ア × 本肢は「淫行」の意義を青少年に対する性行為一般をいうものと解釈しているので誤っています。
つまり、淫行の意義を広義に解釈しているところが誤っています。
淫行とは広く青少年に対する性行為一般をいうものではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当であり、このように限定的に解釈するときは、解釈の範囲が不当に広すぎるとも不明確であるともいえないから、当該条例の各規定が憲法31条違反であるとはいえない」としました。(福岡県青少年保護育成条例事件、最判昭60・10・23)。
イ 〇 本肢をまとめると、とばっちりが第三者に及ぶかどうか、当該第三者に言い訳をする機会を与えましょう。ということです。
被告人の不可刑として第三者の所有物を没収することの合憲性が争われた事案について、判例は、第三者の所有物の没収は、被告人に対する付加刑として言い渡され、その刑事処分の効果が第三者にも及ぶものであるから、当該第三者にも、告知、弁解、防御の機会を与えることが必要であって、その機会なくして第三者の所有物を没収することは、適正な法律手続きによらないで、財産権を侵害する制裁を科することにほかならないため、憲法31条及び同29条に違反するとした。(証は37.11.28第三者所有物没収事件)
ウ × 判例は憲法37条2項の「公費で」とは、証人尋問に要する費用、すなわち証人の旅費、日当等は、すべて国家がこれを支給することであって、これは、被告人が、訴訟の当事者たる地位にある限度において、防御が十分できるようにする趣旨であるが、有罪の判決を受けた場合にも、なおかつ被告人に対し証人の費用、日当等を含めて訴訟費用を負担させてはならないという趣旨ではない。(昭和23.12.27)
要するに、国家は支払いを避けたいので負けたほうの被告に払わせてもいいですよ。という判決です。
エ 〇 判例は憲法37条1項の保障する迅速な裁判を受ける権利は、憲法の保障する基本的な人権の一つであり、同条項は、単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置をとるべきことを要請するにとどまらず、さらに個々の刑事事件について、現実にその保障に明らかに反し、審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判を受ける被告人の権利が害されたと認められる異常な事態が生じた場合には、これに対処すべき具体的規定がなくても、その審理を打ち切るという非常救済手段をとるべきことをも認めている趣旨の規定であるとした。(昭和47.12.20)
要するに審理が長くなりすぎたら免訴の言い渡しをするかもしれませんよ。ということです。
オ × 判例は、憲法31条は、直接には刑事手続きに関する規定であるが、行政手続きが刑事手続きでないとの理由のみでその全てが当然に憲法31条の保障の枠外にあると判断することはそうとうでないとした(平成4.7.1)