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司法書士の過去問 平成31年度 午前の部 問18

問題

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隔地者間の契約の成立に関する次の記述のうち、隔地者であるAとBとの間で契約が成立するものは、どれか。なお、A及びBはいずれも商人でないものとする。
   1 .
Aは、Bに対して承諾の期間を定めて契約の申込みをしたが、その通知が到達する前に、その申込みを撤回する旨をBに伝えた。その後、Bは当初の申込みにおいて定められた承諾の期間内に承諾の意思表示をした。
   2 .
Aは、Bに対して承諾の期間を定めないで契約の申込みをしたが、その通知が到達した後Bが諾否を判断するのに必要と考えられる時間が経過する前に、その申込みを撤回する旨をBに伝えた。その直後、Bは承諾の意思表示をした。
   3 .
Aは、Bに対して申込みの通知を発した後に死亡し、Bは、その通知が到達する前にその事実を知った。その通知が到達した後Bは承諾の意思表示をした。
   4 .
Aは、Bに対して承諾の期間を定めて契約の申込みの通知を発したが、その通知は、交通事情により到達が遅れたため、承諾期間経過後にBに到達した。Bは、Aに対して延着の通知をするとともに、承諾の意思表示をした。
   5 .
Aは、Bに対して、撤回する権利を留保した上で、承諾の期間を定めないで契約の申込みをしたが、その後これを撤回する旨の通知を発した。その通知は、交通事情により到達が遅れたため、Bが承諾の意思表示を発した後に到逹した。Bは、通常の場合にはBが承諾の通知を発する前にAによる撤回の通知が到達するはずであったことを知っていたが、Aに対して延着の通知をしなかった。
※民法の一部が改正( 平成29年6月2日公布 令和2年4月1日施行)され、債権関係の規定が変更になりました。この設問は平成30年に出題された設問になります。
<参考>
<参考>
( 平成31年度 司法書士試験 午前の部 問18 )
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この過去問の解説 (3件)

4
正解は2です。隔地者間の契約に関する民法条文は、後述の通り大きく改正されました。

1.…成立しません。承諾の期間を定めてした契約の申込みは撤回することができませんが(523条1項)、意思表示は、その通知が相手方に到達したときからその効力を生じますので(97条1項)、本問の場合は申込みがまだされないうちに撤回されたと考えられます。したがってBの意思表示に関わらず契約は無効です。

2.…成立します。承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに必要な期間を経過するまでは、撤回することができません(525条1項)。よって本問のBの承諾の意思表示は、契約において有効です。

3.…成立しません。意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡または意思能力を喪失したとしても、そのためにその効力を妨げられることはありません(97条3項)が、契約の申込みにおいて、通知の相手方が、申込者の死亡または行為能力の喪失に関して、承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その契約は効力を有しません(526条)。

4.…成立しません。承諾の期間を定めてした申込は、期間内に承諾の通知を受けなかったときは、効力を失います(523条2項)。よって本問でAが申込みをした契約は無効となっています。

5.…(成立しません。)(注.2017(平成29)年の改正以前の民法527条1項および2項では、申込みの撤回の通知が承諾の通知を発した後に到達した場合であっても、通常の場合にはその前に到達すべき時に発送したものであることを知ることができたときは、承諾者(本問のB)は、遅滞なく、申込者(本問のA)に対してその延着の通知を発しなければならず、当該通知を怠ったときは、契約は成立しなかったものとみなされていました。しかし、改正後は、通知の延着に関する条文は削除されました。以下、解説は改正民法によります)契約は、申込みに対して相手方が承諾の意志表示をしたときに成立します(522条1項)。「承諾の意志表示をしたとき」についても、従来は隔地者間の承諾については発信主義がとられていましたが、他の場合と同じく到達主義がとられるようになりました(97条1項)。また、承諾の期間を定めないでした申込みは、(隔地者間であるかどうかに関わらず)申込者が撤回をする権利を留保したときは、相当の期間を経過しなくても撤回ができます(525条1項ただし書)。したがって、申込者Aのした撤回と、承諾者Bのした承諾は、それぞれ相手に到達したときに有効になるので、どちらが先に相手方に到達したかによって契約の成否が変わります。しかし、本文からは実際にどちらが先に相手方に到達したかは不明ですので、成立するかどうかはわからなくなりました。

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4
正解:なし(平成29年改正前民法によれば、正解は2)

