問題
教授:第三者による弁済について検討してみましょう。弁済をするについて正当な利益を有する第三者は、債権者の意思に反しても、弁済をすることはできますか。問題となっている債務が、その性質上第三者による弁済を許すものであり、当事者が第三者による弁済を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしていないことを前提に考えてください。
学生:ア 弁済をするについて正当な利益を有する第三者は、債権者の意思に反しても、弁済をすることができます。
教授:では、弁済の方法について考えてみましょう。債権者の預金又は貯金の口座に対する払込みによって弁済をすることが許されている場合に、その方法によって弁済の効力が生ずるのは、どの時点ですか。
学生:イ 債権者が払込みがあった口座から金銭の払戻しを現実に受けた時点です。
教授:次に、代物弁済について考えてみましょう。代物弁済の契約が締結された場合には、代物弁済の契約で定められた給付が現実になくても、弁済と同一の効力は生じますか。
学生:ウ 代物弁済の契約が締結されれば、代物弁済の契約で定められた給付が現実になくても、弁済と同一の効力は生じます。
教授:弁済の時間について考えてみましょう。弁済をし、又は弁済の請求をすることができる取引時間の定めがあると認められるのは、どのような場合ですか。
学生:エ 債権者と債務者の合意によって取引時間を定めた場合に限り、弁済をし、又は弁済の請求をすることができる取引時間の定めがあると認められます。合意がないのに、このような取引時間の定めがあると認められることはありません。
教授:最後に、弁済の充当について検討しましょう。債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合に、弁済として提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないときは、弁済をする者は、その充当すべき債務を指定することができますか。いずれの債務も元本のみしか存在しないことと、弁済をする者と受領する者の間にその充当の順序に関する合意がないことを前提に考えてください。
学生:オ 弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができます。