問題
教授:甲土地を所有しているAが、B所有の乙土地上に通行地役権の設定を受けたとします。Aは、乙土地上の通行地役権を、甲土地から分離して譲渡することができますか。
学生:(ア) 通行地役権の設定行為において別段の定めがされていなければ、Aは乙土地上の通行地役権のみを譲渡することができます。
教授:同じ事例で、CがAから甲土地を買い受けた場合に、Cが乙土地上の通行地役権を取得するためには、甲土地の売買契約において別段の定めが必要ですか。
学生:(イ) Cが乙土地上の通行地役権を取得するために、その通行地役権の移転について別段の定めをする必要はありません。
教授:事例を変えて、甲土地を所有しているAが、B所有の乙土地上に通行地役権の設定を受けていなかったものの、20年以上の期間にわたり、乙土地を事実上通行していたとします。その場合、乙土地の通行を目的とする地役権については、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものであれば、取得時効の対象となりますが、Aは、どのような場合に「 継続的に行使 」の要件を満たすことができますか。
学生:(ウ) 「 継続的に行使 」の要件を満たすためには、乙土地の上に通路が開設され、その通路をAが使用していることが必要ですが、通路の開設をA以外の第三者がした場合でも「 継続的に行使 」の要件を満たします。
教授:更に事例を変えて、甲土地を共有しているA及びDが、B所有の乙土地上に通行地役権の設定を受けていたとします。この事例において、その後、Aが甲土地に対する自己の持分をBに譲渡した場合、その持分についての通行地役権は混同により消滅しますか。
学生:(エ) BがAの持分を取得したとしても、その持分についての通行地役権が混同により消滅することはありません。
教授:同じ事例で、Dに通行地役権についての消滅時効の中断事由があるときには、Aのためにも通行地役権についての消滅時効の中断の効力は生じますか。
学生:(オ) 要役地の共有者の一人のために時効の中断がある場合でも、他の共有者との関係では消滅時効は進行しますのでAのためには通行地役権についての消滅時効の中断の効力は生じません。