問題
司法書士 : 払込取扱機関における預金口座に入金の記録のある預金通帳の写しを合てつした設立時代表取締役の作成に係る払込取扱金融機関に払い込まれた金銭を証明する書面(以下「合てつ書面」という。)は、発起設立と募集設立のいずれの場合でも、出資履行書面とすることができますか。
補助者 : ア 発起設立の場合には、合てつ書面を出資履行書面とすることができますが、募集設立の場合には、合てつ書面を出資履行書面とすることはできません。
司法書士 : それでは、合てつ書面における預金通帳の写しに記録されている預金口座への入金の日付が、定款の作成日後、その認証日より前のものである場合には、当該合てつ書面は、出資履行書面とすることができますか。
補助者 : イ 定款は公証人の認証を受けなければ効力が生じませんので、当該預金口座への入金の日付が定款の認証日より前のものである場合には、当該合てつ書面は、出資履行書面とすることができません。
司法書士 : 合てつ書面における預金通帳の写しに係る預金口座が設立時代表取締役名義のものであっても、当該合てつ書面は、出資履行書面とすることができますか。
補助者 : ウ 合てつ書面における預金通帳の写しに係る預金口座は、設立中の会社を代表する発起人の名義のものでなければならず、当該設立時代表取締役が発起人でない場合には、当該設立時代表取締役の名義の預金通帳の写しに係る当該合てつ書面は、出資履行書面とすることができません。
司法書士 : 次に、払込金額が1,000万円とされている場合について考えてみましょう。合てつ書面における預金通帳の写しには、預金口座の現在残高としては1,000万円の記録があるものの、預金通帳の繰越しがされ、入金の記録を合算しても、900万円分しかないとします。このような場合には、当該合てつ書面は、出資履行書面とすることができますか。
補助者 : エ 合てつ書面における預金通帳の写しは、当該預金口座に1,000万円が払い込まれた事実が明らかとなるものでなければなりませんので、当該写しにおいて1,000万円に相当する金額の入金の記録の一部が欠落している場合には、当該合てつ書面は、出資履行書面とすることができません。
司法書士 : それでは、合てつ書面における預金通帳の写しには、払込金額である1,000万円に相当する金額の入金の記録はあるものの、設立の登記の申請の前日に100万円の出金記録があるため、当該預金口座の現在残高としては900万円の記録しかないとします。このような場合には、当該合てつ書面は、出資履行書面とすることができますか。
補助者 : オ 合てつ書面における預金通帳の写しは、払込金額である1,000万円に相当する金額の入金の記録があるものであれば、引き出しの記録があるために当該預金口座の残高としては1,000万円に満たない記録しかないものであっても、当該合てつ書面は、出資履行書面とすることができます。