問題
ア Aが所有権の登記名義人である甲土地について、平成22年4月2日受付第1234号においてBを登記名義人とする抵当権の設定の登記がされた後、Aが死亡した場合において、抵当権の実行による競売の申立てが受理され、亡Aの債権者Bが代位によりAの法定相続人であるC及びDを登記名義人とする相続による所有権の移転の登記を申請するときは、「代位原因を証する情報は、平成22年4月2日受付第1234号をもって本物件に抵当権設定登記済みであることにより添付省略する」旨を申請情報の内容とすることにより、代位原因を証する情報の提供を省略することができる。
イ Aが所有権の登記名義人である甲土地について、Bが贈与契約により所有権を取得したものの、その登記が未了の間にAが死亡した場合において、Bが、亡Aの法定相続人であるC及びDに対して、被相続人A相続人C及びDを債務者とし、当該贈与契約に基づく所有権の移転の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分命令を得たときは、Bは、当該処分禁止の仮処分の登記の前提として、C及びDに代位して相続を登記原因とする所有権の移転の登記を申請しなければならない。
ウ Aが所有権の登記名義人である甲土地について、AからB、BからCへの所有権の移転の登記がされた後、Aが、B及びCを相手方として所有権の確認並びにB及びCに対する所有権の移転の登記の抹消を求める訴えを提起し、これらの請求を認容する判決が確定したときは、Aは、Bに代位してBからCへの所有権の移転の登記の抹消を申請し、次いでAからBへの所有権の移転の登記の抹消を申請することができる。
エ 亡Aが所有権の登記名義人である甲土地について、亡Aの債権者Bが代位によりAの法定相続人であるC及びDを登記名義人とする相続による所有権の移転の登記を申請し、その登記がされた後に、C及びDの各持分につきEを債権者とする仮差押えの登記がされた場合において、Aが生前に甲土地をFに売却していたため、C及びDが錯誤を登記原因とする当該所有権の移転の登記の抹消を申請するときは、登記上の利害関係を有する第三者の承諾を証する情報として、Eの承諾を証する情報を提供すれば足りる。
オ Aが所有権の登記名義人である甲土地について、Bに売却してその所有権をBが取得したにもかかわらず、Bがその所有権の移転の登記を申請しない場合において、Aが、Bに対して有する不法行為に基づく損害賠償債権を保全するために甲土地を目的物とする仮差押命令を得たときは、Aは、当該仮差押命令の決定書の正本を提供することにより、Bに代位して、単独で当該所有権の移転の登記の申請をすることができる。