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司法書士の過去問 平成25年度 午前の部 問11

問題

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民法上の留置権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  留置権者が留置物の一部をその過失により壊したとしても、債務者は、債務の全額を弁済しない限り、留置権の消滅を請求することはできない。

イ  留置権者が留置物の占有を継続していても、それにより被担保債権の消滅時効の進行が妨げられることはない。

ウ  留置権者は、債務者の承諾を得て留置物を第三者に賃貸することができ、賃貸によって得られた賃料を他の債権者に先立って被担保債権の弁済に充当することができる。

エ  留置権者は、留置物について、留置権による競売の申立てをすることができる。

オ  建物所有目的の土地の賃借人が賃貸人に対して建物買取請求権を行使した場合において、賃借人は、建物の買取代金の支払を受けるまでは、建物について留置権を主張して建物の敷地を占有することができ、敷地の賃料相当額の支払義務も負わない。
   1 .
アウ
   2 .
アオ
   3 .
イウ
   4 .
イエ
   5 .
エオ
( 平成25年度 司法書士試験 午前の部 問11 )
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この過去問の解説 (4件)

19
誤っている選択肢はアとオですので、正解は2となります。

ア:誤り
民法298条1項では
「留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。」
とされています。
また3項では
「留置権者が前2項の規定に違反したときは、債務者は留置権の消滅を請求することができる。」
とされています。
本肢のように、留置権者が故意に留置物の一部を破損させた場合、同条1項に違反したと考えられますので、債務者は債務の全額を弁済しなくても、留置権の消滅を請求することが出来ます。
従って本肢は誤りです。

イ:正しい
民法300条では、
「留置権の行使は、債権の消滅時効を妨げない」
と規定しています。
つまり、留置権者が留置物の占有を継続していても(=留置権の行使)それにより被担保債権の消滅時効が妨げられることはありませんから、本肢は正しいです。

ウ:正しい
民法297条では
「留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することが出来る」
と規定しています。
従って留置権者は留置物を他人に使用させ、そこから生じた賃料を自己の債権の弁済に充当することが出来ますので、本肢は正しいです。

エ:正しい
民事執行法195条では、留置権者が目的物を競売出来ると規定しています。これは債務者が債務を長期間にわたって履行せず、弁済が受けられないような場合等を想定しています。
従って本肢は正しいです。

オ:誤り
最判昭和35年9月20日では、本肢のような場合、建物の買取代金の支払を受けるまでは、建物について留置権を主張して建物の敷地を占有することが出来るとしました。
しかし、敷地の占有は不当利得となるため、敷地の賃料相当額の支払い義務は負うとしました。
従って、本肢は誤りです。

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7
正解は 2 です。

誤っている選択肢はアとオとなり、2が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 留置権者が、留置物の一部を過失により損壊させた場合には、留置権者は、善良な管理者の注意義務に違反したことになるので、債務者は、留置権の消滅を請求することができます。従って、本選択肢は誤りです。

イ. 民法300条では、留置権の行使は、債権の消滅時効を妨げない、と規定しています。従って、本選択肢は、正解です。

ウ. 民法298条2行本文では「留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない」と規定しています。また、民法297条1項本文では「留置権者は、留置物から生じる果実を採取し、他の債権者に先立って、これを自己の債務の弁済に充てることができる」と規定しています。従って、本選択肢は正解です。

エ. 留置権者には、競売権が与えられているので、本選択肢は正解です。

オ. 建物所有目的の土地の賃借人が賃貸に対して建物買取請求権を行使した場合において、賃借人は、建物の買取代金の支払いを受けるまでには、建物について留置権を主張できます。また、建物について留置権を行使することによって、建物の敷地も占有できます。ここまでは、本選択肢は正しい記述となります。
しかし、建物の敷地を占有する場合には、敷地の賃料相当額を支払う必要があるので、最後の部分が間違っています。従って、本選択肢は誤りです。

4
正解は2(ア、オが誤り)です。

ア 誤り。
留置権者には
(1)善管注意義務
(2)使用、賃貸、担保への提供の際の債務者の承諾(そのものの保管に必要な使用を除く)
が要求されており、上記(1)(2)への違反は留置権の消滅事由です。(298条)。
よって、本選択肢のごとく善管注意義務違反が認められる場合は留置権の消滅を請求することができます。

イ 正しい。
民法上に明文の規定があります(「第三百条 留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない。」)。よって、時効を中断させるためには別途請求等所定の行為が必要です。

ウ 正しい。
選択肢アの解説に記載の通り、承諾を得た賃貸は認められています。
そして、留置権については果実からの債権回収が認められています(297条)。

エ 正しい。
留置権者には、形式競売(民事執行法195条)が認められています。
なお本問の正否には直接関係しませんが、この制度の趣旨は動産保管の負担から留置権者を解放することにあるため、抵当権等とは異なり留置権者は競売によって得た代金を所有権者に返還する義務があります。それゆえ、債務者=動産所有者の場合は競売代金と被保全債権との相殺により事実上の優先弁済を受けることができますが、第三者=動産所有者の場合は単に担保権を失うこととなります。

オ 誤り。
建物買取請求権を行使した場合、建物の買取代金の支払いを受けるまで留置権により建物の敷地を占有することができる点は正当ですが、その場合使用権限なき占有となるため賃料相当額は不当利得として返還義務が発生します。

3
正解 2

ア 誤り
留置権者は、留置物の占有について、善管注意義務を負っており(民法298条1項)、善管注意義務に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができます(同条3項)。
本肢では、留置権者が留置物の一部をその過失により壊しているため、善管注意義務に違反したといえ、債務者は、債務の全額を弁済しなくても、留置権の消滅を請求することができます。

イ 正しい
留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げません(民法300条)。

ウ 正しい
留置権者は、債務者の承諾を得て留置物を第三者に賃貸することができるとともに(民法298条2項)、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができます(同297条1項)。
本肢にいう「賃貸によって得られた賃料」は、留置物から生ずる法定果実であるため、他の債権者に先立って被担保債権の弁済に充当することができます。

エ 正しい
留置権による競売については、担保権の実行としての競売の例によることとされています(民事執行法195条)。
このように、民事執行法195条は、留置権者が、留置物について、留置権による競売の申立てをすることができることを想定した規定といえます。

オ 誤り
買取請求権行使後における敷地の占有について、最判昭和35年9月20日は、「建物買取請求権が行使された後、建物取得者は買取代金の支払を受けるまで右建物の引渡を拒むことができるが、これにより敷地をも占有するかぎり、敷地占有に基づく不当利得としてその賃料相当額を返還する義務がある」と判示しました。

以上から、誤っている肢はアとオであり、2が正解となります。

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