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司法書士の過去問 平成25年度 午後の部 問39

問題

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文書提出命令に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)は、挙証者と当該文書の所持者との間の法律関係について作成された文書として、文書提出義務の対象となることはない。

イ  公務員の職務上の秘密に関する文書について、当該監督官庁が、当該文書の提出により他国との信頼関係が損なわれるおそれがあることを理由として、当該文書がその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるものに該当する旨の意見を述べたときは、裁判所は、その提出を命ずることができない。

ウ  裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない。

エ  当事者が文書提出命令に従わない場合において、相手方が、当該文書の記載に関して具体的な主張をすること及び当該文書により証明すべき事実を他の証拠により証明することが著しく困難であるときは、裁判所は、その事実に関する相手方の主張を真実と認めなければならない。

オ  証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、その必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。
   1 .
アウ
   2 .
アオ
   3 .
イウ
   4 .
イエ
   5 .
エオ
( 平成25年度 司法書士試験 午後の部 問39 )
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この過去問の解説 (3件)

12
正解は4(イ、エ)です。

ア 正しい。
 「専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)」は、文書提出義務の除外対象として定められています(民訴法220条4号ニ)。
 なお、民訴法220条は1~3号において提出対象となるべき文書の積極事由(引用文書(1号)、引渡・閲覧請求権のある文書(2号)、利益文書(3号))を、4号にて消極事由(4号イ~ホに該当する場合を除き提出義務の対象となるべき旨)をさだめています。

イ 誤り。
 公務文書に対し提出命令の申立がなされた場合、裁判所は除外事由の有無(「公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」(民訴法220条4号ロ・公務秘密文書)に該当するか否か)につき監督官庁の意見を聴取する必要があり、裁判所が監督官庁の意見につき相当の理由があると認めるに足りない場合に限り提出を命ずることができる旨定められています(民訴法223条)。提出を命ずる余地が全く存在しないものではありません。

ウ 正しい。
 民訴法223条2項の規定です(「2 裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない」)。

エ 誤り。
 民訴法224条1項および2項では当事者が文書提出命令に従わない場合および文書を滅失した場合に、裁判所が文書に関する相手方の主張を真実と認めることができる旨規定し、3項では「前二項に規定する場合において、相手方が、当該文書の記載に関して具体的な主張をすること及び当該文書により証明すべき事実を他の証拠により証明することが著しく困難であるときは、裁判所は、その事実に関する相手方の主張を真実と認めることができる。」旨定めていますが、いずれも裁量的に認めうるべき旨を定めたものです。よって、「認めなくてはならない」ものではありません。

オ 正しい。
 文書提出命令については即時抗告を行うことが認められていますが(民訴法223条7項)、抗告事由は文書提出義務の存否に限られています(最決平成12・3・10)。よって、証拠調べの必要性を欠くことを理由として却下された場合、これに不服の申立をすることはできません。

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5
正解は 4 です。

誤っているのはイとエなので、4が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 民事訴訟法220条3号では、文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間に法律関係について作成されたときは、その文書の所持者は、文書の提出を拒むことができないとされています。そして、最高裁平成12年3月10日判決では「民事訴訟法220条3号後段の文書には、文書の所持者がもっぱら自己のために作成した内部文書が含まれないと解するのが相当である」としています。従って、本選択肢は正しいです。

イ. 監督官庁が、当該文書がその提出により公共の利益を害し、また、公務の執行に著しい支障を生じる恐れがあるものに該当する旨の意見を述べた場合でも、裁判所が、その意見について相当の理由があると認めるに足らない場合には、文書提出命令を命じることができます。従って、本選択肢は誤りです。

ウ. 民事訴訟法223条2項では「裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない」と規定しています。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 民事訴訟法224条3項では「前2項に規定する場合において、相手方が、当該文書に記載に関して具体的な主張をすること及び当該文書により証明すべき事実を他の証拠によって証明することが著しく困難であるときは、裁判所はその事実に関する相手方の主張を真実と認めることができる」と規定しています。従って、認めなければならないとしている本選択肢は誤りです。

オ. 最高裁平成12年3月10日判決で「証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできないと解するのが相当である」としています。従って、本選択肢は正しいです。

0

正解は4。

ア:正

民事訴訟法220条4号ニは、「専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)」を文書提出義務のない場合としています(3号に規定する「文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき」とは異なります)。

よって、正しい記述です。

イ:誤

「公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」は文書提出義務がない場合にあたります(民事訴訟法220条4号ロ)。

裁判所は、この文書に該当するかどうかについて、当該監督官庁(衆議院又は参議院の議員の職務上の秘密に関する文書についてはその院、内閣総理大臣その他の国務大臣の職務上の秘密に関する文書については内閣)の意見を聴いて(同法223条3項)、「その意見について相当の理由があると認めるに足りない場合に限り、文書の所持者に対し、その提出を命ずることができる」とされています(同条4項)。

すなわち、裁判所は、当該監督官庁の意見があるからといって、その文書の提出を命ずることができなくなるとは限らないのです。

よって、誤った記述です。

ウ:正

「裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない」と定められています(民事訴訟法223条2項)。

よって、正しい記述です。

エ:誤

当事者が文書提出命令に従わない場合において、「相手方が、当該文書の記載に関して具体的な主張をすること及び当該文書により証明すべき事実を他の証拠により証明することが著しく困難であるときは、裁判所は、その事実に関する相手方の主張を真実と認めることができる」と規定されていますが(民事訴訟法224条3項)、「できる」という文言からわかるように、裁判所は、その事実に関する相手方の主張を真実と認めることを義務付けられるわけではありません。

よって、誤った記述です。

オ:正

民事訴訟法223条7項は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる」と定めています。この即時抗告をできる場合について、判例は、証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、その必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできないとしています(最決平成12年3月10日民集54巻3号1073頁)。

よって、正しい記述です。

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