問題
ア AがBに対して甲土地上の乙建物の所有権確認訴訟を提起し、Aが勝訴してその判決が確定した後に、BがAに対して甲土地の所有権に基づき、乙建物を収去して甲土地を明け渡すことを求める訴えを提起した。この場合において、Aは、その建物収去土地明渡請求訴訟において、Bに対し、その建物所有権確認訴訟の事実審口頭弁論終結の時より前に乙建物を第三者に譲渡していた事実を主張して、自分が乙建物の所有者ではないと主張することは許される。
イ AのBに対する売買代金支払請求訴訟において、BがAに対する貸金債権をもって相殺する旨の抗弁を主張したところ、自働債権である貸金債権が不存在であると判断して請求を認容する判決が確定した。その後、BがAに対して同一の貸金債権について訴えを提起し、その存在を主張することは、その確定判決の既判力によって妨げられるものではない。
ウ 保証人Aが債権者Bからの保証債務の履行請求訴訟においてA敗訴の判決を受け、その確定後に、Bからの主債務者Cに対する主債務の履行請求訴訟におけるC勝訴の判決が確定した。この場合において、そのC勝訴の確定判決がA敗訴の確定判決の基礎となった事実審口頭弁論終結の時までに生じた事実を理由としているものであっても、Aは、そのC勝訴の確定判決があることをA敗訴の確定判決に対する請求異議の事由にすることができる。
エ Aは、Bに対し、一個の金銭債権の数量的な一部請求であることを明示して、その金銭の支払を求める訴えを提起したが、その請求を棄却する判決が確定した。この場合において、AがBに対し、その訴えに係る金銭債権と同一の金銭債権に基づいて残部の金銭の支払を求める訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されない。
オ AのBに対する土地の賃料支払請求訴訟において、Aの請求を棄却する判決が確定した。この場合において、その確定判決がその理由中でその土地の賃貸借契約の存否について判断していたとしても、その確定判決の既判力は、その賃貸借契約の存否の判断について生じない。