賃貸人の地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権移転の登記を

 しなければ、賃借人に対抗することができない。

4. 1又は2の規定による賃貸人の地位の移転をしたときは、費用償還の債務及び敷金返還の債務は

譲受人又はその承継人が承継する。

では、実際に解説を見ていきましょう。

選択肢1. 本件賃貸借契約における賃貸人の地位は、別段の合意がない限り、AからCに移転する。

解説の冒頭と選択肢1の文章を照らし合わせて、読んでみましょう。

民法605条の2の1より、法令に定められる対抗要件を備えた場合、不動産が譲渡されたときは、賃貸人の地位は譲受人に移転するとされます。

よって、本件賃貸借契約における賃貸人の地位は、別段の合意がない限り、譲渡人Aから譲受人Cに移転するとなります。

選択肢2. 乙建物の所有権保存登記がBと同居する妻Dの名義であっても、Bは、Cに対して、甲土地の賃借権をもって対抗することができる。

最判例昭47.6.22より、土地の賃借人は、借地上に妻名義で保存経由した建物を所有していても、その後その土地を取得した第三者に対し、建物保護に関する法律1条により、その土地の賃借権を持って対抗できないとされています。

よって、乙建物の所有権保存登記がBと同居する妻Dの名義であっても、Bは、土地を取得した第三者Cに対して、甲土地の賃借権をもって対抗することができないとなります。

選択肢3. Cは、甲土地について所有権移転登記を備えなければ、Bに対して、本件賃貸借契約に基づく賃料の支払を請求することができない。

民法605条の2の3より、賃貸物である不動産について所有権移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができないとなっています。

よって、Cは、甲土地について所有権移転登記を備えなければ、Bに対して、本件賃貸借契約に基づく賃料の支払を請求することができないとなります。

選択肢4. 本件賃貸借契約においてAからCに賃貸人の地位が移転した場合、Bが乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、Bは、Cに対して、直ちにその償還を請求することができる。

民法608条より、賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができるとされています。

よって、賃借人Bが乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、Bは、Cに対して、直ちにその償還を請求することができるとなります。

選択肢5. 本件賃貸借契約の締結にあたりBがAに対して敷金を交付していた場合において、本件賃貸借契約が期間満了によって終了したときは、Bは、甲土地を明け渡した後に、Cに対して、上記の敷金の返還を求めることができる。

民法605条の2の4より、賃貸人の地位が移転したときは、費用償還の債務及び敷金返還の債務は

譲受人又はその承継人が承継するとされています。

よって、賃借人Bは、甲土地を明け渡した後に、譲受人Cに対して、敷金の返還を求めることができるとなります。

まとめ

この賃貸借契約に関する問題はよく出てくるので、民法605条の2の条文の理解はもちろん、その周辺の条文も理解を深めていきましょう。

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