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司法書士の過去問 平成26年度 午前の部 問23

問題

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次のアからオまでの事例のうち、A所有の甲土地について、Aの相続人ではないBがAによる遺贈を承認することによってその所有権を取得することができる場合の組合せとして正しいものは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  Aは、公正証書によって「 甲土地をBに譲る 」旨の遺言をした。その後、Aは、自筆証書によって「 甲土地をBに譲る旨の遺言を撤回する 」旨の遺言をした後に死亡した。

イ  Aは、自筆証書によって「 甲土地をBに譲る 」旨の遺言をした後に、自筆証書によって「甲土地をCに譲る 」旨の遺言をした。その後、Aは、自筆証書によって「 甲土地をCに譲る旨の遺言を撤回する 」旨の遺言をした後に死亡した。

ウ  Aは、自筆証書によって「 CがAの経営する事業を継ぐのであれば甲土地をCに譲る 」旨の遺言をした後に死亡した。その後、Cは、Aの事業を引き継ぐことのないまま死亡し、Cの唯一の相続人BがCを相続した。

エ  Aは、公正証書によって「 Bが大学に合格したら甲土地をBに譲る 」旨の遺言をした後に死亡した。その後、Bが大学に合格した後に、Aの唯一の相続人Cが甲土地について相続を原因とするCへの所有権の移転の登記をした。

オ  Aは、自筆証書によって「 甲土地をCに譲る 」旨の遺言をした後に死亡した。その後、Cが遺贈について何らの意思表示もしないまま死亡し、Cの唯一の相続人BがCを相続した。
   1 .
アイ
   2 .
アオ
   3 .
イウ
   4 .
ウエ
   5 .
エオ
( 平成26年度 司法書士試験 午前の部 問23 )
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この過去問の解説 (3件)

10
正解は5です。

Bが甲土地の所有権を取得できるのは、エ及びオのケースとなるので、5が正解です。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 公正証書で行った遺言を撤回する遺言は、自筆証書で行っても構いません。従って、最初の遺言は後の遺言によって撤回されていますので、Bは甲土地の所有権を取得しません。

イ. 前の遺言書に抵触する後の遺言がなされた場合、前の遺言書は、後の遺言書に抵触する部分について、撤回されたものと見做されます。そして、民法1025条では「撤回された遺言は、撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力が生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しない」と規定しています。本選択肢では、最初の遺言は、後の遺言によって撤回されたものと見做されますが、後の遺言を撤回する遺言がされたことにより、後の遺言が撤回されても、前の遺言の効力は復活しません。従って、本選択肢において、Bは甲土地の所有権を取得することができません。

ウ.  本選択肢の遺言には、「CがAの経営する事業を継ぐのであれば甲土地をCに譲る 」という条件が付いていますが、CがAの事業を引き継がなかったため、条件が成就せず、遺言の効力は生じていません。従って、Aの死後にCが亡くなって、BがCを相続しても、Bは甲土地の所有権を取得しません。

エ. 条件が成就した時点で、Aは既に死亡しているけれども、Bに対して甲土地を遺贈するという義務は、AからAの唯一の相続人であるCに引き継がれています。従って、BはCに対して甲土地の所有権を主張できるので、Bが甲土地の所有権を取得します。

オ. 本選択肢では、遺贈者Aが亡くなってから、受贈者Cが死亡しており、遺贈は有効に成立します。従って、Aの相続人に対して、Cの唯一の相続人であるBが、甲土地の所有権を主張できるので、Bは甲土地の所有権を取得します。


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5
Bが遺贈を承認して甲土地を取得することができる記述はエとオであり、5が正解です。

ア 本記述の場合、Bに遺贈する旨の第1の遺言を第2の遺言で撤回していますから、Bへの遺贈の効力は生じません(民法1022条)。遺言を撤回する場合には同一方式による必要はありませんので、第1の公正証書遺言を第2の自筆証書遺言で撤回することもできます。したがって、Bは、甲土地を取得することはできません。

イ 本記述の場合、Bに遺贈する旨の第1の遺言とCに遺贈する旨の第2の遺言の内容が抵触しますので、第1の遺言の撤回が擬制されます(民法1023条1項)。撤回行為が撤回され、又は詐欺強迫以外の理由により取り消され、又は失効しても、原則として遺言の効力は回復しません(民法1025条本文)。ただし、判例(最判平成9.11.13)は、「第2の遺言を撤回する第1の遺言が、第1の遺言の復活を明示的に希望している場合は、第1の遺言の効力は回復する」としています。本記述の場合、Cへの贈与を撤回する第2の遺言において、第1の遺言の復活を明示的に希望していませんので、Bへの遺贈の効力は復活しません。したがって、Bは、甲土地を取得することはできません。

ウ 停止条件付きの遺贈については、受遺者(本記述のC)がその条件の成就前に死亡したときは、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときを除き、効力を生じません(民法994条2項)。本記述の場合、遺言者がその遺言に別段の意思を表示していませんので、遺贈は失効します。したがって、Cの相続人Bが遺贈を承認して甲土地を取得することはできません。

エ 本記述の場合、停止条件付きの遺贈の条件が成就して、遺贈の効力が生じています。受遺者と遺贈者の相続人は対抗関係ではないので、受遺者Bは、登記なくして、登記を得た相続人Cに所有権を対抗することができます。したがって、Bは遺贈を承認して甲土地を取得することができます。

オ 受遺者(本記述のC)が遺贈の承認又は放棄をしないで死亡したときは、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときを除き、その相続人(本記述のB)は、自己の相続権の範囲内で、遺贈の承認又は放棄をすることができます(民法988条)。本記述の場合、遺言者がその遺言に別段の意思を表示していませんので、Bは、遺贈を承認して甲土地を取得することができます。

3
正解 5

ア 誤り
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができます(民法1022条)。
本肢の場合、Aは、「甲土地をBに譲る」旨の公正証書遺言を自筆証書遺言によって撤回しているため、Bは甲土地の所有権を取得することはできません。

イ 誤り
前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます(民法1023条1項)。
そしてさらに、撤回の行為が、撤回されたときであっても、その行為が錯誤、詐欺又は強迫にあたらないかぎり、前の遺言の効力は回復しません(民法1025条)。

ウ 誤り
停止条件付きの遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときは、遺言者がその遺言に別段の意思を表示した場合を除き、効力を生じません(民法994条2項)。
本肢の場合、Cは、Aの事業を引き継ぐという条件が成就する前に死亡しているため、遺贈は効力を生じません。
したがって、Cの相続人Bは甲土地の所有権を取得することはできません。

エ 正しい
停止条件付きの遺贈は、その条件が成就することにより効力が生じます。
そして、受遺者と遺贈者の相続人は対抗関係にないため、受遺者は、登記なくして、遺贈により取得した権利を相続人に対抗することができます。
したがって、Bは甲土地の所有権を取得することができます。

オ 正しい
受遺者が遺贈の承認又は放棄をしないで死亡したときは、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときを除き、その相続人は、自己の相続権の範囲内で、遺贈の承認又は放棄をすることができます(民法988条)。
本肢の場合、受遺者であるCが遺贈について何らの意思表示をしないまま死亡しているため、その相続人であるBは、甲土地の所有権を取得することができます。

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