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司法書士の過去問 平成26年度 午前の部 問6

問題

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Aは、Bとの間で、A所有の中古車をBに売り渡す旨の売買契約を締結し、売買代金の支払期限を平成15年10月1日と定めた。この事例に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし、平成26年7月6日の時点でAのBに対する売買代金債権について消滅時効が完成していないものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
なお、当該売買契約の締結は、商行為に当たらないものとする。


ア  Aは、平成25年9月1日、Bに対し、当該売貿代金の支払を求める訴えを提起したものの、平成26年3月1日、その訴えを取り下げた。

イ  Aは、平成20年9月1日、後見開始の審判を受け、成年後見人が選任されたものの、平成25年9月1日、当該成年後見人が死亡し何年11月1日、新たな成年後見人が選任された。

ウ  Aは、平成25年9月1日、Bに対し、当該売買代金の支払を求め、民事調停去に基づき調停の申立てをしたものの、平成26年5月1日、調停が不成立によって終了したため、同月15日、Bに対し、当該売買代金の支払を求める訴えを提起した。

エ  Aは、平成20年9月1日、Bに対し、当該売買代金の支払を求める訴えを提起し平成21年7月1日、その請求を認容する判決が確定した。

オ  Aは、平成25年9月15及び同年11月1日の2回にわたり、Bに対し書面により当該売買代金の支払を請求したものの、Bがその請求に応じなかったことから、平成26年4月1日、Bに対し当該売買代金の支払を求める訴えを提起した。
   1 .
アイ
   2 .
アオ
   3 .
イエ
   4 .
ウエ
   5 .
ウオ
※ 民法改正(2017(平成29)年5月成立、2020(令和2)年4月施行)により、時効の分野が改正されました。 参考 この設問は2014(平成26)年に出題された設問となります。
( 平成26年度 司法書士試験 午前の部 問6 )
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この過去問の解説 (3件)

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消滅時効が完成していない記述は(出題当時は)ウとエであり、4が正解です。改正法の下では、アの記述も、消滅時効が完成していません。

ア 本記述の場合、消滅時効が完成するのは、起算日(支払期限=平成15年10月1日)から10年を経過した平成25年10月1日の午前0時です。裁判上の請求は時効の完成猶予事由とされ(民法147条1項1号)、訴えの却下又は取下げの場合があった場合にも、その時から6か月を経過するまでは時効は完成しません(民法147条1項柱書括弧書)。本記述の場合、訴えを取り下げたのが平成26年3月1日なので、平成26年7月6日には、時効は完成していません。したがって、本記述は消滅時効が完成していません。
 ※ 改正前民法149条は、訴えの却下又は取下げがあった場合には時効は中断しないと規定されており、それに基づけば本記述は消滅時効が完成したことになりますが、改正により同条は削除され、改正法によれば本記述も時効が完成していないことになります。

イ 時効の期間の満了前6か月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から6か月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しません(民法158条1項)。本記述の場合、消滅時効が完成するのは、新たな成年後見人が選任された平成25年11月1日から6か月を経過した平成26年5月2日の午前0時であす。したがって、本記述では、消滅時効が完成しています。

ウ 和解の申立て又は調停の申立ては時効の完成猶予事由であり(民法147条1項3号)、和解若しくは調停が調わない場合でも、終了した時から6か月を経過するまでは時効は完成しません(民法147条1項柱書括弧書)。本記述の場合、時効完成前に調停の申立てがなされ、調停が不調になってからすぐに訴えを提起していますので、新たに時効の完成猶予事由が生じています(民法147条1項1号)。したがって、本記述では、消滅時効が完成していません。

エ 裁判上の請求によって権利が確定した場合は、時効の更新事由に当たり、裁判が確定した時から、新たにその進行を始めます(民法147条2項)。本記述の場合、平成21年7月1日から新たな消滅時効が進行し、しかも時効期間は10年となります(民法169条)。したがって、本記述は、消滅時効は完成していません。

オ 催告があったときは、その時から6か月を経過するまでは時効は完成しませんが(民法150条1項)、催告をしてから6か月以内に再度催告をしても時効の完成猶予の効力を有しません(同条2項)。その場合、当初時効が完成すべき時点で時効が完成します。本問の場合、催告を繰り返しただけで、最初の催告から6か月以内に裁判上の訴え等による時効の完成猶予事由が生じていませんので、本来、消滅時効が完成すべき平成25年10月1日午前0時に消滅時効が完成します。したがって、本記述は、消滅時効が完成しています。

※本問については、債権法改正により時効の期間につき、権利を行使することができることを知った時から5年又は権利を行使することができる時から10年に改められていますので(改正民法166条1項)、改題をしなければ、債権法改正の施行後は、問題として成立しなくなるのではないかと考えます。また、時効の中断事由の考え方も、権利を行使することを明らかにした事由が「時効の完成猶予」事由に、権利の存在が確定したことが「時効の更新」事由へと改められています。

