マンション管理士の過去問 平成27年度（2015年） 問31

正解（誤っているもの）は、3です。

1 正しい。
標準管理規約第58条第3項第1項によれば、理事長は、会計年度の開始後に収支予算案の承認を得られるまでの間に、通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、かつ承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものについて、理事会の承認を得て支出を行うことができるとされています。したがって、選択肢は正しいです。

2 正しい。
標準管理規約コメント第58条関係②によれば、収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものについては、前年の会計年度における同経費の支出額のおよその範囲内であることが必要であるとされています。したがって、選択肢は正しいです。

3 誤り。
標準管理規約第58条第3項第2号によれば、総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費であって、収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの についても、理事長が理事会の承認を得て支出を行うことができるとされています。選択肢にある、改めての承認が不要とするC理事の発言は誤りです。

4 正しい。
標準管理規約第58条第4項によれば、収支予算案の承認を得たときは、当該収支予算案による支出とみなすとされています。したがって、選択肢は正しいです。

正答は　3　です。

1．理事長は、会計年度の開始後、会計年度の収支予算案の承認を得るまでの間、以下に掲げる経費の支出が必要となった場合には、理事会の承認を得てその支出を行うことができます（標準管理規約第58条3項）。
・通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、かつ、会計年度の収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの
・総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費であって、会計年度の収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの

2．選択肢1で説明した「通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、かつ、会計年度の収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの」は、前年の会計年度における同経費の支出額のおよその範囲内であることが必要であるとされています（標準管理規約コメント第58条関係②）。

3．選択肢1で説明した通り、理事長は、会計年度の開始後、会計年度の収支予算案の承認を得るまでの間、総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費であって、会計年度の収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものは、理事会の承認を得てその支出を行うことができます（標準管理規約第58条3項）。
したがって、新年度の経費の支出について理事会の承認は必要です。
よって、この設問は不適切です。

4．選択肢1で説明した通り、理事長は、会計年度の開始後、会計年度の収支予算案の承認を得るまでの間、経常的であり、かつ、会計年度の収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められる通常の管理に要する経費は、理事会の承認を得てその支出を行うことができます（標準管理規約第58条3項）。
この規定に基づき行った支出は、収支予算案の承認を得たときは、当該収支予算案による支出とみなされます（標準管理規約第58条4項）。

正解は３です。

１、適切です。
マンション標準管理規約（単棟型）58条第３項では、
「理事長は、第５６条に定める会計年度の開始後、第１項に定める承認を得るまでの間に、以下の各号に掲げる経費の支出が必要となった場合には、理事会の承認を得てその支出を行うことができる。」
１号では、
「第２７条に定める通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、かつ、第１項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの」と規定されています。

２、適切です。
マンション標準管理規約（単棟型）58条のコメント、② では、
「第３項第一号に定める経費とは、第２７条各号に定める経費のうち、経常的であり、かつ、第１項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものであることから、前年の会計年度における同経費の支出額のおよその範囲内であることが必要である。」とコメントされています。

３、不適切です。
選択肢１で説明した58条第３項の２号では、
「総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費であって、第１項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの」と規定されています。

４、適切です。
58条第４項では、
「前項の規定に基づき行った支出は、第１項の規定により収支予算案の承認を得たときは、当該収支予算案による支出とみなす。」と定めています。

以上から、不適切なのは３なので、正解は３です。