正解:1
<解説>
ア:誤りです。
被告が主張責任を負わない自己に不利益な主要事実を進んで陳述した場合であって、原告がこれを援用しなくても、裁判所は、判断するにつき、この事実をしんしゃくすべきであるとしています(最判昭41・9・8民集20・7・1314、民訴百選Ⅰ補正108)。
このことから、裁判所は、当該事実を判決の基礎とすることもできます。
したがって、本肢は誤りです。
イ:誤りです。
民法418条による過失相殺は債務者の主張がなくても裁判所が職権ですることができますが、債権者に過失があった事実は債務者が立証責任を負うとしています(最判昭43・12・24民集22・13・3454、民訴百選4版A18)。
当事者が過失相殺をすべきであるとの主張をしたときに限られません。
したがって、本肢は誤りです。
ウ:正しいです。
自白の撤回は原則認められませんが、例外的にこれが認められるためには、以下のいずれかの事実が認められることが必要であるとされています。
① 自白した事実が真実に合致せず、かつ、自白が錯誤によることを自白者が証明したとき(大判大1 1・2・20民集1・52 )。
② 刑事上罰すべき他人の行為により自白されたとき(民事訴訟法338条①⑸、最判昭33・3・7民集12・ 3・469) 。
③ 相手方の同意があるとき(大判昭13・3・3)。
本肢の場合、原告の同意があるので、被告はその自白を撤回することができます。
したがって、本肢は正しいです。
エ:正しいです。
損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができるとしています(民事訴訟法248条)。
したがって、本肢は正しいです。
オ:正しいです。
裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができるとしています(民事訴訟法186条)。
したがって、本肢は正しいです。
以上により、誤っているものは肢ア・イであり、正解は1となります。