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司法書士の過去問 令和3年度 午前の部 問9

問題

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占有訴権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せはどれか。

ア  Aが占有する動産甲をBが盗み、その事情を知っているCがこれをBから買い受けた場合には、Aは、Cに対し、占有回収の訴えにより、動産甲の返還を請求することができる。
イ  Aがその占有する動産甲を公園で紛失し、Bがこれを拾得した場合には、Aは、Bに対し、占有回収の訴えにより、動産甲の返還を請求することができる。
ウ  Aがその所有する動産甲をBに賃貸したが、Bが賃貸借契約終了後も動産甲を返還しなかったため、AがBに無断で動産甲の占有を取り戻した場合には、Bは、Aに対し、占有回収の訴えにより、動産甲の返還を請求することができる。
エ  Aが占有する動産甲をBが盗んだが、Aが適法に動産甲の占有を取り戻した場合には、Aは、Bに対し、占有回収の訴えにより、占有侵害により生じた損害の賠償を請求することができない。
オ  法人Aの代表者BがAの業務として所持する動産甲をCが盗んだ場合には、Bが自己のためにも動産甲を所持していると認めるべき事情があるときであっても、Bは、個人としては、Cに対し、占有回収の訴えにより、動産甲の返還を請求することができない。
   1 .
アウ
   2 .
アエ
   3 .
イエ
   4 .
イオ
   5 .
ウオ
( 令和3年度 司法書士試験 午前の部 問9 )
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この過去問の解説 (3件)

13

ア 〇 占有回収の訴えと問題に記載されていたらすぐに「侵奪」や「奪われた」というキーワードが連想できるかどうかポイントです。

占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還を請求することができます(民法200条1項)。

ただし、占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対しては、その承継人が侵奪の事実を知っていたときに限り、提起することが可能です(同条2項)。

つまり、原則として占有を奪われたら占有回収の訴えにより返還請求できるが、例外として善意の特定承継人に対してはできません。

よって、Aは悪意の特定承継人であるCに対し占有回収の訴えを提起できます。

イ × 本肢は占有回収の訴えでの「奪われた」を具体的に知ってますか?と試験委員から問われてます。

「奪われた」とは窃盗や強盗など意思に反して占有を奪われた場合をいいます。

本肢のAは動産甲を紛失しています。そしてBは遺失物を拾得したにすぎません。

よって、侵奪がありませんからAはBに対し占有回収の訴えを提起できません。

ウ 〇 賃貸借の終了後、賃借人が目的物の占有を継続している場合において、賃貸人が、賃借人から目的物を実力で奪い返したときは、占有の侵奪となり、賃借人からの占有回収の訴えを提起できる(大判大8.4.8)。

少々かわいそうな判決ではあるが、占有を奪い返したAが目的物たる動産の正当な所有者である場合でも(盗まれた自転車を偶然発見した場合のA)、占有した者B(盗人)の意思に反して占有が奪われていれば、Bは占有回収の訴えを提起できます。

エ × 占有者がその占有を奪われたときは占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求できる(民法200Ⅰ)。

つまり、返還請求と損害賠償どちらも請求できるしどちらか一方しか請求しないこともできるということです。

原告に選択権を与えた規定です。

オ × 原則として、法人の代表者が法人の業務として行う物の所有は、法人そのものの直接占有なので代表者個人は当該物の占有者として訴えられることもないし、占有回収の訴えを提起することもできない。

しかし、例外的に代表者が法人の機関として物を所有するにとどまらず、代表者個人のためにもこれを所持するものと認めるべき特別の事情がある場合には、代表者は、その物について個人として占有の訴えを提起することができます。

よって、Bが自己のためにも動産甲を所持していると認めるべき事情があるので占有回収の訴えを提起することができます。

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正解は1です。

ア…正しいです。AはBに動産甲を自らの意思に反して奪われていますので、占有回収の訴えを提起することができます(200条1項)。占有を侵奪したBから、売買により動産甲を取得したCは、動産甲の特定承継人ですが、Cは占有の侵奪があったことを知っているので、AはCに対して動産甲の返還を請求することができます(200条2項)。

イ…誤りです。AはBに動産甲を譲り渡す意思はありませんが、Bは動産甲を拾得しただけであり、Aの占有を侵奪したとはみなされないので、AはBに対し、占有回収の訴えを提起することはできません(200条1項)。

ウ…正しいです。Bは自らの意思に反して動産甲の占有を奪われており、元の占有者Aに対し占有回収の訴えを提起することができます。占有を奪い返したAが目的物たる動産の正当な所有者である場合でも、占有した者Bの意思に反して占有が奪われていれば、占有回収の訴えを提起できますので、BはAに対して動産甲の返還を請求できます(大判大4・9・20、大判大13・5・22)。

エ…誤りです。200条1項において、占有回収の訴えにより請求できる「損害の賠償」とは、不法行為に基づく損害賠償の請求(709条)を意味します。したがって占有を侵害したBに故意または過失が認められれば、元の占有者Aが適法に動産甲を取り戻していても、AはBに対して損害賠償請求ができます。

オ…誤りです。原則として、法人Aが動産甲を所持する場合は、法人の代表者B個人が甲を占有しているとは解されません。しかし、Bが法人の機関として動産甲を所持するにとどまらず、B個人のためにも甲を所持するものと認めるべき特別の事情がある場合には、甲について個人として占有の訴えを提起することができるものと解するのが相当であるとされています(最判平10・3・10)。

7

正解1

ア 正しい

占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還を請求することができます(民法200条1項)。

ただし、占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対しては、その承継人が侵奪の事実を知っていたときに限り、提起することが可能です(同条2項)。

本肢の場合、Cは動産甲をCから買い受けているため特定承継人にあたりますが、その事情を知っているため、Aは、Cに対し、占有回収の訴えにより、動産甲の返還を請求することができます。

イ 誤り

占有回収の訴えは、占有者がその占有を奪われたときに限り提起することができます(民法200条1項)。

ウ 正しい

占有権は平穏な占有秩序を保護するための権利であるため、賃貸借契約終了後に動産を返還しなかった者が占有を奪われた場合であっても、平穏な占有秩序を侵害されたといえ、占有回収の訴えにより、動産の返還を請求することができます(大判大13年5月22日)。

エ 誤り

占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができます(民法200条1項)。

ここでいう「損害の賠償」とは、不法行為に基づく損害の賠償(同709条)を意味すると解されているため、侵害者に故意又は過失が認められれば、たとえ元の占有者が適法に動産を取り戻した場合であっても、侵害者に対して損害の賠償を請求することができます。

オ 誤り

判例(最判平10年3月10日)は、本肢と同様の事案において、「宗教法人の代表者(住職)として寺院建物の所持を開始した後に、同法人を包括する宗教団体から僧籍はく奪の処分である擯斥処分を受け、同法人から右建物の明渡しを求める訴訟を提起されたが、右処分の効力を争うとともにこれに応訴し、右建物の管理を続けていたなどの事実関係の下においては、代表者が個人のためにも右建物を所持していたものと認めるべき特別の事情があるということができ、代表者は、右建物の所持を奪ってこれを占有している同法人に対して占有回収の訴えによりその返還を求めることができる。」としています。

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