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司法書士の過去問 平成31年度 午前の部 問24

問題

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共同正犯に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、どれか。

ア  A及びBがCの殺害を共謀したが、BがDをCと誤認して殺害したときは、Aには、Dに対する殺人罪の共同正犯は成立しない。

イ  AがBからCを毒殺する計画を打ち明けられるとともに、毒物の入手を依頼されて承諾し、致死性の毒物を入手してBに手渡した場合において、Bが殺人の実行に着手しなかったときは、Aには、殺人予備罪の共同正犯が成立する。

ウ  他人の財物を業務上占有するAが、当該財物の非占有者であるBと共謀の上、横領行為に及んだときは、Bには、刑法第65条第1項により業務上横領罪の共同正犯が成立し同条第2項により単純横領罪の刑が科されることとなる。

エ  A及びBが共謀の上、C所有の建造物を損壊している際、A及びBの知らないところで、DがA及びBに加勢するつもりで、当該建造物を損壊する行為を行ったときは、Dには建造物損壊罪の共同正犯は成立しない。

オ  A及びBがCに対する暴行・傷害を共謀し、Cの下に赴いて、こもごもCを殴打する暴行を加えているうち、Bがその際のCの言動に立腹してCに対する殺意を覚え、持っていた刃物でCを刺して殺害したときは、Aには傷害致死罪の共同正犯ではなく、傷害罪の共同正犯が成立する。

(参考)刑法 第65条犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする。身分によって特に刑の軽重があるときは、身分のない者には通常の刑を科する。
   1 .
アイ
   2 .
アオ
   3 .
イウ
   4 .
ウエ
   5 .
エオ
( 平成31年度 司法書士試験 午前の部 問24 )
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この過去問の解説 (3件)

7

正解 2

ア 誤り
AとBによる共謀の範囲は「Cの殺害」であったところ、実際は「Dの殺害」という結果が発生しています。
このように、AとBによる「Cの殺害」という認識と「Dの殺害」という結果が異なる場合であっても、AとBの認識はおよそ「人を殺害する」ことであり、構成要件においては一致しているため、故意は阻却されません(法定的符号説)。
よって、Aには、Dに対する殺人罪の共同正犯が成立します。

イ 正しい
殺人の目的を有する者から、これに使用する毒物の入手を依頼され、その使途を認識しながら、右毒物を入手して依頼者に手交した者が、右毒物による殺人が予備に終わった場合には、殺人予備罪の共同正犯としての責任を負うものと解すべきである(最判昭和37年11月8日)。

ウ 正しい
業務上の占有者による業務上横領罪に加担した非占有者に関して、判例は、「刑法65条1項により非占有者には業務上横領罪の共同正犯が成立するが、同法253条は横領罪の犯人が業務上物を占有する場合において、とくに重い刑を科することを規定したものであるから、業務上物の占有者たる身分のない者に対しては同法65条2項により同法252条1項の通常の横領罪の刑を科すべきものである」(最判昭和32年11月19日)としています。

エ 正しい
共同正犯が成立するためには、共同実行の意思の連絡があり、かつ、共同実行の事実(実行行為の分担)があることが必要です。
本肢では、A及びBとDとの間には意思の連絡が認められないため、Dには建造物損壊罪の共同正犯は成立しません。

オ 誤り
判例は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから、暴行・傷害を共謀した被告人らのうちの一人が被害者に対し殺人罪を犯した場合において、殺意のなかった被告人らついては、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立するものと解すべきである」(最決昭54.4.13)としています。
よって、本肢の場合、Aには傷害致死罪の共同正犯が成立します。

以上から、誤っている選択肢はアとオとなり、正解は2となります。

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4
正解:2

ア:誤
Aの意図はCの殺害であったところ、実際に起きた事件はDの殺害という結果でしたが、このようにAの共謀時の対象と実際の実行行為との対象に相違が生じた場合であっても、Aの故意は人を殺すことであり、発生した事実と構成要件において一致しており、Aの故意は阻却されません(法定的付合説)。よって、Aには、Dに対する殺人罪の共同正犯が成立します。

