問題
ア Aは、飲食代金を踏み倒すつもりで、金を持たずに居酒屋に一人で行き、飲食物を注文して飲み食いし、残ったおにぎり三つを上着の下に隠した上で、店員に対して、「トイレに行ってきます」と告げ、その居酒屋の外にあったトイレに行くように装ってそのまま立ち去った。この場合、Aには、窃盗罪は成立しない。
イ Aは、隣家に住むB所有の自動車にエンジンキーが付いたままになっていることに気付き、その自動車を運転してみたいと考え、深夜、Bに無断で、その自動車に乗って約5時間ドライブし、その後、元の場所に戻しておいた。この場合、Aには、窃盗罪は成立しない。
ウ Aは、電車内で隣に座っていたBが、座席に携帯電話を置き忘れたまま立ち上がり、次の駅で降車しようとしてドアの方に向かったので、その携帯電話が欲しくなり、それを自己のカバンの中に入れたところ、間もなくBが携帯電話を置き忘れたことに気付いて座席に戻ってきた。この場合、Aには、窃盗罪は成立しない。
エ 金融業者であるAは、Bとの間で、B所有の自動車の買戻特約付売買契約を締結して代金を支払い、その自動車の管理者は引き続きBとしていたが、Bが買戻権を喪失した後、密かに作成したスペアキーを利用して、Bに無断でその自動車をBの駐車場からAの事務所に移動させた。この場合、Aには、窃盗罪は成立しない。
オ Aは、会社の同僚Bの営業成績が上がったことをねたみ、Bが職務上保管する物を投棄してBを困らせてやろうと考え、社外秘の顧客情報が記録されてBが保管していた電磁的記録媒体をBの机の引出しの中から勝手に持ち出し、付近の川に投げ捨てた。この場合、Aには、窃盗罪は成立しない。