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司法書士の過去問 令和2年度 午前の部 問16

問題

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次の対話は、保証人に対する情報提供義務に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、誤っているものの組合せは、どれか。

教授:今日は、保証人に対する情報提供義務について検討したいと思います。まず、保証人が個人である場合について考えていきましょう。主たる債務の履行状況について、債権者は、保証人に対し、どのような場合に、どのような情報を提供しなければなりませんか。
学生:ア  主債務者の委託を受けて保証をした保証人の請求があった場合には、債権者は、保証人に対し、主債務の元本及び利息などその債務に従たる全てのものについて、不履行の有無、これらの残額、そのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければなりません。
教授:それでは、期限の利益を有していた主債務者がその利益を喪失した場合に、債権者は保証人に対してどのような情報提供義務を負いますか。
学生:イ  債権者は、保証人に対し、期限の利益の喪失を知った時から2か月以内に、主債務者が期限の利益を喪失したことを通知しなければなりません。
教授:債権者がその情報提供を怠った場合には、どのような効果が生じますか。
学生:ウ  債権者は、主債務者及び保証人のいずれに対しても、主債務者が期限の利益を喪失した時から通知が現にされるまでの間の遅延損害金について、期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除き、請求することができません。
教授:では、事業のために負担する債務を主債務として委託に基づく保証がされる場合に、保証人になろうとする者に対して誰がどのような内容の情報を提供する義務を負っていますか。
学生:エ  情報提供義務を負うのは主債務者であり、例えば、主債務者の財産及び収支の状況に関する情報を提供しなければなりません。
教授:これまで、保証人が個人であることを前提として、3種類の情報提供義務について考えてもらいましたが、これらに関する規定のうち、保証人が法人であっても適用されるものはありますか。
学生:オ  保証人に対する情報提供義務は個人である保証人を保護するために設けられたものですから、情報提供義務に関する規定は、保証人が法人である場合には、いずれも適用されません。
   1 .
アイ
   2 .
アエ
   3 .
イウ
   4 .
ウオ
   5 .
エオ
( 令和2年度 司法書士試験 午前の部 問16 )
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この過去問の解説 (3件)

10

ア 〇 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければなりません(民法458条の2)。

なぜなら、委託を受けない保証人に債権者が現在の債務状況等の情報を提供しなければならないとすると個人情報の流出になりますし、保証人になってほしくないような人に自分の債務状況を提供するのは抵抗がありますよね。

しかし、委託を受けた保証人になら債権者が債務状況を提供することはごく普通のことです。

なぜなら、債務者自身がお願いして保証人になってもらったのですから。

ついでに保証人が個人でも法人でも情報提供義務があるということを併せて押さえておきましょう。

イ 〇 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2か月以内に、その旨を通知しなければなりません(民法458条の3第1項)。

なぜなら、保証人はまだ主債務者の弁済期はまだ1年以上あるから自分のところに請求が来るわけがないと、高を括っていたのに急に支払い請求されても困りますよね。

よって、債務者が破産したなど期限の利益を喪失したら、保証人に対して債権者が「主債務者が破産しましたよ。」と、請求前に通知しておけ!という規定です。

ちなみに、この規定は個人保証だけです。

なぜなら、保証人が法人の場合は保証債務の負担が増しても、生活は担当の深刻な事態に直面しないからです。

つまり、保証人になった個人の人生を守ろうする規定なのです。

ウ × 本肢は主債務者に対しても請求することができないとする点が誤っています。

なぜなら、主債務者自身は期限の利益を喪失(破産)したことを知らないわけはありません。

債務者自身で破産申請するのですから。

よって債権者は主債務者に対しては必ず請求できます。

そして、保証人に対して情報提供を怠った債権者はペナルティとして請求できません。

エ 〇 事業のために負担する債務を主債務として委託に基づく保証がされる場合、主たる債務者は、委託を受ける者に対し、➀財産および収支の状況、②主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額および履行状況、③主たる債務の担保として他に提供し、あるいは提供しようとするものがあるときは、その旨およびその内容、に関する情報提供を行わなければなりません(民法465条の10第1項)。

本肢は「事業のため」という部分がミソです。

なぜなら、事業のための債務は金額が大きいからです。

民法は保証人になったことで個人の人生が壊れないようにするように改正されました。

よって、保証人に対して、「こんなにも大きな金額の保証人になってしまうのですがよろしいでしょうか?」と確認を取ってくださいということなのです。

オ × 本肢を一言でまとめると、主債務者の履行状況に関する情報提供義務だけ、個人にも法人にもしてください。ということです。

ここで情報提供義務は大きく3種類あるのでまとめておきましょう。

1.期限の利益の喪失に関する情報提供義務

2.事業のために負担する債務を主債務とする場合の情報提供義務

3.主たる債務の履行状況に関する情報提供義務

上記の3だけが法人に対しても情報提供しなければならないと覚えておきましょう。

付箋メモを残すことが出来ます。
7
正解 4

ア 正しい
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければなりません(民法458条の2)。

イ 正しい
主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2か月以内に、その旨を通知しなければなりません(民法458条の3第1項)。

ウ 誤り
期限の利益を有する主たる債務者がその利益を喪失した場合において、保証人に対し、その旨の通知を期間内にしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができなくなります(民法458条の3第2項)。

エ 正しい
事業のために負担する債務を主たる債務とする保証の委託をする場合、主たる債務者は委託を受ける者に対し、財産及び収支の状況をはじめとした一定の事項に関する情報を提供しなければなりません(民法465条の10第1項)。

オ 誤り
主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務、事業のために負担する債務を主債務として委託に基づく保証がされる場合における情報の提供義務は、保証をする者が法人である場合には適用が除外されています(民法458条の3第3項、同465条の10第3項)。
これに対し、主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務は、保証をする者が法人である場合であっても適用されます。

6
正解は4です。

ア…正しいです。主債務者の委託を受けて保証した場合において、保証人からの請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本および主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他当該債務に従たる全てのものについての不履行の有無、ならびにこれらの残額、およびそのうち弁済期が到来しているものの額についての情報を提供しなければなりません(458条の2)。

イ…正しいです。期限の利益を受けていた主たる債務者がその利益を喪失した場合には、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知ったときから2か月以内に、その旨を通知しなければなりません(458条の3第1項)。

ウ…誤りです。債権者が保証人に対する期限の利益の情報提供を怠った場合、債権者は、保証人に対し、主債務者が期限の利益を喪失したときから通知が現にされるまでの間の遅延損害金について、期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除き、請求することが出来ません(458条の3第2項)。主たる債務者に対しての定めではないので、誤りです。

エ…正しいです。事業のために負担する債務を主債務として委託に基づく保証がされる場合、主たる債務者は、委託を受ける者に対し、➀財産および収支の状況、②主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額および履行状況、③主たる債務の担保として他に提供し、あるいは提供しようとするものがあるときは、その旨およびその内容、に関する情報提供を行わなければなりません(465条の10第1項)。

オ…誤りです。3種類の情報提供義務のうち、期限の利益の喪失に関する情報提供義務、事業のために負担する債務を主債務とする場合の情報提供義務は、保証人が法人である場合には適用されません(458条の3第3項、465条の10第3項)。しかし、主たる債務の履行状況に関する情報提供義務(458条の2)は、保証人が法人の場合でも適用されます。

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