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6
正解は4です。

消滅時効の完成していないのは、ウ及びエのケースです。従って4が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 裁判上の請求は、取下げ又は訴えの却下の場合には、時効の中断の効果を生じません。本選択肢の場合、売買代金の支払いを求める訴えを提起しているが、その訴えが取り下げられています。よって、時効の中断の効力は生じないので、消滅時効は完成しています。

イ. 債権者が後見開始の審判を受けたことは、消滅時効の中断とは全く関係のないことなので、本選択肢のケースでは、売買代金債権の消滅時効は完成しています。

ウ. 民事調停法による調停の申立ては、調停が整わない時は、1か月以内に訴えを提起しないと、時効の中断の効力は生じません。Aは平成25年9月1日に調停を申し立て、平成26年5月1日に調停が不成立となりましたが、同15日に、売買代金の支払いを求める訴えを提起しました。従って、時効中断の効力が生じており、平成26年7月6日の時点で、消滅時効は完成していません。

エ. 裁判上の請求は、時効を中断する効力を有します。従って、本選択肢のケースでは、平成26年7月6日の時点で、消滅時効は完成していません。

オ. 催告は、催告後6か月以内に、裁判上の請求、支払い督促の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事調停手続法による調停申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え、仮処分をしなければ、時効中断の効力を生じません。本選択肢では、Aは催告を繰り返していますが、催告の繰り返しによる時効期間の伸長は認められないため、平成26年4月1日に売買代金の支払いを求める訴えを提起しても、その時点では、最初の催告から6カ月以上経過しているため、平成25年9月1日の催告による時効中断の効力は発生しません。従って、本選択肢のケースでは、平成26年7月6日の時点で、消滅時効は完成しています。

0

正解はなし(平成29年民法改正前の規定によれば4)。

民法改正附則10条にかかわらず、以下では、平成29年改正後の規定が適用されるものとして解説します。

平成29年改正後民法においては、債権の時効消滅は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年(民法166条1項1号)、権利を行使する時ができる時から10年間(同条1項2号)行使しないときに、時効によって消滅するとされています。

この事例で問題となっている債権は、売買契約に基づく売買代金債権であるため消滅時効の期間は5年とされるのが通常と考えられ、訴え提起等までの間に時効が完成していると考えられるものがありますが、以下では、(改正前と同様に)10年の期間として解説をします。

ア:消滅時効が完成していない

売買代金の支払いを求める訴えの提起は、「裁判上の請求」(民法147条1項1号)にあたるため、この事由が終了するまでの間は、時効は完成しません(同項柱書)。もっとも、「確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から6箇月を経過する」までの間、時効の完成猶予が認められるにとどまります(同項柱書かっこ書き)。この事例では、訴えを取り下げたのが平成26年3月1日ですので、この時点から6箇月を経過していない平成26年7月6日の時点でAのBに対する売買代金債権について消滅時効が完成していません。

よって、消滅時効は完成していません。

イ:民法158条1項は、時効の期間の満了前六箇月以内の間に…成年被後見人に法定代理人がないときは、その…成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その…成年被後見人に対して、時効は、完成しない」と定めています。もっとも、この事例では新たな後見人が選任されてから6箇月を経過している平成26年7月6日時点では時効が完成しています。

よって、消滅時効は完成しています。

ウ:消滅時効が完成していない

民事調停法による調停は、時効の完成猶予の事由とされています(民法147条1項3号・柱書)。もっとも、「確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から6箇月を経過する」までの間、時効の完成猶予が認められるにとどまります(同項柱書かっこ書き)。

この事例では、調停が不成立によって終了していますが、当該売買代金の支払を求める訴えを提起していますので、「裁判上の請求」(民法147条1項1号)にあたりますので、この事由が終了するまでの間は時効の完成猶予が認められます(同項柱書)。

よって、消滅時効は完成していません。

エ:消滅時効は完成していない

民法147条2項は、「裁判上の請求」(民法147条1項1号)を行い、「確定判決…によって権利を確定したときは、同項各号[引用者:147条1項各号]が終了した時から新たにその進行を始める」と定めています。平成29年改正後民法の時効の更新です。そして、「確定判決…によって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は10年とする」(民法169条1項)とされています。

この事例では、平成21年7月1日に、請求を認容する判決が確定していますので、この時から新たに時効の進行を開始し、この時効期間は10年とされますので、平成26年7月6日の時点で時効は完成していません。

よって、消滅時効は完成していません。

オ:消滅時効は完成している

催告があったときは、その時から6カ月を経過するまでの間は、時効は完成しません(民法150条1項)。そこで、平成25年9月15日にした催告がBに到達した時から6カ月が経過するまで時効の完成猶予が認められます。この期間中である同年11月1日にも催告がされていますが、こちらについては時効の完成猶予の効力は認められません(同条2項)。以上より、10年の時効期間を超えて、時効の完成が猶予されます。もっとも、Aが、Bに対し売買代金の支払を求める訴えを提起したのは、平成26年4月1日であり、この時点では既に時効の完成猶予の期間も経過してしまっていますので、消滅時効が完成しています。

よって、消滅時効が完成しています。

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