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司法書士の過去問 令和2年度 午後の部 問48

問題

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ある登記の前提として申請すべき登記の要否に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、どれか。

ア  乙区1番賃借権の登記名義人であるA株式会社から賃借物の転貸を受けたBを登記名義人とする転貸の登記が乙区1番付記1号でされた後、A株式会社がC株式会社に吸収合併された場合において、当該吸収合併の後に生じた原因に基づき、乙区1番付記1号転借権の登記の抹消を申請するときは、その前提として、合併を原因とする乙区1番賃借権の移転の登記の申請をしなければならない。
イ  乙区1番賃借権の登記名義人であるA株式会社から賃借物の転貸を受けたBを登記名義人とする転貸の登記が乙区1番付記1号でされた後、Bの住所移転により登記記録上の住所とBの現在の住所が異なることとなった場合において、乙区1番付記1号転借権の登記の抹消を申請するときは、その前提として、Bの住所の変更の登記の申請をしなければならない。
ウ  甲土地に抵当権の設定の登記がされた後、登記された利息について利率の引下げがあり、その後に同一の債権のために乙建物に抵当権の追加設定の登記を行う場合には、その前提として、甲土地に設定された抵当権について利息に関する定めの変更の登記の申請をしなければならない。
エ  所有権の登記名義人であるAが死亡した場合において、生前の住所移転によりAの登記記録上の住所と最後の住所とが異なっているときは、遺贈を原因とする所有権の移転の登記を申請する前提として、遺贈者であるAの住所の変更の登記の申請をしなければならない。
オ  根抵当権の元本の確定前に債務者を吸収分割会社とする吸収分割があった場合には、分割計画書に当該根抵当権で担保すべき債権の範囲について会社分割後に吸収分割承継会社が負担する債務のみとする旨の定めがあるときであっても、当該定めに従った当該根抵当権の変更の登記の前提として、会社分割を原因とする債務者を吸収分割会社及び吸収分割承継会社とする根抵当権の変更の登記の申請をしなければならない。
   1 .
アイ
   2 .
アオ
   3 .
イウ
   4 .
ウエ
   5 .
エオ
( 令和2年度 司法書士試験 午後の部 問48 )
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この過去問の解説 (3件)

6

正解 3

ア 正しい
登記名義人(登記権利者)が合併した後に生じた原因に基づき、転借権の登記の抹消を申請する場合、その前提として、合併後の法人に賃借権が移転していることになります。
したがって、本肢の場合、合併を原因とする乙区1番賃借権の移転の登記の申請をしなければなりません。

イ 誤り
所有権以外の権利の登記の抹消を申請する際に、当該登記名義人(登記義務者)の住所等が異なる場合、住所変更を証する情報を提供することにより、住所等の変更登記を省略することができます。

ウ 誤り
先例(昭和41年12月1日民甲3322号)は、「抵当権設定登記後、その被担保債権の利率が引き下げられ、その引き下げ後の利率をもって追加担保の抵当権設定の登記を申請するにあたっては、前に登記された抵当権についての利率引き下げによる変更登記は、その前提条件として必ずしも必要ではない。」としています。

エ 正しい
遺贈による移転登記の場合、登記名義人の住所等の変更登記を省略することはできません(昭和43年5月7日民甲1260号)。

オ 正しい
根抵当権者の元本確定前において、債務者に会社分割があった場合、分割計画書に当該根抵当権の被担保債権の範囲についていかなる定めがあるときであっても、いったん吸収分割承継会社を登記権利者、吸収分割会社を登記義務者とする根抵当権の一部移転の登記を申請しなければなりません(平成13年3月30日民二867号)。

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5

正解:3

<解説>

ア:正しいです。

本肢の場合は、当該吸収合併の後に生じた原因に基づいて賃借権の登記の抹消を申請するのであるから、その前提として、合併を原因とする乙区1番賃借権の移転の登記の申請をしなければなりません。

