正解:3
<解説>
ア:正しいです。
成年被後見人の法律行為は、原則として取り消すことができます。
ただし、日用品の購入、その他日常生活に関する行為については取り消すことができません。
(民法9条)
したがって、本肢は正しいです。
イ:誤りです。
成年被後見人が成年後見人として自己の親族を選任することを求めた場合でも、家庭裁判所は、その親族以外の者を成年後見人として選任することができます。
家庭裁判所は、職権で成年後見人を選任することができます(民法843条①)。
成年後見人を選任するにあたっては、成年被後見人の意見も考慮されますが、それと同時に、成年後見人となる者の職業や成年被後見人との利害関係の有無などといったその他の事情も考慮されなければなりません(民法843条④)。
成年後見人の欠格事由として、未成年者や家庭裁判所が解任した法定代理人、破産者などが挙げられますが(民法847条)、その他に、選任について親族間で意見の対立があるケースや、その親族が健康上の問題や多忙などのために適正な後見事務を行うことができないと判断されるケースなどでも、その親族以外の者を選任することができます。
したがって、本肢は誤りです。
ウ:正しいです。
成年後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができますが(民法844条)、成年被後見人を保護する観点から、成年後見人が自由にその任務を辞することはできません。
したがって、本肢は正しいです。
エ:正しいです。
成年後見人には、成年被後見人の財産を管理し、その財産に関する法律行為について成年被後見人を代表する代理権が認められています(民法859条①)。
したがって、本肢は正しいです。
オ:誤りです。
成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除いて、相続人が相続財産を管理することができるようになるまで、次に掲げる行為をすることができます。
ただし、第3号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可が必要です(民法873条の2)。
第1号 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
第2号 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
第3号 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前2号に掲げる行為を除く。)
したがって、弁済期が到来しているものであっても、弁済をすることはできないとする本肢は誤りです。
以上により、誤っているものは肢イ・オであり、正解は3となります。