ア × 不動産質権には目的物の使用収益権がります。よって、質権者は、不動産の用法に従い生じた天然果実、法定果実を収取することができます。(民法356)
つまり、不動産質権者が不動産を賃貸することは使用収益に当たるのでその果実を収取して弁済に充てることができます。(不動産質権は占有担保)
イ 〇 質権は要物契約です。よって目的物を引き渡すことにより効力が生じます。
この引き渡しには指図による占有移転も含まれます。
ちなみに、占有改定は質権設定と即時取得の場面では引き渡しに当たりません。
ウ × 不動産質権者は、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う。(民法357)
不動産質権は占有担保だから必要費を支払うのは仕方のないことです。
しかし、これが実務で不動産質権が使われない大きな理由です。
銀行は金銭債権の担保として不動産質権者になったのに、必要費を払い続けていたら銀行の利益が減ってしまいますよね。
エ 〇 不動産質権の存続期間は、10年を超えることができず、設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、10年とされる。(民法360Ⅰ)
これも実務で不動産質権が使われない大きな理由です。
銀行にとって10年は短すぎる期間です。
10年より伸ばしたいなら改めて更新するしかありません。そして更新の時から10年を超えることができません。
銀行はいちいち更新するのが面倒なのです。
しかも、更新の費用も掛かりますしメリットはほとんどありません。
オ × 同一不動産について数個の不動産質権が設定されたときは、その不動産質権の順位は、登記の前後によります。(民法361・373)
比較の知識として不動産先取特権保存は後順位の者が優先します。(後に保存行為をした者が優先するということです。)