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司法書士の過去問 平成29年度 午後の部 問39

問題

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確定判決の効力に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア AがBに対して甲土地上の乙建物の所有権確認訴訟を提起し、Aが勝訴してその判決が確定した後に、BがAに対して甲土地の所有権に基づき、乙建物を収去して甲土地を明け渡すことを求める訴えを提起した。この場合において、Aは、その建物収去土地明渡請求訴訟において、Bに対し、その建物所有権確認訴訟の事実審口頭弁論終結の時より前に乙建物を第三者に譲渡していた事実を主張して、自分が乙建物の所有者ではないと主張することは許される。
イ AのBに対する売買代金支払請求訴訟において、BがAに対する貸金債権をもって相殺する旨の抗弁を主張したところ、自働債権である貸金債権が不存在であると判断して請求を認容する判決が確定した。その後、BがAに対して同一の貸金債権について訴えを提起し、その存在を主張することは、その確定判決の既判力によって妨げられるものではない。
ウ 保証人Aが債権者Bからの保証債務の履行請求訴訟においてA敗訴の判決を受け、その確定後に、Bからの主債務者Cに対する主債務の履行請求訴訟におけるC勝訴の判決が確定した。この場合において、そのC勝訴の確定判決がA敗訴の確定判決の基礎となった事実審口頭弁論終結の時までに生じた事実を理由としているものであっても、Aは、そのC勝訴の確定判決があることをA敗訴の確定判決に対する請求異議の事由にすることができる。
エ Aは、Bに対し、一個の金銭債権の数量的な一部請求であることを明示して、その金銭の支払を求める訴えを提起したが、その請求を棄却する判決が確定した。この場合において、AがBに対し、その訴えに係る金銭債権と同一の金銭債権に基づいて残部の金銭の支払を求める訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されない。
オ AのBに対する土地の賃料支払請求訴訟において、Aの請求を棄却する判決が確定した。この場合において、その確定判決がその理由中でその土地の賃貸借契約の存否について判断していたとしても、その確定判決の既判力は、その賃貸借契約の存否の判断について生じない。
   1 .
アウ
   2 .
アエ
   3 .
イウ
   4 .
イオ
   5 .
エオ
( 平成29年度 司法書士試験 午後の部 問39 )
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この過去問の解説 (3件)

6
正解は5です。

正しい選択肢は、エ、オなので、5が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

エ.最高裁判例によると、金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されないとされています。従って、本選択肢は正しいです。

オ.民事訴訟法第114条第1項によると確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有するとされています。従って、確定判決の理由は主文ではないため、既判力の及ぶところではないため、本選択肢は正しいです。

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3

ア 誤り 

判決の確定により既判力が生じると(民事訴訟法114条1項)、前訴の事実審口頭弁論終結時より前に生じていた事実を後訴で争うことはできなくなります(既判力の遮断効)。

本肢の場合、前訴において、Aが乙建物の所有権を有するということについて既判力が生じているため、後訴である建物収去土地明渡請求訴訟において、前訴の事実審口頭弁論終結時より前に乙建物を第三者に譲渡していた事実を主張して、自分が乙建物の所有者ではないと主張することは許されません。

イ 誤り 

既判力は、「主文に包含するもの」(民事訴訟法114条1項)だけでなく、「相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断」についても生じます(同法2項)。

本肢の場合、Bが相殺のために主張した貸金債権が不存在であると判断されているため、この判断についても既判力が生じ、BがAに対して同一の貸金債権について訴えを提起することは許されません。

ウ 誤り

本肢では、BがAに対して保証債務の履行請求権を有することについて既判力が生じています。そのため、事実審口頭弁論終結の時までに生じた事実を理由としているC勝訴の確定判決があることをA敗訴の確定判決に対する請求異議の事由にすることは、既判力に反し許されません。

エ 正しい

明示的一部請求訴訟が棄却される判決が確定した後に、残部請求をすることは、特段の事情がない限り、信義則に反し許されません(最判平成10年6月12日)。

一部請求であっても、債権全額が審理対象となるからです。

オ 正しい 

確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力が生じるため(民事訴訟法114条1項)、「理由中の判断」は既判力が及ぶ範囲に含まれません。

本肢の場合、AのBに対する土地の賃料支払請求権の不存在について既判力が生じ、その理由中の判断である土地の賃貸借契約の存否について、既判力は生じません。

よって、正しい肢はエとオとなります。

2

正解は5です。


ア…誤りです。既判力がいつから生じるかについては、確定判決についての請求異議の事由が口頭弁論の終結後に出たものに限られる(民事執行法35条2項)などの通り、事実審口頭弁論の終結時をもって、既判力の基準時とするのが通例です。したがって、所有権確認訴訟の確定判決でAに所有権が認められた以上、その事実審口頭弁論の終結の時より以前に生じていた事実をもって、当事者Aが自身に所有権がないと別訴で主張することは許されません。


イ…誤りです。相殺のために主張した請求の成立または不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有します(民事訴訟法114条2項)。したがって売買代金支払訴訟の確定判決で、Bが抗弁に使用した自働債権は不存在であるということにつき既判力が生じていますので、新たにその存否につき訴えを起こすことは認められません。


ウ…誤りです。保証人敗訴の判決が確定した後に、主債務者勝訴の判決が確定した場合、主債務者勝訴の判決が、保証債務履行請求訴訟の事実審口頭弁論の終結の時までに生じた事由に基づいてされているときは、保証人は、主債務者勝訴の確定判決を、保証人敗訴の請求異議の事由にすることはできません(最判昭51・10・21)。一度主張できないことが確定した事実をもって再び債権者の権利を争うことであり、判決の既判力を否定することになるためです。


エ…正しいです。一個の債権の数量的な一部請求であることを明示してする訴えの提起(=明示的一部請求訴訟)がされた場合、その請求についての確定判決の既判力は残部の請求に及ばないとするのが原則です(最判昭37・8・10)。しかし、一個の金銭債権の明示的一部請求訴訟について原告が敗訴した場合は、特段の事情がない限り、残部請求の訴えを提起することは信義則に反して許されません(最判平10・6・12)。一個の金銭債権に対する明示的一部請求訴訟は、当該債権が存在しその額は一定額を下回らないことを主張して一定額の限度でこれを請求するものであり、債権の特定の一部を請求するものではないので、審理すべき内容は金銭債権全部に及んでおり、原告敗訴は、当該債権は存在しないという判断の結果と考えることができるためです。


オ…正しいです。確定判決は、主文に包含されるものに限り、既判力を有します(民事訴訟法114条1項)。判決の理由には既判力は認められないので、理由について争うことも可能です。

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