司法書士の過去問 平成25年度 午後の部 問51
この過去問の解説 (3件)
1 2番付記1号の仮登記に基づく本登記を申請しても、所有権移転登記請求権がEに移転しただけで、2番仮登記は仮登記のままであるため、後順位のFの仮差押の登記は抹消されません。したがって、Fは登記上の利害関係を有する者にはあたらず、Fの承諾証明情報の提供は必要ありません。したがって、本記述は誤りです。
2 3番仮登記に係る条件付所有権は実体的にDに移転しており、条件付所有権の移転登記もなされていますので、3番仮登記に基づく本登記の申請は、Dが登記権利者となってしなければなりません。したがって、本記述は誤りです。
3 Bが登記名義人となっている2番仮登記を抹消すると、Eが登記名義人となっている2番付記1号の仮登記も抹消されますので、2番付記1号の仮登記名義人のEは、2番仮登記の抹消について登記上の利害関係を有する者にあたり、その承諾証明情報の提供を要します(不登法68条)。したがって、本記述は誤りです。
4 仮登記名義人は、登記識別情報及び印鑑証明書を提供して(不登令8条1項9号、不登規則47条3号イ(5))、単独で、自己の仮登記の抹消を申請することができます(不登法110条前段)。2番付記1号は仮登記ですから、その仮登記名義人のEは、単独で当該仮登記の抹消を申請することができます。したがって、本記述は正しいです。
5 3番付記1号の登記は本登記ですから、仮登記名義人による仮登記の抹消の単独申請に関する規定(不登法110条前段)の適用はありません。したがって、本記述は誤りです。
仮登記の抹消は、仮登記の登記名義人が単独で抹消できるので、本肢は正しいです。
1. 2番付記1号所有権移転請求権の移転請求権の仮
登記の本登記を行ったとしても、仮差押えの債
権者Fには何らの影響を与えないため、Fの承
諾を証する書面又はFに対抗できる裁判のあった
ことを証する書面を提供する必要はありません。
2. 3番付記1号の条件付所有権移転登記によって、
3番の条件付き所有権は確定的にCからDに移転
しているので、Cを登記権利者、Aを登記義務者
として、3番条件付所有権移転仮登記の本登記
をすることができません。
3. Aを登記権利者、Bを登記義務者として2番所有権
移転請求権仮登記を行うと、Eを登記名義人とす
る2番所有権移転請求権の移転請求権仮登記は抹
消されるので、Eの承諾を証する情報又はEに対
抗することができる裁判のあったことを証する情
報の提供が必要です。
5. Dが登記名義人となっている3番付記1号条件付所
有権所有権は、仮登記ではないので、単独では抹
消できません。
正解は4。
1:誤
2番付記1号所有権移転請求権の移転請求権仮登記に基づく本登記がされた場合でも、4番で登記されている仮差押えの債権者Fの権利は否定されませんので、Fは、当該仮登記に基づく本登記の登記上の利害関係を有する第三者にあたりません(不動産登記法109条1項)。したがって、Fの承諾を証するFが作成した情報又はFに対抗することができる裁判があったことを証する情報は不要です。
よって、誤った記述です。
2:誤
3番付記1号で登記されている3番条件付所有権の移転により、Cの仮登記上の権利は確定的にDに移転しています。そのため、Cを登記権利者とし、Aを登記義務者として、甲区3番の条件付所有権の移転の仮登記に基づく本登記を申請することはできません。
よって、誤った記述です。
3:誤
Aを登記権利者とし、Bを登記義務者として、2番所有権移転請求権仮登記の抹消を申請する場合には、2番付記1号で登記されている2番所有権移転請求権の移転請求権仮登記の名義人Eは、登記上の利害関係を有する第三者にあたります(不動産登記法68条)。この場合には、Eの承諾を証するEが作成した情報又はEに対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供する必要があります(不動産登記令別表26添付情報欄ヘ)。
よって、誤った記述です。
4:正
仮登記の抹消は、仮登記の登記名義人が単独で申請することができます(不動産登記法110条)。この場合には、仮登記の登記名義人が仮登記を受けた際の登記識別情報を提供することを要します(不動産登記令8条1項9号)。
よって、正しい記述です。
5:誤
仮登記された条件付所有権を第三者が取得したときは、この条件付所有権は確定的に第三者に移転することになりますので、条件付所有権の移転の本登記します(昭和36年12月27日1600号)。そのため、甲区3番付記1号でされているDの登記は、仮登記ではなく、本登記です。そうすると、この甲区3番付記1号の条件付所有権の移転の登記の抹消を、Dが単独で申請することはできません(不動産登記法110条前段参照)。
よって、誤った記述です。
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