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司法書士の過去問 平成31年度 午前の部 問16

問題

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保証に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、どれか。

ア  保証契約の締結後に、債権者と主債務者が主債務の弁済期を早める合意をしたときは、保証債務の履行期も同様に変更される。

イ  主債務者Aの主債務についてB及びCの二人の保証人があり、Bが全額を弁済した場合において、AがBに対して求償債務を承認したとしても、BのCに対する求償権について消滅時効の中断の効力は生じない。

ウ  主債務者Aの主債務についてB及びCの二人の保証人がある場合において、Bが全額を弁済する旨の保証連帯の特約があるときは、Bは、債権者から保証債務の履行を求められた際に検索の抗弁及び催告の抗弁を主張することができない。

工  主債務者Aから委託を受けて保証人となったBがAに対して事前求償権を取得し、その後に弁済によって事後求償権を取得したときは、事後求償権の消滅時効は事前求償権を行使することができる時から進行する。

オ  AがBに対して中古車を売ったことに基づくAの債務をCが保証した場合において、Bがその代金を支払った後にAの債務不履行によって当該中古車の売買契約が解除されたときは、Cは、Aの既払代金返還債務についても保証の責任を負う。
   1 .
アウ
   2 .
アエ
   3 .
イウ
   4 .
イオ
   5 .
エオ
( 平成31年度 司法書士試験 午前の部 問16 )
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この過去問の解説 (3件)

7
正解は4です。保証連帯は、複数の保証人間で連帯関係が生じているものです。これに対し連帯保証は、主たる債務者と保証人間で連帯関係を生じさせるもので、通常の保証債務と違い、補充性がないなどの特徴があります。

ア…誤りです。主たる債務の目的または態様が、保証契約締結後に加重されたときでも、保証人の債務は加重されません(448条2項)。弁済期を早めることは債務を重くすることになるので、債権者と主債務者の合意に関わらず、保証の履行期は早められません。

イ…正しいです。主たる債務者に生じた事由は保証人にも及ぶのが原則であり、主たる債務者がした債務の承認は、保証債務の時効中断に及びます。しかし、求償債務について判例は、民法465条に規定する共同保証人間の求償権は、共同保証人間の負担を最終的に調整するためのものであり、保証人が債務者に対して有する求償権を担保するものでないことから、債務者と保証人の間に生じた求償権の消滅時効の中断事由は、共同保証人間には適用されないとしました(最判平27・11・19)。

ウ…誤りです。本問のように保証人の一人であるBが主たる債務の全額を弁済する特約があっても、催告の抗弁権(主たる債務者に保証人より先に債務の履行を求めること、452条)と検索の抗弁権(主たる債務者につき弁済できる資力があり、かつ執行が容易であれば、主たる債務者の財産につき優先的に債務の執行を求めること、453条)が失われるわけではありません。連帯保証の場合(454条)と混同しないようにしてください。

エ…誤りです。消滅時効の起算点は、権利を行使することができる時からです(166条1項)。判例は、保証人が事前求償権を取得した場合であっても、同保証人が弁済その他自己の出捐により主たる債務を消滅させるべき行為をしたことにより事後求償権を取得したときは、事後求償権の消滅時効の起算点は当該行為をしたときから進行するとしています(最判昭60・2・12)。事前求償権は事後求償権とは法的性質や発生原因が異なる別個の権利と考えられるからです。

オ…正しいです。主たる債務が成立しなければ、保証債務も成立しないとされます。しかし、保証債務の範囲は、主たる債務に関する利息・違約金・損害賠償その他主たる債務に従たるすべての物に及びます(447条1項)。したがって、目的物の返還義務、債務不履行による損害賠償義務などについては、当然に保証人の責任となります。また、売買契約解除のように遡及的に消滅する場合の原状回復請求についても、保証人は、売主の債務について負担を負うものではなく、売主の債務不履行に対して負担を負うものとされました(最大判昭40・6・30)。したがって売買契約解除となっても、本問のCは、Aがすでに支払った代金の返還請求に応じる責任があります。

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3
正解:4

ア:誤
主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されません(民448Ⅱ)。
よって、債権者と主債務者が主債務の弁済期を早める合意をしたときであっても、保証債務の履行期は変更されません。

イ:正
時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始めます(承認による時効の更新 民152Ⅰ)。そして、当該規定による時効の更新は、更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有します(時効の更新の効力が及ぶ者の範囲 民153Ⅲ)。
よって、AがBに対して求償債務を承認しても、BのCに対する求償権について消滅時効の更新の効力は生じません。

ウ:誤
債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができ(催告の抗弁 民452本文)、また、債権者が民法第452条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければなりません(検索の抗弁 民453)。しかし、保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、催告の抗弁権及び検索の抗弁権を有しません(連帯保証の場合の特則 民454)。
本肢については、保証連帯なので、連帯保証の場合の特則の規定は適用されません。

