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司法書士の過去問 平成30年度 午前の部 問20

問題

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夫婦の財産関係に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  夫婦は、婚姻の届出後に法定財産制と異なる契約をし、その登記をすれば、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができる。

イ  夫婦の一方は、夫婦間でした契約であっても、婚姻が実質的に破綻した後は、夫婦間でしたものであることを理由として取り消すことができない。

ウ  夫婦の一方が相続によって取得した財産であっても、婚姻中に取得したものであれば、夫婦の共有に属するものと推定される。

エ  夫婦の一方は、夫婦の日常の家事に関する法律行為について、配偶者による代理権の授与がなくても、配偶者を代理してその法律行為をする権限を有する。

オ  夫婦の一方は、婚姻が破綻して配偶者及び子と別居しているときは、子の養育費を分担する義務を負うが、配偶者の生活費を分担する義務を負わない。
   1 .
アイ
   2 .
アオ
   3 .
イエ
   4 .
ウエ
   5 .
ウオ
( 平成30年度 司法書士試験 午前の部 問20 )
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この過去問の解説 (3件)

6
正しい肢はイとエで【正解は3】です。

ア × 夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができません(民法756条)。

イ ○ 夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができます(民法754条)。判例(最判昭42.2.2)は、「この規定の婚姻中とは単に形式的に婚姻が継続していることではなく、形式的にも実質的にもこれが継続していることを言うものと解すべき」としています。

ウ × 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とします(民法762条1項)。相続で得たということは自己の名で得た財産といえます。

エ ○ 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負います(民法761条)。この規定について、判例(最判昭44.12.18)では、「夫婦は相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有することも定められていると言える」としています。

オ × 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担します(民法760条)。婚姻が事実上破綻し別居状態に入ったとしても婚姻が継続している限り婚姻費用分担の義務はあります。

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3
正解:3

ア:誤
夫婦の間の財産関係の規律は、夫婦財産契約を締結した場合とそのような契約がなく民法の定める法定財産制とに分けられます。「夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は、次款の定めるところによる」(民法755条)という規定が根拠です。
夫婦財産契約を締結した場合について、民法756条は、「夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない」と規定しています。この登記は、「婚姻の届出までに」しなければならないのですから、単に登記をすれば対抗できるのではありません。
よって、誤った記述です。

イ:正
民法754条本文は、「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる」と定めています。
しかし、判例は、「『婚姻中』とは、単に形式的に婚姻が継続していることではなく、形式的にも、実質的にもそれが継続していることをいうものと解すべきであるから、婚姻が実質的に破綻している場合には、それが形式的に継続しているとしても、同条の規定により、夫婦間の契約を取り消すことは許されない」としています(最判昭和42年2月2日民集21巻1号88頁)。
よって、正しい記述です。

ウ:誤
民法762条1項は、「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。」と定めており、夫婦が婚姻中に自己の名で得た財産は、夫婦の一方の特有財産とされます。
夫婦の共有に属するものとは、その共有に属するものと推定されるのは、「夫婦のいずれに属するか明らかでない財産」です(同条2項)。
よって、誤った記述です。

エ:正
民法761条「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない」と規定しています。
判例は、この規定について、夫婦の日常の家事に関する法律行為の効果・責任についてのみ規定しているものであるが、「その実質においては、さらに、右のような効果の生じる前提として、夫婦は相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有することをも規定している」としています(最判昭和44年12月18日民集23巻12号2476頁)。
よって、正しい記述です。

なお、この判例の事案では、夫婦間の日常家事代理権を基礎とした表見代理(民法110条の類推適用)の成否が問題となっており、基本代理権の捉え方や正当事由の対象となる事情などについても確認しておかれるとよいでしょう。


オ:誤
民法760条は「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と規定しています。婚姻から生ずる費用には配偶者の生活費も含まれ、大阪高決昭和41年5月9曰家月18巻12号37頁や東京高決昭和57年12月27曰判時1071号70頁といった裁判例は、婚姻が破綻して別居しているというだけでは、配偶者の生活費分担の義務を否定していません。
よって、誤った記述です。

2
正解は3です。760条の「日常の家事」の具体的な範囲は定められておらず、個々の夫婦の実状や地域社会の慣習などによって異なります。

ア…誤りです。夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出前にその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができません(756条)。また、婚姻の届出後は、夫婦の財産関係を変更することができません(758条1項)。

イ…正しいです。夫婦間でなした契約は、第三者の利益を害する場合を除き、婚姻中いつでも夫婦の一方から取り消すことができます(754条)。しかし、単に形式的に婚姻が継続していて、実質的には破綻している場合、754条の「婚姻中」とはみなされず、夫婦間の契約を取り消すことはできません(最判昭42・2・2)。

ウ…誤りです。夫婦の一方が婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産となります(762条1項)。相続人たる資格が夫婦のもう一方にないときは、共有財産にはなりません。

エ…正しいです。夫婦の一方がその家事に関して第三者と法律行為をしたときは、夫婦の他方はこれによって生じた債務につき連帯責任を負うとした761条の規定は、夫婦が相互に日常の家事に関して他方を代理する権限を有していることを前提にしていると解されています(最判昭44・12・18)。

オ…誤りです。夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻費用(婚姻から生ずる一切の費用)を分担する義務があります(760条)。判例では、婚姻が破綻して夫婦が別居状態にある場合でも、観念的には婚姻共同体が存在し、これを維持するための費用が必要であること、また夫婦の協力義務は別居により消滅するものではないことを理由に、婚姻費用分担義務は消滅しないとしています(先例、H3過去問)。なお、婚姻費用の中には養育費も含まれるとされています(高判昭40・7・16)。

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