イ:正
判例は、 殺人の目的を有する者から、これに使用する毒物の入手を依頼され、その使途を認識しながら、当該毒物を入手して依頼者に渡した者は、当該毒物による殺人が予備に終わった場合に、殺人予備罪の共同正犯としての責任を負うものと解すべきである(最判昭37.11.8)としています。

ウ:正
業務上の占有者による業務上横領罪に加担した非占有者に関して、判例は、刑法第65条第1項により業務上横領罪の共同正犯が成立するが、刑法第253条は横領罪の犯人が業務上物を占有する場合において、とくに重い刑を科することを規定したものであるから、業務上物の占有者たる身分のない者に対しては刑法第65条第2項により刑法第252条第1項の通常の横領罪の刑を科すべきものである(最判昭32.11.19)としています。

エ:正
共同正犯が成立するには、共同実行の意思の連絡があり、かつ、共同実行の事実(実行行為の分担)があることが必要です。本肢について、A、BとDとの間には意思の連絡が認められないので、Dには建造物損壊罪の共同正犯は成立しません。

オ:誤
殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから、暴行・傷害を共謀したA、BのうちBがCに対し殺人罪を犯した場合において、殺意のなかったAついては、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立すると解されます(最決昭54.4.13)。

3
正解:2

ア:誤
故意を認めるためには「必ずしも犯人が認識した事実と、現に発生した事実とが、具体的に一致(符合)することを要するものではなく」、両者の関係が「犯罪の類型(定型)として規定している範囲において一致(符合)する」ことで足りるとしています(最判昭和25月7月11日刑集4巻7号1261頁)。
この考え方によれば、「(共同正犯者が)人を殺す」という殺人罪の(共同正犯)として、Aの認識した事実と現に発生した事実とが符合していますので、Aには、Dに対する殺人罪の共同正犯の故意が認められ、同罪が成立します。
よって、誤った記述です。

イ:正
最判昭和37年11月8日刑集16巻11号1522頁は、毒殺の計画を打ち明けられるとともに、毒物の入手を依頼され、致死性の毒物を入手して実行者に渡したが、実際には実行者が毒物を使用しなかった場合に、殺人予備罪の共同正犯の成立を認めた原判決を正当と認めるとしています。
よって、正しい記述です。

ウ:正
判例は、「刑法65条1項により同法253条に該当する業務上横領罪の共同正犯として論ずべきものである。しかし、同法253条は横領罪の犯人が業務上物を占有する場合において、とくに重い刑を科することを規定したものであるから、業務上物の占有者たる身分のない被告人両名に対しては同法65条2項により同法252条1項の通常の横領罪の刑を科すべきものである」として、非占有者である者について業務上横領罪の共同正犯の成立を認めた上で、科刑は横領罪を限度とするとしています(最判昭和32年11月19日刑集11巻12号3073頁)。
よって、正しい記述です。

なお、この判決については、罪名と科刑の分離を認めることになるとの批判があります

エ:正
判例は、数名が共謀して被害者宅に侵入し、脅迫、建造物損壊、器物損壊および傷害の犯行に赴くことを知った被告人が、これらの者と意思連絡なくその犯行に参加し、同住宅内に石などを投げ込み、抜刀を振って住宅内に侵入し、脅迫を行った事案について、相互の意思連絡が「一部実行全部責任」の根拠であるとして、片面的共同正犯の成立を否定しています(大判大正11年2月25日刑集1巻79頁)。
意思の連絡がない以上、共同正犯は認められないのです。
よって、正しい記述です。

オ:誤
判例は、殺意のない者については「殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する」としています(最決昭和54年4月13日刑集33巻3号179頁)。また、判例は、結果的加重犯の成立に重い結果についての過失を要求しません(最判昭和26年3月27日刑集5巻4号686頁)。
設例では、AとBとが、Cに対して暴行・傷害を共謀し、共同してCに暴行を加え、そのうちにBが殺意をもってCを殺害するに至っています。Cの死亡という結果が発生していますが、Aには殺人の故意はありません。そのため、Aには、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯との重なり合いから、軽い傷害致死罪の共同正犯の成立が認められます。
よって、誤った記述です。

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