ア × 元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができます。(民法398の41前段)
そして、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾は必要ありません。
なぜなら、元本確定前の根抵当権は極度額の範囲内なら、当事者である設定者と根抵当権者の自由だからです。
イ 〇 根抵当権の極度額の減額は、利害関係を有する者の承諾を得なければすることができない。(民法398の5)
なぜなら、極度額を当てにしている者がいるからです(転抵当権者、根抵当権の被担保債権の差押権者、確定後の根抵当権から順位譲渡を受けた者 等)
つまり、根抵当権の極度額変更は常に付記登記でなされるため必ず利害関係人の承諾が必要となります。
ウ 〇 根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる(民法398の6Ⅰ)。
そして、根抵当権の確定日付の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾は必要ありません。
なぜなら、元本確定前の根抵当権は極度額の範囲内なら、当事者である設定者と根抵当権者の自由だからです。
エ 〇 根抵当権者は、元本の確定前においては、根抵当権の処分にあたる行為ができませんが、当該根抵当権を他の債権の担保とすることはできます(民法398条の11第1項)。
つまり、元本確定前でも後でも転抵当や、転根抵当を設定することができます。
併せて元本確定前後を問わずすることができるものも押さえておきましょう。
1.相続、合併による包括承継
2.転抵当、転根抵当
3.極度額の変更
4.順位変更
オ × 根抵当権の全部譲渡・一部譲渡・分割譲渡は、根抵当権設定者の承諾を得れば、元本の確定前に、することができます(民法398条の12、398条の13)。
必ず設定者の承諾が必要です。
これは設定者中心主義という考え方です。
よって、根抵当権者は、元本確定前において、根抵当権者の承諾を得ることなく、その根抵当権を譲り渡すことはできません。