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司法書士の過去問 平成31年度 午前の部 問13

問題

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次の対話は、抵当権の効力に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、どれか。

教授:抵当権の及ぶ範囲について考えてみましょう。土地に抵当権を設定すると、その土地上の樹木には原則として抵当権の効力が及びます。では、抵当権者と抵当権設定者との合意により、抵当地の上の樹木に抵当権の効力が及ばないこととすることはできますか。

学生:ア  はい。抵当権者と抵当権設定者が合意すれば、抵当地の上の樹木に抵当権の効力が及ばないこととすることができます。

教授:AがBから甲土地を賃借し、その賃貸借について対抗要件が具備されている場合において、その後にAが甲土地上に所有する乙建物に抵当権を設定したという事例について考えましょう。乙建物に設定された抵当権の効力は、原則として甲土地の賃借権にも及びますが、その対抗要件はどのようにすれば具備されますか。

学生:イ  乙建物について抵当権の設定の登記がされれば、甲土地の賃借権に抵当権の効力が及ぶことについても対抗力が生じます。

教授:Aが甲土地の所有権を取得した場合には、甲土地の賃借権はどうなりますか。

学生:ウ  甲土地の賃借権は混同によって消滅しますが、抵当権が実行された場合には法定地上権が成立するので、建物競落人は敷地を利用することができます。

教授:AとBとの合意によって甲土地の賃貸借契約を解除することはできますか。

学生:工  賃貸借契約を合意解除することはできますが、それを抵当権者に対抗することはできません。

教授:乙建物に設定された抵当権が実行され、Cが乙建物を競落した場合に、Cは、Bの承諾又はこれに代わる裁判所の許可を得なくても、Bに対し、甲土地の賃借権を取得したことを主張することができますか。

学生:オ  はい。Cは、Bの承諾又はこれに代わる裁判所の許可を得なくても、Bに対し、甲土地の賃借権を取得したことを主張することができます。
   1 .
アイ
   2 .
アウ
   3 .
イエ
   4 .
ウオ
   5 .
エオ
( 平成31年度 司法書士試験 午前の部 問13 )
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この過去問の解説 (3件)

13
正解:4

ア:正
抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及びます。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について第424条第3項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りではありません(民370)。よって、抵当権者と抵当権設定者が合意すれば、抵当地の上の樹木に抵当権の効力が及ばないこととすることができます。

イ:正
主物である不動産に抵当権の設定登記がされると、当該不動産だけでなく当該不動産の従物についても対抗力が備わります(最判昭44.3.28)。つまり、乙建物に抵当権の設定登記がなされると、甲土地の賃借権(従たる権利)に抵当権の効力が及ぶことについても対抗力が生じます。

ウ:誤
判例は、特定の土地につき所有権と賃借権とが同一人に帰属するに至った場合であっても、その賃借権が対抗要件を具備したものであり、かつ、その対抗要件を具備したのちに当該土地に抵当権が設定されていたときは、民法第179条第1項但書の準用により、賃借権は消滅しないものと解すべきある(最判昭46.10.14)としています。
法定地上権についても、判例は、抵当権設定当時において土地および建物の所有者が各別である以上、その土地または建物に対する抵当権の実行による競落の際、当該土地および当該建物の所有権が同一の者に帰していたとしても、法定地上権は成立しない(最判昭44.2.14)としています。

エ:正
借地上の建物に抵当権が設定されている場合において、判例は、賃借権を放棄、または、土地の賃貸借契約を合意解除したとしても、民法第398条の類推適用により、借地権の消滅を抵当権者に対抗できない(大判大11.11.24、大判大14.7.18)としています。

オ:誤
借地上の抵当建物が抵当権の実行により競落された場合において、土地の賃借権は、当該建物の所有権とともに競落人に移転します。ただし、土地の賃借権は、土地の賃借人と競落人との間の関係では移転するとしても、当該土地の所有者に対してこれを主張するには、賃借権の譲渡につき、当該土地の所有者の承諾または承諾に代わる裁判所の許可が必要です(民612Ⅰ、借地借家20Ⅰ)。

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7
正解は4です。「土地を賃借し、その賃貸借について対抗要件が具備されている」とは、通常、不動産の賃貸借についての対抗要件は当該賃借権の登記ですが(民法605条)、土地の賃借権を有する者は、その土地の上の建物を所有するときは、登記なくして第三者に対抗でき(借地借家法10条1項)、これに言及したものといえます。また、「建物に設定された抵当権の効力は、当該建物の立っている土地の賃借権(借地権)にも及びます」が、土地の賃借権のみを目的として抵当権を設定することはできません(民法369条1項、2項)。

