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司法書士の過去問 平成28年度 午前の部 問34

問題

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次の対話は、特定責任追及の訴えの制度に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


教授 : 株式会社A(以下「A社」という。)を最終完全親会社等とする株式会社B(以下「B社」という。)が、株式会社C(以下「C社」という。)と取引をした結果、B社の代表取締役Dの責任により、B社が10億円の損害を被り、C社が10億円の利益を得たという事例を考えてみましょう。B社C社間の取引がされた日において、B社の株式の帳簿価額は、A社の総資産額の5分の1を超えていたものとします。まず、A社の株主であるEが、代表取締役Dに対する特定責任追及の訴えの提起の請求(以下「提訴請求」という。)をする場合には、どのように提訴請求をすることとなりますか。

学生 : ア  提訴請求は、A社を介してB社にする必要があります。株主Eは、提訴請求をするに当たり、一定数のA社の議決権等を有していることなどが必要となりますが、これらを確認することができるのは、A社だからです。

教授 : B社C社間の取引により、代表取締役Dの責任でA社に損害が生じていない場合でも、株主Eは、提訴請求をすることができますか。

学生 : イ  その場合には、株主Eは、提訴請求をすることができません。株主Eが有するA社の株式の価値に変動は生じておらず、株主Eは、B社の損害に係る代表取締役Dに対する特定責任の追及について利害関係を有しないからです。

教授 : B社が、代表取締役Dの損害賠償責任を株主総会の決議によって一部免除するには、どの会社の株主総会の決議が必要となりますか。

学生 : ウ  その場合には、代表取締役Dの損害賠償責任を一部免除することについて、B社の株主総会の決議に加えて、A社の株主総会の決議も必要となります。

教授 : 株主Eが、代表取締役Dに対する特定責任追及の訴えを提起した場合には、株主Eが訴訟告知をしなければならない範囲はどうなりますか。

学生 : エ  株主Eは、B社に加えA社に対しても、訴訟告知をしなければなりません。

教授 : では、B社C社間の取引がされた後、株主Eが提訴請求をする前に、株式交換が行われ、A社が株式会社F(以下「F社」という。)の完全子会社等となり、株主Eが、新たにA社の最終完全親会社等となったF社の株主となったとしましょう。B社C社間の取引がされた日以後、B社の株式の帳簿価額がF社の総資産額の5分の1を下回っていた場合には、A社がF社の完全子会社等となったことは、株主Eによる提訴請求の可否に影響しますか。

学生 : オ  その場合でも、代表取締役Dの特定責任の有無は、B社C社間の取引がされた日におけるA社の総資産額が基準となるため、A社がF社の完全子会社等となったことは、株主Eによる提訴請求の可否に影響しません。
   1 .
アイ
   2 .
アエ
   3 .
イオ
   4 .
ウエ
   5 .
ウオ
( 平成28年度 司法書士試験 午前の部 問34 )
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この過去問の解説 (3件)

10
正解は 2 です。

誤っている選択肢はア及びエなので、2が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. A社を介することは要しません。株主Eは、A社を代位して直接B社に提訴請求します(会社法847条の3第1項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

イ. このケースでは、Eには訴えの利益はありません。従って、本選択肢は正しいです。

ウ. 最終完全親会社がある場合、責任の一部免除には、株主Eなどの利害が関係するため、その株主総会
の承認を要します(会社法425条1項)。従って、本選択肢は正しいです。

エ. このケースでは、A社への訴訟告知は必要ありません。Eは、B社のために訴えを提起するからです
(会社法849条4項、849条の3第7項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

オ. 判定基準時は、原因事実(B社C社間の取引)が生じたときであり、特定責任にあたるかどうかは、その時点での最終完全親株式会社等との比較で決定します(会社法847条の3第4項参照)。従って、本選択肢は正しいです。

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5
アとエが誤りの肢ですので2が正解です。

ア. Eは直接B社に提訴することができます(会社法847条の3第1項)。「A社を介して」するわけではありません。

イ. A社に損害が生じていない場合は提訴できません。肢にもある通り利害関係を有しないからです。

ウ. B社に加え、最終完全親会社のA社の決議も必要になります。

エ. この場合EがB社に訴訟告知した場合、B社が完全親会社であるA社に訴訟告知をする必要があります。

オ. 責任が生じた時点において最終完全親会社等を子会社にした場合、当該最終完全親会社等であったものが最終完全親会社等とみなされます。

4
正解は2です。

ア…誤りです。特定責任追及をするには、最終完全親会社等の議決権の100分の1、または、最終完全親会社等の発行済株式の100分の1のどちらかを有している必要がありますが、責任を追及するのは、特定責任の原因となる行為を行った株式会社に対してです(847条の3第1項)。

イ…正しいです。条文に例外として挙げられている通り、特定責任追及の原因となる行為について、損害が生じていない場合は訴えを提起できません(847条の3第1項2号)。

ウ…正しいです。株式会社の取締役につき、特定責任を免除しようとする場合には、当該株式会社および当該最終完全親会社の株主総会の決議によってしなければなりません(425条1項)。

エ…誤りです。株主等は、特定責任追及をした場合には、遅滞なく、当該株式会社等に対して、訴訟告知をしなければなりません(849条4項)。最終完全親会社等は訴訟告知の対象となりません。

オ…正しいです。特定責任の定義は、➀当該株式会社の発起人等の責任の原因となった事実が生じた日に、②当該株式会社の最終完全親会社等及びその完全子会社等における当該株式会社の株式の帳簿価額が当該最終完全親会社等の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一を超える場合、の発起人等の責任です(847条の3第4項)。訴訟を提起する日を基準としますので、本問において提訴請求はできます。

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