公認心理師の過去問 第2回(2019年) 午前 問48
この過去問の解説 (2件)
心理面接においては、(クライエントによる)沈黙もクライエントの表現のひとつと捉えて、カウンセラーはクライエントが沈黙する理由や心理的な状態を推察し、その仮説に基づいて対応を行うことが肝要であると言われています。
沈黙の理由は様々考えられます。例えば、クライエントがじっくりと自分に向き合い、内省を深めるために沈黙している場合、あるいは自分の内面をどのように表現するかを考え、言葉を探している場合などが挙げられます。他方、心理面接への抵抗、つまりカウンセラーに対して話したくないといった拒否的な態度の現れなどとしても考えられます。
正答は2(2の記述が誤り)です。
1 記述のとおり、沈黙に対する受け取り方は文化に基づく価値観によっても異なると考えられます。沈黙を是とみなし、ゆったりとした会話のペースを重んじる文化もあれば、逆に沈黙を嫌い、会話のテンポが速くなる文化もあります。
2 沈黙によってクライエントが自分に向き合い、内的探索を深めている状態であることも考えられます。従って、「阻害する」という部分が誤りとなります。このような場合は、クライエントの内省を妨げないようにカウンセラーもじっくりと待つことで、面接に新たな展開をもたらすこともあるとされています。
3 記述のとおりです。沈黙が洞察を深める効果をもたらす場合もある一方、話すことへの不安や緊張、あるいは面接への拒否的な態度など否定的な感情を伴っている場合もあります。そうした場合、記述のとおり、沈黙が持続することで不快さが増大することも考えられ、クライエントの発言を促すなどの対応も必要となります。
4 記述のとおりです。例として、沈黙によってクライエントが内省を深めたり、自分の内面を表現するために言葉を探したりしている場合においては、カウンセラーが沈黙し、じっくり待つ姿勢を示すことによって、クライエントの心理状況を理解し、肯定しているといった共感的な意思表示を行うことが可能となることが挙げられます。
“心理学用語の学習(※)”というサイトによれば、「沈黙」は以下のように説明されています。
【「沈黙」は、心理面接においてさまざまな意味を持ち、受け取り方は文化によって多様とされます。
クライエントの沈黙には「自身が内的探索をしている」「抵抗が生じている」「セラピストの反応等を待っている」「精神症状(思考障害)」等が考えられ、状況や関係性等によって意味合いが異なります。
セラピストが「沈黙」することで、クライエントへ共感的・受容的な態度を伝える事もできます。一方で、クライエントからの否定的な言動に対する沈黙は、クライエントの不快さを増大させることにもなり得ます。】
以上から、正解は2となります。
※https://psychologist.x0.com/terms/2A2.html(R3.3.9取得)
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