ア…正しいです。抵当権は、その目的物が土地である場合の抵当地上の建物を除き、不動産に付加して一体となっている物に及びますが、特約で付加物に抵当権が及ばない旨を定めることができます(民法370条1項)。

イ…正しいです。土地の賃借人が当該土地上に所有する建物に賃借権を設定したときには、当該建物に抵当権設定登記が経由されると、これによって抵当権の効力が当該賃借権にも及ぶことについて対抗力を生じるものと解するのが相当とされています(最判昭52・3・11)。

ウ…誤りです。建物の所有権と賃借権が同一人物に帰属するに至った場合、(第三者の権利を害するおそれがある場合・自己借地権が適用される場合を除き)混同の原理により賃借権は消滅します(民法520条)。しかし、法定地上権が成立する条件は、①抵当権設定時に土地の上に建物が存在していること、②抵当権設定時に土地と建物の所有者が同じであること、③土地と建物の一方または双方に抵当権が設定されていること、④その後土地と建物の所有者が異なる状態になったこと、であるので、本問で乙建物にAが抵当権を設定したとき、甲土地と乙建物の所有者がBとAで異なるため、法定地上権は成立しません。

エ…正しいです。賃貸借契約は合意解除できますが、第三者の権利を害することはできません(545条ただし書)。この第三者は解除された契約から生じた法律効果を基礎として、解除までに新たな権利を取得した者で、目的物の上に抵当権を設定した者も含まれます(最判明42・5・14)。なお、この場合の抵当権者は抵当権の登記が必要です(最判昭33・6・14)。

オ…誤りです。土地賃借人の所有に属する建物の抵当権は、建物の所有権の従たる権利である当該土地の賃借権にも及び、建物が競落された場合には、特段の事情のない限り、建物の所有権とともに土地の賃借権も競落人に移転するという判例があります(最判昭40・5・4)。しかし、地上権と異なり、土地賃借権は、建物を競売で取得した第三者に対しても、賃貸人の同意もしくはそれに代わる裁判所の許可を得なくては譲渡できません(民法612条1項、借地借家法20条)。

3
正解:4

ア:正
抵当権の効力は、当権は、「抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物」に及びます(370条本文)。ただし、「設定行為に別段の定め」によって、抵当権の効力が及ぶ物から除外することができます(同条ただし書)。
よって、正しい記述です。

イ:正
判例は、建物を所有するために必要な敷地の賃借権は、右建物所有権に付随し、これと一体となって一の財産的価値を形成しているものであるから、建物に抵当権が設定されたときは敷地の賃借権も原則としてその効力の及ぶ目的物に包含される」としています。また、「従前の建物所有者との間においては、右建物が取毀しを前提とする価格で競落された等特段の事情がないかぎり、右建物の所有に必要な敷地の賃借権も競落人に移転する」としています(最判昭和40年5月4日民集第19巻4号811頁)。
この判例の趣旨からは、建物について抵当結成手の登記がされれば、敷地に設定された賃借権に抵当権の効力が及ぶことにも対抗要件が生じると考えられます。
よって、正しい記述です。

ウ:誤
民法520条は、「債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない」と定めています。
Aが甲土地の所有権を取得していますので、甲土地の賃借権とこれに対応した賃貸人としての地位が同一人に帰属していますが、賃借権には抵当権の効力が及んでいますので、520条ただし書により、混同の例外として、賃借権は消滅しません。
よって、誤った記述です。

エ:正
民法398条は、「地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない」としています。権利の放棄により第三者を害することは許されないのです。
この趣旨から、合意解除により第三者の権利を害することはできませんので、賃貸借契約を合意解除しても、その賃借権を目的とする抵当権の抵当権者に対抗することはできません(大判大正14年7月18日新聞2463号14頁)。
よって、正しい記述です。

オ:誤
乙建物に設定された抵当権が実行され、Cが乙建物を競落した場合には、敷地である甲土地の賃借権にも抵当権の効力は及んでいますから、Cは賃借権も取得します。
しかし、賃借権の譲渡は、賃貸人の承諾を得ることが原則です(民法612条1項)。これを賃貸人たるBに対して主張するためには、この承諾を得るか、承諾に代わる裁判所の許可(借地借家法20条)を得る必要があります。
よって、誤った記述です。

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