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司法書士の過去問 令和3年度 午前の部 問17

問題

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相殺に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せはどれか。

ア  時効によって債権が消滅した場合において、その消滅時効期間が経過する以前にその債権の債務者が債権者に対する反対債権を有していたときは、その消滅時効期間が経過する以前に反対債権の弁済期が現実に到来していたかどうかにかかわらず、時効によって消滅した債権の債権者は、その債権を自働債権とし、その反対債権を受働債権として、相殺をすることができる。
イ  債務不履行に基づく損害賠償請求権を受働債権とする相殺は、その損害賠償請求権が人の生命又は身体の侵害によるものであっても、することができる。
ウ  債権が第三者に差し押さえられた場合において、被差押債権の債務者がその差押え前に被差押債権の債権者に対する反対債権を取得しており、その差押え後にその反対債権と被差押債権が相殺に適するようになったときは、その反対債権と被差押債権の弁済期の先後にかかわらず、被差押債権の債務者は、その反対債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。
エ  相殺は、双方の債務の履行地が異なるときであっても、することができる。
オ  債権につき、弁済期が到来していれば、その債権の債務者が同時履行の抗弁権を有していても、その債権の債権者は、その債権を自働債権として、相殺をすることができる。
   1 .
アイ
   2 .
アエ
   3 .
イオ
   4 .
ウエ
   5 .
ウオ
( 令和3年度 司法書士試験 午前の部 問17 )
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この過去問の解説 (3件)

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ア × 本肢を一言でまとめると、弁済期が現実に到来していないと相殺適状とは言えませんよ。ということです。

時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる(民法508)。

すでに弁済期がある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというためには、受働債権につき弁済期が現実に到来していることを要する(最判平25.2.28)。

よって本肢は、反対債権の弁済期が現実に到来していたかどうかにかかわらず、相殺をすることができるとする点が誤っています。

イ × 本肢のキーワードは「人の生命又は身体」です。

人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務の債務者(加害者)は、相殺をもって債権者(被害者)に対抗することができない(民法509②)

併せて509①も押さえておきましょう。

悪意(知っている。ではなく悪い意思)による不法行為に基づく損害賠償の債務の債務者も相殺できません。

よって、損害賠償請求権を受働債権とする相殺は、その損害賠償請求権が人の生命又は身体の侵害によるものであっても、することができるとする点が誤っています。

ウ 〇 本肢は相殺への期待を理解していたら難なく解けます。

差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押え債権者に対抗することはできないが、

差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる(民法511Ⅰ)。

そして、相殺適状に達しさえすれば、差押え後においても、これを自働債権として相殺することができます(最大判昭和45.6.24)。

よって、差押え前に取得した債権は、相殺適状に達しさえすれば、差押え後においてもこれを自働債権として相殺することができます。

エ 〇 民法507条そのまんまを問われています。改めて条文の大切さを痛感します。

相殺は、双方の債務の履行地が異なるときであっても、することができます。

この場合において、相殺をする当事者は、相手方に対し、これによって生じた損害を賠償しなければなりません。

オ × 自働債権に同時履行の抗弁権が付着している場合に相殺を認めると、債務者の抗弁を喪失させて、債務の履行を強制したのと等しい結果となるため、このような債権を自働債権とする相殺は認められない(大判昭和13.3.1)

よって、債務者が同時履行の抗弁権を有していても、その債権の債権者は、その債権を自働債権として、相殺をすることができるとする点が誤っています。

付箋メモを残すことが出来ます。
4

正解は4です。

ア…誤りです。時効によって自働債権が消滅した場合であっても、消滅時効が経過する以前に、反対債権(=受動債権)が存在し相殺に適するようになっていた場合であれば、相殺できます(508条)。この場合、「相殺に適するようになっていた」というためには、受動債権につき期限の利益を放棄できる状態にあったというだけではなく、実際の期限の利益の放棄または喪失により、その弁済期が到来していたことが必要とされています(最判平25・2・28)。

イ…誤りです。人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務を負う債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができません(509条2号)。悪意による不法行為から生じた損害賠償の債務についても、同様です(509条1号)。

ウ…正しいです。債権が第三者に差し押さえられた場合、被差押債権に対する反対債権が、差押「後」に相殺に適するようになったのであれば、当該反対債権が差押後に発生した債権または差押後に債務者が他から取得した債権でない限り、被差押債権と反対債権の弁済期の先後を問わず、債務者は差押債権者に相殺をもって対抗できます(511条2項、最判昭45・6・24)。

エ…正しいです。相殺は、双方の債務の履行地が異なるときであっても、することができます(507条)。この場合、相殺をする当事者は、相手方に対し、これによって生じた損害を賠償しなければなりません。

オ…誤りです。自働債権の債務者が同時履行の抗弁権を有している場合、債務者による抗弁が主張されていない場合であっても、相殺により抗弁の機会を奪うことになるため、同時履行の抗弁権付自働債権による相殺は認められていません(大判昭13・3・1)。

3

正解 4

ア 誤り

時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができます(民法508条)。

そのうえで、判例(最判平25年2月28日)は、「民法505条1項は、相殺適状につき、『双方の債務が弁済期にあるとき』と規定しているのであるから、その文理に照らせば、自働債権のみならず受働債権についても、弁済期が現実に到来していることが相殺の要件とされていると解される。また、受働債権の債務者がいつでも期限の利益を放棄することができることを理由に両債権が相殺適状にあると解することは、上記債務者が既に享受した期限の利益を自ら遡及的に消滅させることとなって、相当でない。したがって、既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというためには、受働債権につき、期限の利益を放棄することができるというだけではなく、期限の利益の放棄又は喪失等により、その弁済期が現実に到来していることを要するというべきである。そして、当事者の相殺に対する期待を保護するという民法508条の趣旨に照らせば、同条が適用されるためには、消滅時効が援用された自働債権はその消滅時効期間が経過する以前に受働債権と相殺適状にあったことを要すると解される。」としています。

イ 誤り

人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務を負っている債務者は、相殺をもって債権者に対抗することはできません(民法509条2号)。

ウ 正しい

差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできませんが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することはできます(民法511条1項)。

また、判例(最判昭45年6月24日)は、「第三債務者は、その債権が差押え後に取得されたものでないかぎり、自働債権および受働債権の弁済期の前後を問わず、相殺適状に達しさえすれば、差押え後においても、これを自働債権として相殺をなしうる。」としています。

エ 正しい

相殺は、双方の債務の履行地が異なるときであっても、することができます(民法507条)。

オ 誤り

自働債権に同時履行の抗弁権が付着している場合において、相殺を許してしまうと、自働債権の債務者が有する抗弁権を一方的に奪うことになるため、相殺は許されません。

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