エ:誤
判例は、主たる債務者から委託を受けて保証をした保証人(以下「委託を受けた保証人」)が、弁済その他自己の出捐をもって主たる債務を消滅させるべき行為(以下「免責行為」)をしたことにより、民法第459条第1項の規定に基づき主たる債務者に対して取得する事後求償権は、免責行為をしたときに発生し、かつ、その行使が可能となるものであるから、その消滅時効は、委託を受けた保証人が免責行為をした時から進行するものと解すべきであり、このことは、委託を受けた保証人が事前求償権を取得したときであっても異なるものではない(最判昭60.2.12)としています。

オ:正
判例は、特定物の売買における売主のための保証においては、通常、その契約から直接に生ずる売主の債務につき保証人が自ら履行の責に任ずるというよりも、むしろ、売主の債務不履行に基因して売主が買主に対し負担することあるべき債務につき責に任ずる趣旨でなされるものと解するのが相当であるから、保証人は、債務不履行により売主が買主に対し負担する損害賠償義務についてはもちろん、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責任を負う(最大判昭40.6.30)としています。
よって、CはAの既払代金返還債務についても保証の責任を負います。

2
正解:4

ア:誤
平成29年改正後の民法448条2項は「主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない」と定めています(新設規定です)。
債権者と主債務者が主債務の弁済期を早める合意をしたからといって、保証債務の履行期も同様に変更されて早められるとしてしまうと、保証人の意思は保証契約が締結された時点での内容で債務を保証するというものであるにもかかわらず、保証人の意思とは無関係により重い内容の保証をすることになってしまいます。
よって、誤った記述です。

イ:正
主債務の全額を弁済した保証人は、委託を受けた保証人である場合は民法459条1項により、委託を受けない保証人である場合には462条1項により、主債務者に対して求償権を取得します。また、数人の保証人がある場合には、弁済をした保証人は他の保証人に対しても求償権を取得します(465条)。
このような場合に、判例は、「民法465条に規定する共同保証人間の求償権は,主たる債務者の資力が不十分な場合に,弁済をした保証人のみが損失を負担しなければならないとすると共同保証人間の公平に反することから,共同保証人間の負担を最終的に調整するためのものであり,保証人が主たる債務者に対して取得した求償権を担保するためのものではない」とし、「保証人が主たる債務者に対して取得した求償権の消滅時効の中断事由がある場合であっても,共同保証人間の求償権について消滅時効の中断の効力は生じない」としています(最判平成27年11月19日民集第69巻7号1988頁)。
したがって、主債務者Aの主債務についてB及びCの二人の保証人があり、Bが全額を弁済した場合において、AがBに対して求償債務を承認したとしても、BのCに対する求償権について消滅時効の中断[平成29年改正後は「時効の完成猶予」]の効力は生じません。
よって、正しい記述です。

ウ:誤
保証連帯の特約とは、「各保証人が全額を弁済すべき旨の特約」(民法465条1項)であり、これがなされたからといって、検索の抗弁(452条)及び催告の抗弁(453条)を失わせる連帯の特約(454条)がなされたことにはなりません。
よって、誤った記述です。

エ:誤
判例は、主たる債務者から委託を受けて保証をした保証人が事前求償権を取得し(民法460条)、さらに弁済によって事後求償権を取得した(459条1項)場合でも、事後求償権は「免責行為をしたときに発生し、かつ、その行使が可能となるものであるから、その消滅時効は、委託を受けた保証人が免責行為をした時から進行する」としています。
事前求償権は事後求償権とその発生要件を異にするものであるし、事前求償権については、事後求償権については認められない抗弁が付着し、また、消滅原因が規定されている(461条)ことに照らすと、両者は別個の権利であり、その法的性質も異なり、したがつて、委託を受けた保証人が、事前求償権を取得しこれを行使することができたからといって、事後求償権を取得しこれを行使しうることとなるとはいえないからです(最判昭和60年2月12日民集39巻1号89頁)。
よって、誤った記述です。

オ:正
判例は、保証人は、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責に任ずるものと認められるとしています。
特定物の売買における売主のための保証は、通常、その契約から直接に生じる売主の債務につき保証人が自ら履行の責に任ずるというよりも、むしろ売主の債務不履行に基因して売主が買主に対し負担し得る債務につき責に任ずる趣旨でなされると考えられるからです(最大判昭和40年6月30日民集19巻4号1143頁)。
Bがその代金を支払った後にAの債務不履行によって当該中古車の売買契約が解除されたときに生じるAの既払代金返還債務は、解除による原状回復義務(民法545条1項本文)ですので、AがBに対して中古車を売ったことに基づくAの債務の保証に含まれます。
よって、正しい記述です。

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