ア × 本肢は「推定される」or「みなされる」の区別問題です。
売買の目的物の引き渡しについて期限があるときは、代金の支払いについても同一の期限を付したものと推定される(民法573)。
なぜなら、売り主と買主にとって均衡となるからです。
つまり、双務契約である売買は通常同時履行の抗弁権を有するから、売買の目的物引渡債務についてのみ期限の定めがある場合にも、買主の代金支払い債務について同一の期限の定めがあるものと推定するのです。
イ 〇 本肢のキーワードは「明確」です。
原則として、売主から買主への目的物不適合を原因とした代金の減額請求には、履行の追完の催告が必要です。
しかし、例外的に売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示した場合、買主は履行の追完の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができます(民法563Ⅱ②)。
併せて同条Ⅱを全て熟読しておきましょう。
なお、目的物の契約不適合が買主の責めに帰するべき事由によるものであるときは、買主は、代金の減額の請求をすることはできません。
ウ × まだ引渡しされていない売買の目的物が果実を生じたときは、その果実は、売主に帰属します。
そして、売主が売買の目的物の引き渡しを遅滞しているときであっても、目的物から生じる果実は、売主に帰属します。
なぜなら、両当事者の法律関係を簡潔にし、公平を図ろうとしたものだからです。
よって本肢は、買主に帰属するという点が誤っています。
エ × 原則として、売主は無過失責任を負っています。
引き渡された目的物が種類、品質または数量に関し契約の内容に適合しない場合の解除については、債務不履行の一般規定に委ねられており、売主の帰責事由は問われません。
よって本肢は、売り主の責めに帰すべき事由がないときは、買主はその不適合を理由として、当該売買契約の解除をすることができないとする点が誤っています。
オ 〇 本肢を一言でまとめると、買主は目的物について瑕疵を知った場合は早く売り主に知らせないと何にも請求できなくなりますよ。ということです。
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、
買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、
売り主が引渡しのときにその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときを除き、
買主はその不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができません(民法566)。