公認心理師の過去問 第3回(2020年) 午前 問48
この過去問の解説 (2件)
正答は3です。
1 記述の通りです。心の理論とは、他者の心の動きを類推したり、他者が自分とは違う信念を持っているということを理解したりする機能を指します。
2 標準誤信念課題とは、心の理論を獲得しているかどうか確認することができる課題です。したがって、記述は正しいです。
誤信念課題の代表的な例として、サリーとアン課題が挙げられます。「サリーはボールをかごの中に入れて部屋を出る」→「サリーがいない間にアンがボールを別の箱の中に移す」→「サリーが部屋に戻ってくる」というシチュエーションにおいて、「サリーはボールを探すときにどこを探すでしょう?」と質問します。このとき、心の理論を獲得している場合には、サリーの立場になって考えることができ、「かごを探す」と回答できます。
3 心の理論は、プレマックによるチンパンジーなど霊長類を対象とした研究を通して提案された理論です。「ヒトの幼児の発達研究を通して」という部分が誤りとなります。
4 信念 − 欲求心理学において、ある行動は、行為者が欲求と信念(その欲求を満たすための行動であると信じる)を持つことで起こるものと考えられています。
心の理論は、他者の心の動きや信念を類推・理解する機能であり、信念 − 欲求心理学の枠組みを用いて得た行為者の信念や欲求に関する情報に基づいて、人の行動を予測できると考えられていると言えます。したがって、選択肢は適切です。
正解は3です。
各選択肢については以下の通りです。
1.心の理論とは、他者の心を類推し、理解する能力のことです。設問の通りなので、選択肢は不適切ではありません。
2.ヒトおよびヒト以外の動物が心の理論を持っているかどうかについては、誤信念課題によって調べることができます。よって選択肢は不適切ではありません。
3.心の理論は、D.Premackがチンパンジーの発達研究を通して提案しました。よって、選択肢は不適切です。
4.「信念−欲求心理学」はH.M.Wellmanが提唱しました。これは、ある人の行動を説明、予測するのに、信念と願望からなる推論の枠組みを用いているとするものであり、心の理論に関わる研究であるため、不適切ではありません。
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