したがって、本肢は正しいです。

イ:誤りです。

原則として、登記義務者や登記名義人の氏名や住所が登記記録と合致しないときは登記申請が却下されます(不動産登記法25条⑺)。

しかし、所有権以外の権利の抹消登記を申請する場合には、登記名義人の表示に不一致が生じていても、その変更証明情報を提供すれば、その登記名義人表示変更の登記を省略することができます(昭28・12・17民甲2407号)。

本肢の場合、転借権、すなわち所有権以外の権利の抹消登記であるので、その変更証明情報を提供すれば、住所変更登記の申請を省略することができます。

したがって、本肢は誤りです。

ウ:誤りです。

既存抵当権の利息と追加抵当権の利息は別々に設定でき、既存抵当権の利息を変更する登記をすることなく、追加抵当権の登記をすることができます。

したがって、本肢は誤りです。

エ:正しいです。

遺贈者の登記記録上の住所と最後の住所とが異なっているときは、遺贈を原因とする所有権移転の登記を申請する前提として、遺贈者の住所の変更登記の申請をしなければなりません。

したがって、本肢は正しいです。

オ:正しいです。

元本の確定前にその債務者を分割会社とする会社分割があったときは、根抵当権は、分割の時に存する債務のほか、分割会社及び新設会社又は承継会社が分割後に負担する債務を担保するとしています(民法398条の10②)。

これに従えば、本肢の場合は債務者の増加に伴い根抵当権の債務者変更登記をしなければなりません。

しかし、本肢の場合は、分割計画書に当該根抵当権で担保すべき債権の範囲について会社分割後に吸収分割承継会社が負担する債務のみとする旨の定めがあります。

元本の確定前には、根抵当権の債務者を変更することができるとされているため、この分割計画書の定めは有効です(民法398条の4①)。

その場合には、分割計画書の定めに従った根抵当権の変更を前提として、会社分割を原因とする債務者増加に伴う根抵当権の債務者変更登記の申請をしなければなりません(平13・3・30民二867号)。

したがって、本肢は正しいです。

以上により、誤っているものは肢イ・ウであり、正解は3となります。

5

正解は3です。


ア…正しいです。賃借権等の権利の抹消登記を申請する場合、登記名義人が合併した後に抹消の原因が生じている場合は、合併後の法人へ実体上の権利移転があったことになるので、前提として権利移転登記が必要です。これに対し、合併の前に抹消の原因が生じている場合は、前提としての移転登記をすることなく、抹消登記を申請できます。


イ…誤りです。所有権以外の権利の抹消登記を申請する場合、当該権利の登記名義人の表示が変更しているときは、その変更証明情報を提供すれば、その表示変更の登記を省略して、直ちに抹消登記を申請できます(昭31・10・17民甲2370号通達)。ただしこの「所有権以外の権利」には、抵当権は含まれません(登記研究355号)。


ウ…誤りです。抵当権設定登記の利率の引き下げがあった場合、引き下げに関する利率の変更登記をしなくても、引き下げ後の利率を記載して追加抵当権設定の変更登記をすることができます(昭41・12・1民甲3322号民事局長回答)。


エ…正しいです。ある不動産の登記名義人が、住所変更の登記申請義務を怠ったまま死亡した場合、基本的には、遺言執行人、相続人、受遺者のいずれかが住所変更登記をする必要があります。例外的に、包括承継の関係にある登記を同時に申請する場合、すなわち、➀相続の登記をしようとする場合(登記研究133号)、②会社の合併の登記をしようとする場合(登記研究411号)、には事前の住所変更登記が不要となり、それぞれの登記に住所の変更を証する情報の添付で足ります。したがって、遺贈(特定遺贈)、会社分割などの場合には原則通り事前の住所変更登記が必要となります。


オ…正しいです。根抵当権の元本の確定前に、会社分割による根抵当権の移転の登記をする場合、分割計画書または分割契約書に担保債権の範囲などがどのように定められているかにかかわらず、吸収分割会社を登記義務者、吸収分割承継会社を登記権利者とする根抵当権一部移転の登記を申請するべきとされています(平13・3・30民二867号通達)。

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