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司法書士の過去問 平成25年度 午後の部 問42

問題

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担保不動産競売における売却手続に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  不動産の上に存する留置権は、売却により消滅する。

イ  期間入札において、自らが最高の価額で買受けの申出をしたにもかかわらず、執行官の誤りにより当該入札が無効と判断されて他の者が最高価買受申出人と定められたため、買受人となることができなかったことを主張する入札人は、この者が受けた売却許可決定に対し、執行抗告をすることができる。

ウ  買受人は、売却許可決定後に自己の責めに帰することができない事由により不動産に損傷が生じた場合には、当該損傷が軽微であるときであっても、執行裁判所に対し、代金を納付する時までにその決定の取消しの申立てをすることができる。

エ  申立債権者は、買受人が代金を納付する期限までに代金を納付しなかった場合には、次順位買受申出人がいないときであっても、当該買受人の同意を得なければ、不動産担保権の実行の申立てを取り下げることができない。

オ  執行裁判所は、担保不動産競売の対象とされた土地上に、その競売の対象とはされていない建物が存在する場合であっても、当該土地を買受人に渡すべき旨を命ずることができる。
   1 .
アウ
   2 .
アエ
   3 .
イエ
   4 .
イオ
   5 .
ウオ
( 平成25年度 司法書士試験 午後の部 問42 )
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この過去問の解説 (3件)

8
正解は 4 です。

正しい選択肢はイとオとなるので、4が正解です。

各選択肢の解説は以下のとおりです。

ア. 不動産の上に存する留置権は、売却によっても消滅しません。(民事執行法59条4項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

イ. 民事執行法74条1項では「売却の許可又は不許可の決定に対しては、その決定により自己の権利が害されたことを主張するときに限り、執行抗告をすることができる」と規定しています。従って、本選択肢の入札者は、執行抗告をすることができるので、本選択肢は正しいです。

ウ. 民事執行法75条1項は「最高価買受申出人又は買受人は、買受の申出をした後天災その他自己の責めに帰することができない事由により不動産が損傷した場合には、執行裁判所に対し、売却許可決定前にあっては売却の不許可の申出をし、売却許可決定後にあっては、代金を納付する時までに、その決定の取消しの申立てをすることができる。ただし、不動産の損傷が軽微であるときにはこの限りではない」と規定しています。従って、本選択肢は誤りです。

エ. 申立債権者は、買受人が代金を納付する期限までに代金を納付しなかった場合、かつ、次順位買受申出人がいないときは、当該買受人の同意を得なくても、不動産担保権の実行の申立てを取り下げることができます。従って、本選択肢は誤りです。

オ. 最高裁平成11年10月26日判決では「執行裁判所は、競売の対象とされた土地上に競売の対象とはされていない建物等、土地の定着物が存在する場合であっても、代金を納付した土地の買受人の申立てにより、債務者又は占有者に対して、当該土地を買受人に引き渡すべき旨を命じることができる」としています。従って、本選択肢は正しいです。


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1

正解は4。

ア:誤

民事執行法は、不動産の上に存する留置権ついては、買受人は、これらによって担保される債権を弁済する責めに任ずる(民事執行法188条による同法59条4項の準用)としています。

よって、誤った記述です。

イ:正

最決平成22年8月25日民集64巻5号1482頁は、期間入札において、自らが最高の価額で買受けの申出をしたにもかかわらず、執行官の誤りにより当該入札が無効と判断されて他の者が最高価買受申出人と定められたため、買受人となることができなかったことを主張する入札人が、執行抗告(民事執行法74条1項)をすることができるとしています。

よって、正しい記述です。

ウ:誤

民事執行法188条が準用する75条1項は、ただし書において、「不動産の損傷が軽微であるとき」は、売却許可の決定の取消しを申し立てることができないとしています。

よって、誤った記述です。

エ:誤

担保不動産競売の売却手続において、買受けの申出があった後に競売の申立てを取り下げるには、最高価買受申出人または買受人および次順位買受申出人の同意を得なければなりません(民事執行法188条・76条1項本文)。

もっとも、買受人が納付期限までに代金を納付しなかったときは、売却許可決定は効力を失い(同法188条・80条1項前段)、買受人の権利義務は消滅します。したがって、申立債権者は、不動産担保権の実行の申立てを取り下げることができます。

よって、誤った記述です。

オ:正

判例(最決平成11年10月26日集民第194号925頁)は、「執行裁判所は、競売の対象とされた土地上に競売の対象とはされていない建物等土地の定着物が存在する場合であっても、代金を納付した右土地の買受人の申立てにより、債務者又は占有者に対して右土地を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる」としています。

「引渡命令は、不動産の引渡執行の債務名義であるところ、競売の対象とされていない建物等の存在によりその敷地部分の引渡執行が事実上不能となることが予想されるからといって、競売により買い受けられた土地について引渡命令を求める申立ての利益が否定されるわけではなく、かかる場合に引渡命令を発付することが許されないとすると、買受人のために簡易迅速な占有取得の手段を確保するという引渡命令の趣旨に反することになるから」です。

よって、正しい記述です。

1
正解は4(イ、オ)です。

ア 誤り。
 民事執行法59条1項は「不動産の上に存する先取特権、使用及び収益をしない旨の定めのある質権並びに抵当権は、売却により消滅する」旨定めていますが、留置権はこれに含まれませんので売却によって消滅することはありません。
 なお、同条4項は「不動産の上に存する留置権並びに使用及び収益をしない旨の定めのない質権で第二項の規定の適用がないものについては、買受人は、これらによって担保される債権を弁済する責めに任ずる」と規定しています。

イ 正しい。
 売却の許可又は不許可の決定に対しては、その決定により自己の権利が害されることを主張するときに限り、執行抗告をすることができ(民事執行法74条1項)、 売却許可決定に対する執行抗告は、第七十一条各号に掲げる事由があること又は売却許可決定の手続に重大な誤りがあることを理由としなければならないものと定められていますが(民事執行法74条2項)、自らが最高の価額で買受けの申出をしたにもかかわらず、執行官の誤りにより当該入札が無効と判断されて他の者が最高価買受申出人と定められたため、買受人となることができなかったとの事情は「売却許可決定の手続きに重大な誤りがある」ものと認められるとされています(最決平成22・8・25)。

ウ 誤り。
 最高価買受申出人又は買受人は、買受けの申出をした後天災その他自己の責めに帰することができない事由により不動産が損傷した場合には、執行裁判所に対し、売却許可決定前は売却の不許可の申出をし、売却許可決定後は代金を納付する時までにその決定の取消しの申立てをすることができますが(民事執行法75条前段)、不動産の損傷が軽微であるときは、除かれます(同条後段)。


エ 誤り。
 買受けの申出があつた後に強制競売の申立てを取り下げるには、最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意を得る必要があります(民事執行法76条)が、買受人が期限までに代金を納付しなかった場合は売却許可決定自体が効力を失います(民事執行法80条)。よって、他に買受申出人が存しない場合は、特段の同意を得ることなく担保権実行の申出を取り下げることができます。

オ 正しい。
 執行裁判所は代金を納付した買受人の申立てにより、債務者又は不動産の占有者に対し、不動産を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができますが(民事執行法83条)、それは土地上に競売の対象とされていない建物が存在し事実上敷地部分の引渡しを行うことが不能となることが予想される場合にあっても同様とされています(最決平成11・10・26)。

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