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司法書士の過去問 令和3年度 午前の部 問25

問題

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強盗罪に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せはどれか。

ア  Aは、Bに対して暴行・脅迫を加えて手提げバッグを強取しようと考え、まずは、Bの足下に置かれていた当該手提げバッグを手に取り、次いで、Bに対し、その反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加え、Bの反抗を抑圧して当該手提げバッグの奪取を確保した。この場合、Aには、強盗罪ではなく、事後強盗罪が成立する。
イ  Aは、Bから麻薬購入資金として現金を預かっていたが、その返還を免れようと考え、Bに対し、その反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加え、Bの反抗を抑圧し、その返還を免れた。この場合、Bは当該現金に関する法律上の請求権を有しなかったのであるから、Aには、強盗利得罪は成立しない。
ウ  Aは、Bから金銭を借りていたが、その支払を免れようと考え、Bに対し、その反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加え、Bの反抗を抑圧し、事実上債務の弁済請求ができない状態に陥らせた。この場合、Aには、強盗利得罪は成立しない。
エ  窃盗の未遂犯であるAは、当該犯行を目撃してAを取り押さえようとしたBに対し、逮捕を免れる目的で、その反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加え、Bの反抗を抑圧し、逮捕を免れた。この場合、Aには、事後強盗既遂罪ではなく、事後強盗未遂罪が成立する。
オ  Aは、怨恨からBを殺害したが、その直後に財物奪取の意思を生じて、Bの所持品を奪った。この場合、Aには、強盗殺人罪は成立しない。
   1 .
アイ
   2 .
アウ
   3 .
イオ
   4 .
ウエ
   5 .
エオ
( 令和3年度 司法書士試験 午前の部 問25 )
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この過去問の解説 (3件)

10

正解は5です。強盗罪(刑法236条)は、暴行または強迫の手段を用いて他人の財物を強取するもの(同条1項)、または暴行・強迫の手段により不法に財産上の利益を得、または他人に利益を得させるもの(同条2項、不法利得罪・強盗利得罪とも)をいいます。事後強盗罪(刑法238条)は、窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときに成立します。事後強盗罪は昏酔強盗罪などとともに準強盗罪とも呼ばれます。

ア…誤りです。暴行・強迫を用いて財物を奪取する犯意のもとにまず財物を奪取し、次いで被害者に暴行を加えてその奪取を確保した場合は強盗罪(236条1項)になるとされた判例があります(最判昭24・2・15)。暴行・強迫の目的が事後強盗罪(238条)にいう「財物を取り返されることを防ぐ」ものにあたらないためです。

イ…誤りです。被害者から麻薬購入資金を預かって、その返還を免れる目的で被害者を殺害した場合、不法原因に基づく給付のため被害者に金員の返還請求権はありませんが、殺害犯人に不法利得罪(236条2項)・強盗殺人罪(240条後段)が成立するとされた判例があります(最判昭35・8・30)。

ウ…誤りです。債務の支払を免れる目的をもって債権者に対しその反抗を抑圧すべき暴行・強迫を加え、その結果、債権者をして支払を請求しない旨を表示せしめたり、事実上支払の請求を行えない状態にしたりなどして、支払を免れた場合、不法利得罪(236条2項)にあたるとされた判例があります(最判昭32・9・13)。

エ…正しいです。事後強盗が既遂か未遂かは、強盗の未遂(243条)と同じく、犯人が財物を得たか否かを基準にして判断されるとした判例があります(最判昭24・7・9)。したがって、強盗未遂行為の後に、逮捕を免れ又は罪跡を隠滅するために暴行・強迫を加えたとしても、犯人が財物を得ていない限りは、事後強盗未遂罪になります。

オ…正しいです。野外で人を殺害した後、領得の意思を生じ、犯行直後に被害者が身につけていた腕時計を奪った場合、窃盗罪(235条)にあたるとされた判例があります(最判昭41・4・8)。本問でも「暴行・強迫を行った目的」と「不法領得の行為」の間には因果関係がなく、強盗罪は成立しません。

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4

正解 5

ア 誤り

判例(最判昭24年2月15日)は、本肢と類似の事案において、「暴行脅迫を用いて財物を奪取する犯意の下にまず財物を奪取し、次いで被害者に暴行を加えてその奪取を確保した場合は強盗罪を構成するのであって、窃盗がその財物の取還を拒んで暴行をする場合の準強盗ではない。」としています。

イ 誤り

判例(最判昭35年8月30日)は、本肢と類似の事案において、「金員が麻薬購入資金として被害者C及びD両名から被告人に保管を託され、右金員の授受は不法原因に基づく給付であるがためCらがその返還を請求することができないとしても、被告人らが当該金員を領得するためCらを殺害し、同人らから事実上その返還請求を受けることのない結果を生ぜしめて返還を免れた以上は、刑法240条後段、236条2項の不法利得罪を構成するものと解すべきである。」としています。

ウ 誤り

判例(最判昭32年9月13日)は、本肢と類似の事案において、「犯人が債務の支払を免れる目的をもって債権者に対しその反抗を抑圧すべき暴行、脅迫を加え、債権者をして支払の請求をしない旨を表示せしめて支払を免れた場合であると、右の手段により債権者をして事実上支払の請求をすることができない状態に陥らしめて支払を免れた場合であるとを問わず、ひとしく236条2項の不法利得罪を構成するものと解すべきである。」としています。

エ 正しい

判例(最判昭24年7月9日)は、本肢と類似の事案において、「窃盗未遂犯人による準強盗行為の場合は、準強盗の未遂をもって問擬すべきものであることは当然である。」としています。

その理由として、判例は、「窃盗未遂犯人による準強盗は、財物を得なかった点において、あたかも強盗の未遂と同一の犯罪態様を有するに過ぎないものである。しからば、強盗未遂の場合には刑法243条の適用があるにかかわらず、これと同一態様の窃盗未遂の準強盗を、強盗の既遂をもって論ずるときは、刑法243条の適用は排除されることになり極めて不合理な結果を生ずるに至るからである。」としています。

オ 正しい

判例(最判昭41年4月8日)は、本肢と類似の事案において、「被害者からその財物の占有を離脱させた自己の行為を利用して右財物を奪取した一連の被告人の行為は、これを全体的に考察して、他人の財物に対する所持を侵害したものというべきであるから、右奪取行為は、占有離脱物横領ではなく、窃盗罪を構成する。」としています。

本肢のAによる一連の行為は、これを全体的に考察すると、Bの財物に対する所持を侵害したものというべきであるから、Aには、殺人罪と窃盗罪が成立し、強盗殺人罪は成立しません。

3

刑法は判例をいかに読み込んだかが勝負です。

この解説をきっかけにご自身の六法に記載されている判例を読み込んで下さい。

ア × (最判昭24.2.15)の判例を読みましょう。

Aに強盗罪は成立します。

イ × (最判昭61.11.18)の判例を読みましょう。

Aには強盗利得罪が成立します。

ウ × (最判昭32.9.13)の判例を読みましょう。

Aには強盗利得罪が成立します。

エ 〇 (最判昭24.7.9)の判例を読みましょう。

事後強盗罪の既遂or未遂は、財物奪取の有無で決せられます。

Aは窃盗の未遂犯であるため、事後強盗未遂罪が成立します。

オ 〇 (最判昭41.4.8)の判例を読みましょう。

AはBを殺害した直後に、その所持品を奪っているから、窃盗罪が成立します。

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