問題
教授:今日は、保証人に対する情報提供義務について検討したいと思います。まず、保証人が個人である場合について考えていきましょう。主たる債務の履行状況について、債権者は、保証人に対し、どのような場合に、どのような情報を提供しなければなりませんか。
学生:ア 主債務者の委託を受けて保証をした保証人の請求があった場合には、債権者は、保証人に対し、主債務の元本及び利息などその債務に従たる全てのものについて、不履行の有無、これらの残額、そのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければなりません。
教授:それでは、期限の利益を有していた主債務者がその利益を喪失した場合に、債権者は保証人に対してどのような情報提供義務を負いますか。
学生:イ 債権者は、保証人に対し、期限の利益の喪失を知った時から2か月以内に、主債務者が期限の利益を喪失したことを通知しなければなりません。
教授:債権者がその情報提供を怠った場合には、どのような効果が生じますか。
学生:ウ 債権者は、主債務者及び保証人のいずれに対しても、主債務者が期限の利益を喪失した時から通知が現にされるまでの間の遅延損害金について、期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除き、請求することができません。
教授:では、事業のために負担する債務を主債務として委託に基づく保証がされる場合に、保証人になろうとする者に対して誰がどのような内容の情報を提供する義務を負っていますか。
学生:エ 情報提供義務を負うのは主債務者であり、例えば、主債務者の財産及び収支の状況に関する情報を提供しなければなりません。
教授:これまで、保証人が個人であることを前提として、3種類の情報提供義務について考えてもらいましたが、これらに関する規定のうち、保証人が法人であっても適用されるものはありますか。
学生:オ 保証人に対する情報提供義務は個人である保証人を保護するために設けられたものですから、情報提供義務に関する規定は、保証人が法人である場合には、いずれも適用されません。