1:契約は成立しない
民法522条1項は、「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する」と定めています。
民法523条1項本文は、「承諾の期間を定めてした契約の申込みは、撤回することができない」と定めていますが、97条1項は「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」と定めていますので、通知が到達する前はそもそも申込みが効力を生じていないため、撤回をすることができます。
このような場合に、Bが承諾の意思表示をしたとしても、そもそも申込みが存在しません。よって、契約は成立しません。

2:契約が成立する
民法525条1項本文は、「承諾の期限を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない」と定めています。そのため、Aは、Bが諾否を判断するのに必要と考えられる時間が経過する前は、申込みを撤回することはできません。したがって、Aがした撤回は効力を有さず、申込みは有効なままです。そして、この直後にBが承諾の意思表示をしています。
よって、AとBとの間では契約が成立します。

3:契約は成立しない
民法526条は「申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込は効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込は、その効力を有しない」と規定しています。
Bは、Aが申込みの通知を発した後に死亡したことを、その通知が到達する前に知ったのですから、承諾の通知を発するまでにAの死亡を知っているので、申込みは効力を有しません。そのため、Bが承諾の意思表示をしても、AとBとの間では契約は成立しません。
よって、契約は成立しません。

4:契約は成立しない
申込みの通知が、申込みで定めた承諾の期間の経過後に到達している以上、申込みの通知は効力を生じません。このような場合に承諾の意思表示をしても、そもそも対応する申込みが存在しないのです。
よって、契約は成立しません。

5:契約が成立するかは不明
撤回権を留保しているため、Aは申込みを撤回することができます(民法525条1項ただし書)。
しかし、意思表示は到達のときに効力を生じるので(民法97条1項)、先に到達した申込みが到達の時点で先に効力を生じ、その後に撤回が到達した時点で撤回の効力が生じます。
もっとも、承諾の意思表示も相手方に到達した時点で生じますので(同項)、Aによる撤回がBに到達した時点と、Bによる承諾の意思表示がAに到達した時点との先後関係が問題となります。
しかし、この事実関係は、設例からは不明です。
よって、契約が成立するかは不明です。

平成29年改正前の民法によれば、契約は成立しません。
平成29年改正前民法526条1項は「隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する」と定めていました。そのため、Bが、Aによる撤回がBに到達する前に承諾の意思表示を発した以上は、その時点で契約が成立するとも考えられます。
しかし、平成29年改正前民法527条(改正により削除されており、対応規定はありません)1項は、「申込みの撤回の通知が承諾の通知を発した後に到達した場合であっても、通常はその前に到達すべき時に発送したものであることを知ることができるときは、承諾者は、遅滞なく、申込者に対してその延着の通知を発しなければならない」と定めていました。
これにより、承諾の通知を発する前にAによる撤回の通知が到達するはずであったことを知っていたBは、撤回の通知の延着をAに通知する義務を負います。
そして、同条2項は、「承諾者が前項の延着の通知を怠ったときは、契約は、成立しなかったものとみなす」と規定していました。
これによれば、撤回の通知の延着をAに通知することを怠ったBが意思表示をしても、契約は成立しなかったものとみなされることになります。
よって、平成29年改正前民法によれば、契約は成立しません。

3
正解:2

1:成立しません
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生じます(民97Ⅰ)ので、申し込みの意思表示が相手方に到達する前であれば、その意思表示を自由に撤回することができます。

2:成立します
承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができません(民525Ⅰ本文)。
本肢ついて、Bが諾否を判断するのに必要と考えられる時間が経過する前に、Aはその申込みを撤回する旨をBに伝えているので、その直後に承諾をしたBの意思表示は有効であり、契約が成立することになります。

3:成立しません
意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられないのが原則です(民97Ⅲ)が、そのような場合においても、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しません(民526)。

4:成立しません
承諾の期間を定めて契約の申込みの通知を発した場合において、その通知が承諾期間経過後に相手方に到達したときは、相手方は承諾できないので、契約は成立しません。

5:成立しません
承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができません(民525Ⅰ本文)が、申込者が撤回をする権利を留保したときは、相当な期間を経過する前であっても撤回することができます(民525Ⅰ但書)。
契約の成立の要否は、承諾の到達と撤回の通知の到達との先後で決まるので、本肢については、Aの申込みの撤回の通知の到達がBの承諾の通知の到達より先であるため、契約は成立しません。

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